表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
太陽系の王様 THE KING OF SOLAR SYSTEM  作者: Novel Factory♪
第十二章『氷の掟』
122/155

第十二章『氷の掟』・第一話『一新する立場・共同生活』Part1

オマケSSを後書きのところに書いています。


そちらもご覧下さい。





 アレンは誰もいないことを確認しながらエスカレーターこと、ワールドコネクトベルトで太陽国から金星国末端地点・サードポーズポイントから金星国に入った。

 そこから地球国に入ることになるのだが、それは用心しての事。

 一応安全な地球国ならば直接エスカレーターで行くことが可能だ。

 だがしかしそうではあっても敵国領土内なのには変わりない。

 そう考えた為、地球国でエスカレーターを降りることはせずわざわざ金星国で降りて徒歩の入国となったのである。

 地球国入りした頃には朝が近くなっていて、急いで隠れる木を探さねばならなくなった。

「この木とかは?」

 アレンは傍を通り過ぎようとしていたステアを呼び止め、目の前の一本の木を指差して言った。

 するとステアが近寄ってきて気に触れ、選定に入る。

《どうだ?》

「・・・・・いいでしょう。あまり目立たない場所にありながら、日の光は十分に得られますし。この辺りでは一番大きい木のようですし」

 木捜しに30分を費やしてしまった。

 結構ステア的な条件が厳しかったのである。

 アレンだけで既に8回却下されていた。

 ようやく決まったか、と半ばよろよろしかけている他の者達もその木の周りに集まってくる。

 ステアは目を閉じ、覚醒モードに入った。

「木よ・・・・・我らに加護を与えんが為、その身を犠牲にせよ」

 呪文の詠唱により、木の幹の中央部に何やら黒いホールが現れる。

《・・・・・・なあ》

「何かしら?」

《うーん、何て言うか・・・・・・・その呪文どうなんだよ》

 アレンは反目眼でステアを見た。

 その身を犠牲にって・・・・・・。

 確かにそうだが、“協力”とか“助け”でなくて犠牲なんだな。

「じゃあ、入りましょう」

 中に入れば、もう何だかホテルみたいな感じだった。

 見て回ったところ、まず入り口から少し行ったところに男女共用のリビングとダイニング、そしてキッチンがあり、リビングにドアが別個に二つあり、その先には両方廊下がある。

 そこに更に5つずつドアがある。

 突き当りはトイレ、トイレから一番近い側面のドアが浴室。

 他3室はそれぞれ個人の部屋になるようだ。

 特に何の争いも無くあっさり部屋割りは決まり、

 右が女子部屋で近い順にリフィアと綾乃、サラ、ステアの順。

 リフィアと綾乃は相部屋になるが、それは同意の上だ。

 そして左は男子部屋で、アレン、レイト、テイムの順になった。

 持ってきた荷物を運びこんで、少し休むことにした。

 皆まだ一睡もしていないし、加えて結構歩いている。

 相当疲れが溜まって居る筈だ。

 しかも日が明けるので敵の手が伸びやすくなるから・・・・・大人しくしておかねばならないのでちょうどいい感じだ。

 アレンはベッドに倒れるようにして――――身体が小さい上にベット上まで飛んで行った為、ベッドに落ちたと言った方が正しいが――――即行寝た。

 レイトはリビングのソファに座って紅茶を飲み、テイムは小腹が減ったと獲ってきた食料を調理し始め、意外にも美味しそうなものを作って食べていた。

 綾乃とリフィアもすぐに寝ようと室に入り、サラとステアは入浴して体の疲れを癒すようだ。

「あ・・・・の、リフィアさん」

「やだ、そんなさん付けなんてしないで。リフィアでいいわよ、リフィアで」

「じゃあリフィアで。私も呼び捨てで呼んで?」

「はい」

「ねえねえ、お兄ちゃんとはいつ会ったの?前から知ってるみたいな・・・・・・・」

 リフィアはええ、と頷いて、

「知り合ったのはついこの間の事よ。とはいえ、一方的にではあるけれど、私は昔からアストレイン様のことを知っていましたわ」

「昔から?表世界に居たのに?」

「ええ。」

 綾乃は数時間前にアレンにした質問を思い出す。

 どうやらアレンはリフィアが好きなようだ。

 あの狼狽を見ても、それは間違いない・・・・・・と、思われる。

 じゃあリフィアはどうなんだろうと気になって、訊こうと口を開く。

 凄く綺麗な子だし、両想いだったらいいのになんて第三者のお節介だとは思うが訊かずにはいられなかった。

「お兄ちゃんの事、リフィアはどう思ってるの?」

「フフッ。随分質問攻めですわね」と、リフィアは苦笑した。

 そんなリフィアに、綾乃は舌を少し出して「てへ」といった表情になる。

「嫌・・・・・だった?」

「いいえ、だって私は皆様と合流したばかりですもの、当然の事よ。答えられる範囲なら答えるわ。・・・・・・・アストレイン様の事・・・・・・そうね、好きよ」

 綾乃が嬉しげに微笑む。

 そっか・・・・・そうなんだ・・・・・。

 リフィアは照れてなどいなかった。

 逆に綾乃の方が照れてしまいそうになるが。

 これを大人の余裕って言うのかな?

 でもそんなに歳は離れてないと思うけど。

 童顔なだけなんてことはまず有り得ないだろう。

「ところで、リフィアって何歳?」

 リフィアは、その問いに一瞬体を強張らせた。

「何歳に見える?」

「私より年上よね。お兄ちゃんやステアと同じくらいに見える。だから、まあ・・・・17,8辺りかな?」

 そう?とリフィアは意味深な笑みを浮かべ、「そんなものね」という曖昧な返事をした。

 この問いが後に大きな意味を持ってくることを、この時の綾乃は知りもしなかった。




『A²・L・S氏の運勢』




「ん?何見ているんです、綾乃さん」

 あ、これ?と綾乃は持っていた本を指して、レイトが頷くとその表紙を見せた。

 レイトの隣にはサラがいて、興味深そうに覗き込んでいる。

「名前辞典?」

「そう。お母さんが子供に名前を付ける時に使うの。自分のはどうかなーなんて思って」

「あ、これ名前に込められた意味とか、運勢とかも分かるんですね。・・・・・・ちょっと残念です」

「残念?」

 だってこれ、綾乃さんの世界の言葉でしょう?絵で少しは分かりますけど、さっぱり読めませんし、綾乃さん達とは名前が違うじゃないですか」

 いや、これは私の世界の言葉なんじゃなくて、私の住む国の言葉で書かれてるんだけどね。

 とはいえ、確かにそうだ。

 レイトやサラは例え日本語表記をしようと思ってもカタカナになってしまう。

 ん?ちょっと待て?

「なら、表世界の名前で見ればわかると思うよ。二人共表世界では日本人だし―――サラちゃんはクォーターだけど」

「日本人?クォーター?」

 疑問符を浮かべる二人に、

「日本っていう国があるの。私達は同じ国出身ってこと。サラちゃんはお祖父さんが外国人なの。外国人の血は四分の一。それでクォーターって言うの」

「ああ、なるほど。って、僕ら表世界での名前知らないんですけど・・・・・?」

「レイト君が桜井麗人。サラちゃんは鈴木砂羅」

 二人は何か違和感があるらしく、表世界と裏世界で同じ魂を持つもう一人に若干戸惑いがあるようだ。

 砂羅にはレイトも綾乃も会ったことがある。

 だから、“桜井麗人”がどんな人かは想像出来なかったが、レイトはああ、あの人の事か、とレイトはサラ越しに火星国で見た女性を思い出していた。

「んーと、画数は・・・・・私が総画43画、レイト君35画、サラちゃんが45画、あと・・・・お兄ちゃんが44画か・・・・・」

「どうなんでしょうね。裏世界の僕らにも通用するのでしょうか」

「似たような人生を送るっていうから、反映されると思うけど」

「でも、綾乃って響き綺麗だよね」

「あはは・・・・ありがとう、サラちゃん」

 ぱらぱらとページを捲っていく。

 まず、綾乃は画数の少ないレイトの項を開いた。

「35画・・・・・お、良い運勢だよ!!哲学的分析で一歩一歩確実に成功するタイプだって。評価◎だし」

「それは嬉しいですね」と、レイトが微笑む。

 次に綾乃の43画。

 気付けば、43、44、45と画数が続いている。

「・・・・・・・・。」

 綾乃は自身のところを見た途端、黙り込んだ。

「どうしたの?」

「・・・・・・評価×の最低評価・・・・・。頭脳明晰だが小細工を使い、意志が弱い。加えて、成功すると他人の意見を聞かなくなって孤立する・・・・・・」

「それは・・・・・・」

 その場に一時的に沈黙が訪れた。

 これを、人はお通夜という。

 ダメついでに恋愛運を見てみたところ。

『愛情面でも上手くいきにくい』

 あー、だから私の初恋は上手くいかなかったのかなー?

 それとも、初恋は成就しにくいってあれ?

 何だか不安になってきた。

「あ、湊生さんはどうなんです?」

 慌てて話題を変えたレイトに苦笑しつつ、次のページを開いた。

「ん~何々?△か。発想が独創的で思慮深い。健康面で問題が発生しやすい」

 確かによく体調崩している。

 一つ気になるのは・・・・・・敢えて口に出さなかった本文中の人単語。

 ・・・・・・・えっと。

『論理的』

 お兄ちゃんのどこが論理的?

 疑問だ。

 っていうか、お母さんどうして私達兄妹に運の無い画数の名前を付けたんだろう。

 お蔭様で、それなりに辛い人生送らせて頂いてます。

「綾乃、綾乃、私は!?」

「待って、おお、サラちゃんも◎ね。適応力、意志力、先見性、行動力を兼ね備え、名誉・財産・成功を得る大吉運だって。皆の中で一番いいんじゃない?」

 サラは飛び跳ねて喜んでいる。

 そういえば、砂羅の好きな人は麗人で、想いが届きそうにない状態にあるという。

 でも、運勢とか、裏世界で結ばれているのに、表世界では結ばれないなんてあるんだろうか。

 表世界と裏世界は性別とか年齢とか違っても近い人生を歩む―――みたいなこと聞いたんだけどな。

 もし、二人が結婚したらどうなるんだろ?

 桜井砂羅か・・・・・・総画42画か。

 喜び合いたいレイトとサラは、けれど運勢の悪過ぎる人の前でそうすることは出来なかった。

 綾乃は、42画の項を開いた。

『△。器用で博識。思いもよらぬ発想などをしたりするが、優柔不断。事件に巻き込まれたり無気力になりやすい』

 綾乃は内心、呟いた。



 ・・・・・・サラちゃんも砂羅も結婚しない方が幸せなんじゃ?




『コメント』

 小説のキャラ用に名付け辞典を5冊買いました(閉店セールで)。

 それで思いついたネタです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ