第十三章『風の掟』・第一話『その未来・銀色の閃光を纏いし娘』Part1
「我らがいずれ通らん道を、今この前に示せ」
サラ達が出発してから半日ほど経った。
アレンは腕を前に伸ばし、手を広げる。
その手に、向かい合わせに立った半透明の少女・リフィアの手が重ねられた。
目を合わせて。
「「数年後の世界に、我らを送り給え!!」」
二人は声を合わせて時空魔法の呪文を紡いだ。
その頃、サラ達は・・・・・。
「な、にこれ・・・・・・・どういうこと!?」
驚愕する一行の前に広がっていたのは、攻撃を受けたかのように欠損したワールドコネクトベルトだった。
その地点は、ちょうど天王星国のサードポーズポイントと海王星国のファーストポーズポイントとの間のところ。
瓦礫と化している中、降りられるとしたら天王星国のサードポーズポイントになるだろう。
だが天王星国は、冥王星国の直轄国であり、その直轄国の中でも最強とされている。
思えば、サラ達が火星国や土星国を何も無く通過出来たことこそ不思議なのだ。
用心をしてゆっくり来た為に半日かかったこともあって、敵国上空を通過時に何らかの形でそれを感知され、土星国を通りかかった際に行先が海王星国であることを確定付けられ、先手を打たれたのである。
「サラ、降りるぞ。ここで突っ立ってても通れるようにはならない」
「うん・・・・・」
用心しろよ、と皆に言い聞かせたテイムは、内心震えていた。
天王星国に入れば十中八九待ち伏せに合うだろう。
そして今、強い魔力を持つ三人が不在だ。
一人は太陽大命神にして銀翼を持つ“麒麟”、アレン。
もう一人は海王星国守護神・白翼Sランクのレイト。
実体が無い為魔法は使えない状態だが、ほぼ間違いなく相当の魔法の使い手リフィア。
アレンとリフィアは今頃未来へ旅立とうとしている筈で、レイトは行方不明となっている。
サラ、テイム、ステアの三人では、襲われた時どうしようもない。
見つかってもいいから海王星まで、と考えて賭けに出たのは間違いだったかもしれないとも思ったが、直接通るのにはそれこそ危険過ぎる。
最善の方法ではあったのだ。
ワールドコネクトベルトを降りて、一同思ったのは、ただ一言。
“案の定”だった。
取り囲まれ、ワールドコネクトベルトに後戻り出来ないように遮断されて。
右を見れば、少し遠くに海王星国が見えた。
あと、もう少しなのに・・・・・・!!
皆一斉に覚醒モードになり、サラが守護で結界を張る。
その中から、テイムとステアが攻撃魔法を打った。
「抵抗は止めろ。この人数に敵うとでも思うのか?」
冥王星国軍の兵士達は嘲笑し、武器や魔法球をこちらに向ける。
「嫌だね」
「我が国の姫君や、太陽大命神はどうした」
誰が教えるかよ、とテイムはそっぽを向いた。
「そんな態度を取るか。仲間の一人が、今どうなっているかも知らずに」
「仲間の・・・・・一人・・・・・?」
その一人に該当する人は、一人しかいなかった。