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太陽系の王様 THE KING OF SOLAR SYSTEM  作者: Novel Factory♪
第十四章『闇の掟』
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第十四章『闇の掟』・第三話『三つの命・二つのセカイの真相』Part4





「フェト様・・・・・・ママ・・・?」

 視線を動かし、アストレアを見たその瞬間、顔が凍りついた。

 ドアのところから飛び出してきたサラに、皆驚いた。

 今までの話を、全て聞かれていたのだと知ると、レイトに関する彼女には残酷な内容が多かったことを思い出す。

 とはいえ、サラの様子を見るに、正気に戻っているようだったのは皆心底安心した。

《サラちゃん!?貴女、いたの!?それに・・・・・・アイシャって、あの子、知ってるの!?》

「私、呼ばれてここに来たの。“助けて”って。で行ったら、右の塔にあの子が捕えられてて・・・・・」

《でも、あの子・・・・・・人魚!?》

 冥王星王がにやりと笑った。

「力が完全に弾かれたみたいだな。やっと本当の姿に戻ったか・・・・・・・これでようやく、力を取り込める」

「冥王星王!!その子はいったい何者なんだ!?答えろ!!」

「他人に指図されるのは死ぬほど嫌なんだけどなあ。教えてあげよう。この子はフェト同様未来から攫ってきた海王星国守護神の愛娘、アイシャル=シェイレだよ」

 王家はシェイレ家のまま。

 しかも、その娘ということは、またシェイレ家に守護神が生まれたという事なのだろうか。

 とすると、フェトやシャルテよりも未来からやってきたことになる。

 考え込んだアレン達を冥王星王は嘲笑った。

「おおっとぉ、変な想像はしないでいただきたい。このは、レイトの娘さ」

「はあっ!?」

 死んだ人間の娘、とはそれはどういう意味なんだ。

 アレンは混乱した。

 さっき、自分で死んだと言っただろう。

「どうしてか私にも分かんなかったんだよねーどうして未来にアイツがいるのか。でもそんなことはどうでもいい。それが何故にしろ事実なんだからさ。この子は、アイシャル=シェイレは海王星国守護神レトゥイル=シェイレと、今そこに居るサラネリア=ノーリネスの娘なのには変わらない」

「へ・・・・・んな冗談はやめて・・・・・・・死んだんでしょ!?今更期待させるような事言わないで!!」

「・・・・・・ママ」

 アイシャの瞳が悲しげに揺らめく。

 それを見て取って、サラはうっと少し言い過ぎて申し訳ない気がした。

 冗談という事は、彼女を否定していることになる。

「え・・・・何・・・・?」

「ママ、それは冗談なんかじゃないわ。私のママは貴女。それからパパは、海王星国の守護神よ」

「嘘・・・・・・ホントに・・・?生きてるの?元気なの?」

 サラが嬉しさに心を躍らせたのも束の間、アイシャは不安げな顔をする。

 俯き、カタカタと震えだした。

 人間の姿から人魚・・・・・・本来の姿に戻ってしまった、それ即ち。

「でも、今はどうなのかわからないわ。だって・・・・・・・」

「お前の封印が解かれて、魔力が今頃跳ね返ってる頃だからだろ?お前の魔力を封印するのにレイトは魔力の8割を消費し、維持し続けてきた。体力は既に限界値を越えているその状態で魔力が跳ね返ってきたとなれば・・・・・・どうなるか、簡単だろ?」

「だからパパを殺さずにそのまま消えたのね!?放っておいても死ぬからって!!貴方って・・・・・・最低・・・・!!」

 目から涙が溢れて頬を伝わせながら、アイシャは冥王星王を睨み付ける。

 でもだからって、アイシャには冥王星王に勝る魔力なんて無い。

 翼を持たないアイシャの魔力は、ランクには当てはまらない。

 あの魔力ランクは翼を基準として作られたものだからだ。

 でも逆に、フェトもその例外だ。

 白翼ではあれど四枚翼の彼をどこかのランクに押し込むなど有り得ない話だ。

 細かく言えば初覚醒の無いレイトやシャルテも例外に入らない訳でもないが、それはほぼランク通りの魔力を持っているのでそれはランク分けには問題ない。

 アレンやリフィア、そしてフェトが構え、冥王星王はアイシャを取り込むのを後回しにした。

 冥王星王が一言、アストレアに目配せすると、次の瞬間アストレアの姿が消える。

「アレン様!上です!」

 アイシャが言った通り、アレンの上にアストレアの姿があった。

 言い当てられたことで再びアストレアが消えた。

「リフィア様の後方、5時の位置!!」

「次は―――くっ」

 冥王星王がアイシャの口を布で塞いで話せなくした。

 アイシャの魔力ランクはそう高い訳では無い。

 母親のサラ同様、後方援護に回るのに向いている。

 攻撃には極端に向いていないが、逆に情報処理能力に長けている。

 父親から“予知”を海王星国守護神ではないが受け継ぎ、加えてアイシャは予知夢としてではなく目覚めている状態にいながら自在に扱えるのだ。

 属性は何故か水。

 海王星国は海の国だから、まあ無理矢理考えるとしたらテイムは淡水の水、アイシャは鹹水を司っているということだろうか。

 司令塔(?)的アイシャを失い、アストレアの攻撃に対応出来なくなったアレン達はもろにその攻撃を受けた。

「闇よ、徐に照らし、“そ”と表裏なる光を排除せん!!」

 飛び回りながら、アストレアは呪文を唱える。

 どこにいるか視覚では捉えきれす、アレン達は背中合わせになる。

 アレンの前にふっと姿を現したアストレアは、そのまま魔法を放つ。

「うわあっ」

 至近距離からの不意打ちの攻撃に、手にしていた魔法球を向けることも出来ずに直撃してしまう。

 あまりにも近くて逃げられなかった。

 傍に居たリフィア共々、離れた壁まで吹っ飛ぶ。

《お兄ちゃん!!》

 ガラガラ、と壁が崩れる音がする。

 全身に傷を負ったアレンがムクリと上半身を起こす。

「ははっ・・・・一つの攻撃が重いな・・・・・・」

 隣に倒れているリフィアを起こそうとして、気を失っているのだろうか、ぐったりしているのに気が付いた。

「リフィア!?おい、リフィア?どうした!?」

 ぐらぐら揺らせど、反応は無い。

 何度も何度も名を呼び、揺らす。

 でも、目覚める気配はない。

「時が来たか」

「時!?」

「リフィアは長く生き過ぎたんだ。私やホリスは転生した。でも、リフィアはあの時間から今まで生き続けていたのさ。その限界が来たんだな、とうとう」






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