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太陽系の王様 THE KING OF SOLAR SYSTEM  作者: Novel Factory♪
第三章『砂の掟』
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第三章『砂の掟』・第一話『金砂の都・欠如した記憶』Part1

『――――ねえ・・・・今、アナタはどこにいるの?”レウィン”――――』

 砂漠の国である金星国は、不可触賤民出身の王(通称”奴隷王”)によって治められている。

 その娘であるサラ(サラネリア=ノーリネス)の、護衛兼遊び相手として彼女に仕えていた使用人の息子が、突如行方不明になってしまった。

 二年後。久々にサラは彼と再会することになったが・・・・・・!?








「お初にお目にかかります、姫様。私は・・・」

 使用人の息子だという彼は、跪いたまま、微笑んで自らの名を告げる。

 父王は、娘と近しい年齢で、信頼のおける者の子供を探した。娘の、相手役兼ボディガードに、と。

 自分達では、いつか娘を守ることが出来なくなる日が来る。

 それが、分かっていたから。


 姫は・・・・・・・、 “魔力持ち ”だ。


 そうして選ばれたのが、彼。

 当時、姫は僅か三歳だった。

 物心がついて間もないため、姫が覚えている三歳の時の出来事はこの時のことだけだ。



 以来、毎日が楽しいことでいっぱいだった。

 城のお庭で走り回って。疲れて、昼寝をして。

 いつもみんなで。

 お父様と、

 お母様と、

 お兄様と、それから。


 いつも、私の傍には彼が居た。

 私は彼に絶対的な信頼を寄せていた。





 お願い、行かないで。



 ・・・・・・レウィン・・・・・。










「こっちに来てから勉強してるけど・・・・・不思議ね、ぜんぜん知らないことなのに、簡単に覚えられるし、もともと知っていたみたいな感覚すらするし」

 彼女・鈴木砂羅は目の前のベッドで眠り続ける女の子に話し掛け、苦笑した。

 砂羅の金髪碧眼は、イギリス人である祖父から隔世遺伝したもの。

 彼女はクウォーターで、漢字は実を言うと当て字であるが、その英語圏のっぽい名前の響きは祖父が決めた。

 当の彼女は、裏世界に来て以来維持ししている半霊体状態のため、室を何度も出入りする宮女達も彼女の存在には気付いていないようだった。

 一方、眠る女の子の名は、サラ。

 本名はサラネリア=ノーリネス。

 ここ、守護神中最年少の砂漠の国である金星国の守護神である。

「これも知識を私と共有してるからなんだよね? もう一人の私・・・・」

 問いかけるも、返事は無い。

「・・・・・・ねえ、起きてよ・・・・・」

 女の子はもう半年も目覚めていないのだという。

 飲食無しで耐えられるのは保ってあと二月だ。

 魔力のおかげでそれだけ生きられるのだが、そのまま眠り続けると死に至る。

 だから、砂羅は彼女を起こそうと頑張っているのだ。

 声を掛けてみたり、歌ってみたり、頬を叩いてみたり。

 けれど・・・・もう、万策が尽きた。

 そっとサラの頬を撫でる。

「ここまであなたを傷つけたモノって、いったい・・・・・」

 城内で偶然聞いた当時のことを、砂羅は思い出してみた。





 半年前・・・・・

「姫様! サラ姫様! どこにいらっしゃるのですか!」

 ある日の夜、サラは突如行方を眩ました。

 その事態に気付いた執事がすぐさま国王夫妻に報告し、城の者達が総出で捜索が始まることとなった。

 毎日探し、発見されたのはその十日後のこと。

 巨大な砂漠の中の金星城があるオアシスの外れ、砂嵐が頻発するというので人があまり寄り付かないという場所で砂に埋もれるようにしてそこに横たわっていたのである。

 何故そこにいたのかは、誰も分からなかった。





 守護神というのは脅威の治癒力(自己回復力)を持つために、別に怪我だの病気だのといったことは心配する必要は基本的に無い。

 それより危ないのは、心の傷・・・・・・。

 一度殻に籠もってしまえば、自らが死に至るまで深い昏睡状態に陥ってしまうのである。

 勿論必ず死ぬ訳ではなく、途中に何らかの衝撃や言葉に反応し、目を覚ますこともあると言われているが、実例は今のところサラを除いて存在しない。

 砂羅は、表世界から召喚された他の者たち同様宝玉に封じ込まれた筈だった。

 だが、何の因果があってか、彼女の意識は裏世界の自分であるサラの元へと導かれ。

 気が付けば、眠りにつき目覚める気配の無い女の子の傍らに立っていたのだ。

 以来、女の子と鎖が繋がっているかのように一定距離―――金星国国内の城付近だけしか動けずにいる。

 半霊体状態ながら物には触れることが可能なため、暇な時は読書をして、独力で自分が今どういう状況にあるのか突き止めた。

 城の者達の会話を盗み聞きすれば、眠るもう一人の自分が太陽国の使者に必要とされていて、その使者はもう太陽国を出発したとのことだった。

 太陽国を出て、水星国に達し。

 そうなれば、来るのは時間の問題。

 それまでに起こさないと。

 だが、結局何やっても目を覚まそうとはしなかった。



 ピシッ

 太陽国の使者一行が水星城を立ったという知らせが来たその日。

 割れるような音がした途端、見えない壁が一部欠けたような感覚に陥った。

 サラとの鎖に、綻びが生じた。

 だが反動で、砂羅が助けを求めるために呼びかけていた太陽国の使者であるという少女との一部記憶の共有が起こってしまった。

 それは・・・・・・・一番、彼女が後悔し、消したいと心から願った瞬間。

“見ないで・・・・・・見ないで!!”

 砂羅は取り乱し、半狂乱で泣き叫ぶと記憶の共有は収束した。

 荒い息を深呼吸で落ち着かせ、そこに残された少女―――篠原綾乃を見て、ホッとする。

 彼女なら・・・・・“サラ”を―――もう一人の私を助けてくれるかもしれない。

 お願い。

 目覚めさせて。

 “サラ”の、命が尽きる前に。







『アナタは・・・・・誰?』

 綾乃は呆然と問うた。

 姿が明確になっていきながらも透けていて人間味の無い女性に。

 年齢からして、十代後半もしくは二十代前半。

“私は・・・・・・砂羅。鈴木、砂羅”

『お、表世界の人・・・・・!?』

“そう。私は今、貴女とこうして夢を通して話しているけど、体の無い状態で裏世界の私の元にいます。金星国守護神・サラの元に”

『金星国守護神・・・・・』

“お願い。早く来て。助けて。”

 意味が分からず、『助ける?』と反復する綾乃に詳しく説明出来るほど時間は残っていないらしく、再び砂羅の姿は霞んでいき、声もお互いに届かなくなっていく。

 最後に、砂羅の口が動いた。

 音にはならなかった。

 でも綾乃は口パクで何とか読み取ろうとして。

 絶句した。

 解釈が合っていれば。間違っていなければ・・・・・おそらくそれが意味するのはこれ。

“死んでしまう前に”

 その解釈は、一切間違ってなどいなかった。




おそらく今日中にサラのキャライメージ画を私個人のサイトにアップします。


そこで元々は小説を書いていたんですけど。

全て消したのでクリアですが、登場済みのキャラのみ投稿していきます。


投稿完了した次の小説の後書きでアドレスを載せます。是非ご覧下さい。

”見ました”などの報告や感想等頂けたら嬉しいです♪

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