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太陽系の王様 THE KING OF SOLAR SYSTEM  作者: Novel Factory♪
第六章『木の掟』
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第六章『木の掟』・第一話『仮初めの繁栄・常春の世界』Part2






「なるほど・・・・・火星国でそのようなことがあったのですね。で、練習をしておきたいということなんですの?」

 彼女がステアだと知ったところで、湊生は今まであったことを話した。

 こういうことは、共有しておかなければ国防において都合が悪いというのもある。

「そうそう。また絶対来ると思うし、守護神集めてるっていうのも、現在地もバレちゃったよな」

 半日前まで火星国にいたというのに、もうしみじみ感溢れる発言。

 本来ツッコミ役を自然と買って出るレウィンも流してしまっている。

「まだ脱出したことが知れていなかったらいいですね。少しは足止めになるかもしれないですよ」

「で、先程までイライラなさっていたのはどうしてなのでしょう?」

 ステアが思い出したように問うと、湊生が頭を抱えて立ち上がった。

 あまりにも急に立ち上がったため、ステアはびくりと肩を震わせる。

 痛い話題に触れちゃったーと思わずにはいられないテイムとレウィンは呆れて若干の疲れが窺える。

「あー思い出したらまたムカついてきたー!!」

「湊生さんがあんななので僕がご説明致します。先刻木星城へ赴き、ステア様を訪ねて行きましたところ、”出直してまいれ”と門前払いされてしまったのです。それで、あの通りで・・・」

「それは、失礼致しました・・・・・衛兵の無礼、代わりまして謝罪致しますわ」

「そんな・・・・・気にしないで下さい。こうして貴女に会えたのですから」

 うわ、来た天然タラシとテイムは思った。

 レウィンはたまにこのような誤解を招きやすいと言うか・・・・・ちょっとプレイボーイな発言をする。

 これまた彼の人柄がいいもんだから、イチコロ状態になっているのをテイムは今までの旅で何度も見掛けて来た。

 見たところ綾乃はそれに対して嫉妬心があるらしいが、あくまでも無自覚でしている超天然ちゃんなのでどうしようもない。

 それで救われたこともあるから一概に止めさせることなど出来ない・・・・いや、そもそも天然行動なので止めさせるなど最初から不可能なのだが。

「優しいのですね。ありがとうございます。あ、あの。良かったら、その魔法訓練を手伝わせて頂きたいのですが、よろしいですか?」

「お、いいのか!?」

 今の今までイライラで頭を抱えたまま体を前後に振っていた―――それをテイムはエビダンスと名付けた―――湊生が、突如食いついてきた。

「守護神の主でいらっしゃる太陽大命神様のお力になるのは当然のことですわ。貴方様は、確かアストレイン=ヴァーイェルド様とおっしゃいましたわね?どうお呼びすれば宜しいですか?」

「あー、別に何でも。けど、俺には表世界名に”篠原湊生”っていうのがあるから皆そっちで呼ぶな。基本的にどっちでもいい」

「では、湊生様で?」

「それでいい」

「それでは湊生様、まず基礎知識から始めましょうか」

「おー、受けて立つ」






「湊生様はそれぞれの守護神の属性と特殊能力をどこまでご存知ですの?」

 聞かれて、湊生は綾乃のバッグから紙を一枚と表世界から持ってきたらしいボールペンを一本取り出して、分かるところから記入することにした。

 自分と、他の守護神数人のものはしょっちゅう聞く。

 だからそこから・・・。

 太陽の守護神は光属性で特殊能力は制御。

 サラの金星の守護神は癒し。特殊能力は守護。

 テイムの水星の守護神は水属性。特殊能力は工作。

 で、ステアの木星の守護神は・・・・。

「・・・・ん?えっと?う~んと・・・」

「ちょっと湊生様?私のところが分からないなんておっしゃいませんよね?」

「・・・・・あは。」

「木星の守護神は木属性!特殊能力は入魂です!」

 属性はそのままでございますわ、当てずっぽうでも仰れば当たるものです、とステアが言うと、レウィンもテイムも深く何度も頷いた。

 ついでに痛い子を見るような目線を送られてくるような気がして、湊生の口元が引き攣る。

 その様子に苦笑しつつ、湊生は手元の用紙に書き込んだ。

 書いてみて、見返すと何か凄いことを書いた気がした。

「ステア、じゃなくて先生、今サラッと凄いこと言われませんでした?」

「何でしょう?」

「入魂、とかなんとかって」

「そうですわよ?入魂、それがわたくしの特殊能力。一度も使ったことがないので、どういった力なのか分からないのですが」

 特殊能力や属性は古い本に纏めてあった。だが、それぞれがどういったものなのかは触れられていない。

 ステアの特殊能力がその例だ。

 入魂、それは死者を生き返らせる力なのか、それともステア自身の魂、または心を何か他のものに宿せる力なのかは定かでない。

「恐ろしい・・・入魂って・・・ホラーだ」

「うるさいですわね。次、お書きなさい!」

 結構ステアはスパルタだった。

 そして、完全に本来の目的である魔法の練習からはずれ始めていたのだった・・・・・・。








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