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太陽系の王様 THE KING OF SOLAR SYSTEM  作者: Novel Factory♪
第十四章『闇の掟』
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第十四章『闇の掟』・第三話『三つの命・二つのセカイの真相』Part1





 海王星国にまで至った時、そこは死の街のような雰囲気が漂っていた。

 その向こうに冥王星国がある訳だが、直轄地の中唯一の太陽国側の国まで無人故にそんな感じであるから、アレン達はそこを通過していく間ずっと黙っていた。

 無人の国を侵略する趣味は無いらしく、敵は一歩たりとも踏み込んではおらず、駐屯地と化したりもしていないようだ。

 冥王星国に降り立つと、アレンとリフィアは寒気を感じた。

 常に見られているような、そんな気配もする。

 大地は荒れ果て、遥か彼方に認められる居住地も、完全に荒廃して家というよりは瓦礫の山と言った方が正しいような状態だ。

 その居住地の向こう。

 一層暗く、何かが立ち込めているように見える城が、真の戦場の場。

 綾乃やシャルテは感じていないようだったが、アレンやリフィアには彼ら以上に圧力のようなものをその身に感じる。

「行くぞ」

 アレンは皆の返事を待たず踵を返す。

 やや早歩きでアレンが歩き出し、その後ろを三人が続く。

 未来は知っていても戦いの命運を握るのは自分達なのだと考えると、緊張してどうしても険しい面持ちになってしまう。

 このまま城に向かうのは体力的に苦しかった上、どうやら兵士が潜んでいる気配も無かったので適当に家を借りてそこで少し休んでからにしようとアレンは皆に伝え、家に駆け込んだ。

 そうしてアレン達が休憩を取り、城に向かい始めた頃。

 謎の声に導かれたサラが冥王星国に降り立った。

 虚ろな彼女には、疲労の色が見えない。

 休憩を取ることも無く、だたふらふらとアレン達の後を追っていった。

 冥王星城は三つの塔から成り立っていた。

 明らかに邪気を感じさせるのは真ん中の一番高い塔。

 アレン達はその真ん中の塔を進み、サラは右端の塔を進んだ。

 





 助けて・・・・・・誰か・・・・・誰か・・・・・!!



 右端の塔の内装は、頂上まで続くのだろう螺旋階段と、その途中からいくつもの部屋が伸びていた。

 カツン、カツンと音が響く。

 サラは確実に聞こえてくる声が大きくなっていくのが分かった。

 この先にいる。

 最上階から聞こえているのかと思っていたが、そうではなかったようで、サラは半分ほど階段を上ったところで足を止めた。

 目の前には、ドアが一つ。

 取っ手の下のところに鍵穴があったが、取っ手に手を掛ければ何ともあっさりとドアが開いた。

 中に有ったものを見て、サラの目が揺らめいた。

 床から天井まで伸びた大きなチューブ。

 中にはとろりとした水色の液体が入っている。

 そのチューブの中央。

 長いクリーム色の髪の女の子が膝を抱えるようにして丸まっていた。

 口からぷくぷくと泡が立ち上っている。

 加えて僅かに心臓が動いているのが窺えた。生きてる。

 その子がサラを読んでいたのは間違いなかった。

(貴女が・・・・・・・呼んでいたの?)

 女の子は、レイトが姿を消す最後に見た予知夢に出て来た、まさにあの子。

 サラは声が出なくなっているので、声を掛けようにも出来なくてただチューブに触れた。

(誰・・・・・・貴女は誰・・・・・?)

 と、急に女の子が光り始めた。

(えっ・・・・・・!?)

 次の瞬間、女の子の足が尾に変わり、長いウェーブの髪が更に伸びて加えて色が黄緑に変色した。

 光が収束すると、ゆっくり女の子は目を開けた。

「そこに・・・・・誰かいるの・・・・・?」

 サラと目が合うと、女の子はパアッと頬を綻ばせる。

「ママ・・・・っ」

(ママ!?)

 サラはそう呼ばれて愕然とした。

(貴女・・・・・・誰・・・・・?)

「私は、アイシャ」

 女の子には、サラの心の声が聞こえているようだった。

 サラの問いに、女の子は自分の名を名乗った。

 でも心の声が届いてることなんかよりも、その名に驚嘆する。

(アイシャ・・・・・・!?貴女・・・・・・・それにママって・・・・・)

「それは・・・・・あ!」

 女の子が急に声を上げた。

 焦りを感じているようだった。

(何!?どうしたの!?)

「お願い!!私はこのままでいい!だから、真ん中の塔に急いで。ママっ!!」

 その切羽詰まった様子に、サラは首を傾げた。

 真ん中の塔に、何があるというのだろう。

 それより、ママっていったい何の事?

 未来から来たというのは、シャルテと、その兄の二人だけの筈。

 だからママと言われる筋合いは無いが・・・・・・・思い違いか、自意識過剰か。

 自分に似ている気がした。

 髪型が、特に。

 でも顔は・・・・・・・・!!

 その事は気になったが、アイシャの焦る様子にサラは真ん中の塔へ急いだ。

 サラの目はもう虚ろではなく、光が宿っていた。






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