第六章『木の掟』・第二話『世界の情勢・埋め集う記憶』Part3
「その人は―――冥王星国の国民の一人よ」
「ええっ!?」
湊生は驚いて思わず立ち上がった。
ディライテが国民の一人なら、冥王星の兵たちは全て国民という可能性がある。
「お?」
急に声を上げたテイムに、どうした、と声を掛けた。
「レウィン、さっきまでそこにいたよな?いないんだが・・・・・どこか行くの見たか?」
見れば、張り出した根に腰を下ろしていたレウィンの姿が無い。
でも、二人とも彼を心配しはしなかった。
「ホントにいないな。話に夢中だったから・・・・・アイツ・・・・・まあ、すぐ戻ってくるだろ」
「それもそうだな。太陽大命神殿よりも遥かにしっかりしてるから、その点は心配ないな」
「そうそう・・・・・・って、今なんつった!?」
「さーなー」
三人のいる場所から、少し離れた小川のところに、レウィンはしゃがみ込んでいた。
「ステア様の話・・・・・僕は・・・・・」
ステアの話の中で、レウィンは失った記憶の一部を取り戻していた。
その一部が。
大きな綻びに繋がって・・・・・。
「・・・・・・・う」
頭が、痛い。
ずきずきと、痛む。
でも思い出したい。
思い出さなくちゃいけない。
金星国での生活、そしてどうして、パシエンテとして太陽国にいたのか。
レウィンの記憶が、忘れ去られた記憶が決壊したダムのように、雪崩のように。洪水のように、襲い掛かってきていた。