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太陽系の王様 THE KING OF SOLAR SYSTEM  作者: Novel Factory♪
第十三章『風の掟』
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第十三章『風の掟』・第二話『特殊に生まれし者・次代の双子』Part3






 短時間にして既にその毒―――闇気は、サラの身体を死に至らそうとしていた。

 医師が、数日の内にサラは死ぬと完全に言い切ってしまうほど事態は深刻で、治る見込みは少ないのだという。

 サラが運び込まれた部屋への入室が可能になり、綾乃は荒い息のサラを覗き込んだ。

《サラちゃん・・・・・・苦しい?》

「痛み止め貰ったから・・・・・少しマシになったけど、正直辛いかな」

 上半身を起こそうとして、サラは再び頽れた。

 サラ自身、限界が近いことが分かっているようで、その表情にはどこか儚いものが混じる。

 常にその手の危険と隣り合わせにある海王星国の者達から聞くに、闇気を一度その身体に取り込むとまず間違いなく死に至るらしい。

 本来なら受けた時点で昏睡状態に陥り、そのまま傷から噴き出す闇気に包まれていって激しい苦痛に耐えながら息絶えていく・・・・・・というのが通例だが、常人のようにいかないのが守護神なのである。

 生来自己回復能に長けており、寿命は300年を超え、更に魔力の量に応じてではあるが何も食さずとも生きていけるものだ。

 そんな守護神だからこそ、そうはいかないのである。

 言い換えれば、今サラの身体は蝕まれていっていることにより限界の状態、あるいはもう死んでいてもおかしくない状態であるのに、その身体を流れる魔力の籠った血がそれを抑え込もうとしていて、すぐに死に至るものを無理矢理延ばし数日間生きられるような状態であるのだという。

 つまり、普通の人よりも遥かに強い、想像を絶する激痛が死ぬその時まで続くという事だ。

《サラちゃんの魔力で治すなんてことは出来ないの?・・・・・・あ、今サラちゃん結構衰弱しちゃってるからダメか・・・・・・》

 体を起こすのを諦めたサラは身体をベッドに横たえたまま頭を振った。

「そうじゃないの。どちらにせよ、私には使えない」

《どういうこと・・・・・・・?》

「私の治癒の魔法は、施行者自身には全く効果が無いの。試してみたことは何度かあったけど・・・・・・現に、効かなかった」

《そんな・・・・・・。》

 綾乃は俯いてしまった。

 医者にも手の施しようがないと言われ、頼みの綱だったサラの回復魔法も無効・・・・・お先真っ暗としか言いようがない。

「でも、もしかしたら、お父様が・・・・・・」

《え!?》

「知ってるかもしれない。金星国―――私の国は、医学の研究機関があるから。ね、綾乃、私を金星国に連れて行って!」

 海王星国のサフィール王の予知が失われた以上、海王星国に留まる必要は無い。

 綾乃は二つ返事で了解した。

「私はまだ死ねない・・・・・・レイト王子を見つけなくちゃいけないから・・・・・!」

《サラちゃん・・・・・・・》

 言えない。

 レイトが死んでしまっている可能性が高いなんて。

 病は気から、とも言うし、やはりその人の気力というのは回復に於いて大切だ。

 今それを削ぐのは、死に急ぐようなものであった。

 とはいえ問題が一つ。

 金星国に行くには、また天王星国を通らねばならなくなる。

 他の誰かがサラの二の舞にならないとも限らないし、その点トランスとエリィに相談しなければならない。

 再び眠ったサラをその場に残し、綾乃は二人の元に向かった。





「・・・・・・・なるほど、そんなことが・・・・・・」

 わざわざどうして天王星国に入ったのかが気になっていたんだ、とトランスは続けた。

 でも確かあそこは。

 天王星国のサードポーズポイントと海王星国のファーストポーズポイントの間で起こったなら、相当の震動や影響がある筈であるし、そんなことがあったら即座に報告がある筈だった。

 なのにそのようなものは一切無く。

「もしかしたら、それは幻覚のようなものかもしれない」

『幻覚・・・・・・?』

「冥王星国の闇気は、今サラネリア姫を蝕んでいるような毒性と、人を惑わす力がある。恐らくそれによるものではないだろうかと私は思うよ。ともかく今日はここに泊まっていくのだろう?出発までに兵に調べさせておこう」

『ありがとうございます』



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