第四章『氷の掟』・第一話『新緑の岬・崩れし均衡』Part3
「湊生さんの熱、下がったみたいですね」
一日ぐっすり寝て、目を覚ました湊生の額に手を当てて体温を測る。
「気分はどうですか?」
《おう、良好良好。スッキリしてるよ》
「ならもう一安心です。ですが、ぶり返すこともあるので油断大敵ですよ」
《おー、分かってる分かってる。まだゆっくりさせてもらうから》
「はい。じゃ、綾乃さんとテイム様にこの事伝えてきますね」
順番に看護していた訳だから、レウィンの前に看ていた綾乃はレウィン以上に疲労していて、まだ眠っているかもしれない。
だが起きている可能性だってあるので、レウィンは綾乃やテイムに報告しに行こうとベッド脇の椅子から立ち上がろうと腰を浮かせた。
――――と、急に立ち眩みがして、そのまま床に膝をついてベッドに突っ伏す形になる。
ベッドに辛うじて支えられていた上半身が、力を失って頽れた。
《レウィン!!おい、レウィン!!》
ベッドから抜け出し、湊生はレウィンに近付いた。
《くそっ・・・・!こんな体じゃなけりゃ、支えられるのに・・・・・!》
湊生はレウィンを置いて、助けを求めに綾乃とテイムのそれぞれの部屋へ向かった――――。
その日から―――――、代わる代わる、二人は体調を崩すようになる。