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太陽系の王様 THE KING OF SOLAR SYSTEM  作者: Novel Factory♪
第二章『水の掟』
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第二章『水の掟』・第一話『太陽の果て・水源の国』Part1

『お前には、もう王たる資格は無い』  大切な人を次々に失くした少年王から、残ったその王権までもが奪われ、新たな王家が立って早二十年。未だに、新王家は旧王家の支配を受け続けていた。  その国の守護神・テイムは、綾乃達を大いに巻き込んだ復讐計画を立てていて・・・・・・!?




「お前には、もう王たる資格は無い」

 玉座に座る少年王を囲うように、七人の男が一斉に述べた。

「降りろ。降りねばならぬぞ、近いうちに」

「貴国の守護神が亡くなった以上、新たな任命を」

「新たな任命を」

「新たな任命を。」

 新たな、任命を・・・・

 少年王は耳を塞いだ。

 いやだ。俺はこの国の王だ。

 ・・・・降りろだと?冗談じゃない。

 彼は、まだ王になって間もなかった。

 父からこの位を譲って貰って。

 華々しい未来が待っていると思っていた。

 幼い頃から、王位を継ぐのは自分であると、生れ落ちたその瞬間から―――、そのもっと前、母が自分を身籠った時から決まっていたのだ。

 それなのに。

 一瞬にしてその輝かしい未来は自分の手をすり抜けていった。

 少年は、見えないように拳を握り締め、歯を噛み締め、男達を獣のような眼差しで睨み付けた。

 お前達に俺の気持ちが解るものか。

 譲れない。譲らない・・・・絶対に。この座だけは。

 他の何と、引き換えにしても。







「プッ。わはははは ! また引っ掛かっってやんの」

 水晶玉を前に、そこに映ったものを見て二十歳前後の青年が笑った。

「テイム様、少しやり過ぎでは?」

「いーんだよ。オレが何のために“悪戯好き”を演じていると思ってる?・・・・全ては、これからの計画のためなんだ」

「バレたらどうするのです。あまり大きなことはなさいますな」

「・・・・・むぅ。少し控える」

「そのようにしていただけると光栄です」

 テイムと呼ばれた青年は玉座から降り、手近な窓を開けて旅人達かやって来るという方角を眺めた。

 それにワーム秘書も従う。

「だが、“その日”が来れば・・・・・奴らをどうにか出来る。小さい頃はずっと慕っていたなんて、今の自分からしたら笑っちゃうし・・・・虫唾が走る」

「左様でございますね。私めも、かの日・・・・・テイム様の苦しむお姿を見て辛く思っておりました。この件、最後までお付き合いさせていただきます」

「早速、頼みたいことがある」

「はい。なんなりと」

「では―――――――」









「・・・・・っていうことがあって、お兄ちゃんそれ以来不機嫌でね」

《寝起き早々驚いたんだ。だって、考えてもみろ。・・・起きたら、視線が低くて、見たら魚なんだぞ。なんじゃこりゃって感じ》

「いや、でも可愛いし」

《男にカワイイってのもどうかと思うんだけど・・・・》

 言い合いする二人―――もしくは、一人と一匹を前に、綾乃の隣に座るレウィン少年は笑いを堪えられず噴き出した。

 アレンが綾乃と湊生に分解されて、もう三日経っていた。

 そしてもうすぐ綾乃がこちらに来て一か月半。旅立ちの日が近付く。

 城下町に二人で出かけた日以来、多忙により城へ来れなかったレウィンは、自分のいない間に起こった大事件についての報告を楽しそうに聞いていた。

「ケチケチうるさいデスネ、太陽大命神殿」

《オホホホホホ》

 上機嫌に尾びれをヒラヒラさせた。

意外と気に入ってるんじゃない、そう心底綾乃は思った。

「・・・・・・・・僕」

 ずっと笑うだけで基本黙って二人の話に耳を傾けていたレウィンが、不意に口を開いた。

《お、なんだなんだ?開口一番、“僕”。ナルシストの傾向があります》

「お兄ちゃんは黙っといて。・・・・で、何?」

「本当は・・・・綾乃さんが旅に慣れて、その仲間が出来るまでのつもりで旅に同行しようと思っていたんです」

「・・・・え!?そうだったの!?」

「・・・・・・・・は、はい・・・・国王にもそのように、と」

 綾乃は身を乗り出した。

 思わずレウィンは仰け反り、たっぷり間を取って頷く。

 途端、しょんぼりした綾乃にレウィンが微笑んだ。

「だから・・・・・・当初よりも、もっと・・・長い同行を、許可願えますか?」

「う・・・・・うん!ずっと、付いてきてくれるものだと思ってたし」

「そうはしたかったのですが・・・・・その・・・・」

「ん?」

 取り敢えず、ウキウキしながら綾乃がレウィンを尋問にかけたところ、想像していない答えが返ってきた。

「・・・・・・・・・・僕も世界を見て回りたかったですし、綾乃さん一人ではやはり危険で、僕の知識が少しはお役にたてると思って同行をお願いしたのですか・・・・・・よく考えてみましたところ、やっぱり女の子と二人で旅するのはちょっとって」

 だから、そう陛下にお願いしたのです。

 レウィンは顔を真っ赤に染め、言った。

 ・・・・・・・・・・何この子、意外とどころか可愛い!!

 “きゅんとくる”という言葉の意味を綾乃はこの瞬間改めて知った。

《ヘーイ、お二人さん、俺完全に蚊帳の外ですかー?》

「うん、総じて無視。最初は二人だけど、増えるし。きっと楽しい旅になるよ」

綾乃は湊生の主張を完全に無視した。

「問題も、山積みですけどね」言って、レウィンが笑う。

《まあ、何だ。最初は二人ってのに俺が頭数に入ってなかった的な?》

「うん」

 綾乃の発言を思い返して突っ込んだ兄に、綾乃はさも当然というかのような返事を返す。

 彼女から湊生のことを聞いていたレウィンだったが、その時想像していた凄く暖かい家庭とは大いにイメージがずれていたことを沸々と感じていた。

 でもこれはこれで、楽しくていいのかもしれない。

《人でなしー!!》

 人じゃないのはお前だ。

 後に綾乃はそう愚痴ったという。






「でも、湊生さんが一緒っていうのは心強いです。」

 半ば口喧嘩が始まりかけ、どうにか場を治めようとしたが、逆に煽る結果となる。

《おお、ということは俺も頭数に入れた結果、同行期間延長決定?ホラ見ろ、綾乃。ちったあ見習え、この人でない・・・・し》

 湊生が“人でなし”を“人でない”と言い間違えて、慌てて添加の形をとって訂正した。

 が、“し”が付属したために、逆に変になった。

「・・・・・確かに、人ではないですね」とレウィンは分析。

「噛んだんでしょ。・・・・・お兄ちゃん頼むから、その自分の見た目には気をつけて発言して?」

 侮辱の言葉も、その状況と発言者によっては本来の意味を成し得ないことをいい加減学んで、お願いだから。

 突っ込みに疲れた綾乃は反目眼で兄を見た。

 気まずくなったのか、湊生は話題を変えて、「それはそうと、エスティ君、お前気に入った。すっごいピュアでさ。ほんとヨロシクな!」

「はい。・・・・・あの、今更なのですけど、湊生さんだなんて太陽大命神ともあろう方に・・・・・・・」

「そ、そんな!気にしないで」

 謝罪は、向けられた本人ではなくその妹によって許された。

 勿論、その点に兄は異議あり。

《言いたいことを代わりに言ってくれたのは嬉しいんだがな?お前が言うなよ、お前が》

「だって、どうせ私のお兄ちゃんだし?太陽大命神だからって気を遣わなくていいのよ。こんなチャラけた太陽大命神、笑っちゃうし」

《おっまえ、好き放題言うなぁ。仮にも兄に向って・・・・》

 今日でこのパターン何回目だろう。

 二人のやり取りにまた爆笑したレウィンに釣られ、当事者達も噴き出した。

 笑いが収束したところで。

「これから、よろしくお願いします。綾乃さん、お魚さん」

《あーはいはい、こちらこそ・・・って“お魚さん”!?》

「そうよ、エスティ君、一応コレでも中身人間なのよ」

《コレでもって言うなー》

 ぷ、とレウィンは小さく笑って、「冗談です、湊生さん」と言い改めた。








 旅出発前夜・・・

 レウィンが了承してくれた旨を王に話し、一同は早速旅の準備に取り掛かった。

 アレン分離の儀式の後、湊生はというと綾乃の部屋の一角に取り付けられたクローゼットの中が部屋となった。

 ・・・・・そこには同居人がいる。

 そこでこの度、一悶着があった。

《綾乃ォ。友達連れて行っちゃダメ?愛着ついちゃってさー》

「だめ。どうせ持つのは私なんだから」

 湊生が持っているのは・・・・彼の同居人。いや、同居魚。

 彼の部屋であるクローゼットとは、所謂、綾乃のために用意された人形置き場のことである。初めは少なかったのだが、綾乃が最近腕に魚のマスコットを抱いて歩き回っていたので、小間使い達は同じ魚のぬいぐるみやら犬・猫のぬいぐるみを買い漁ってきたのだ。

 お陰で湊生の寝床はぬいぐるみだらけで、たまに埋まっているので綾乃が発見に苦しむことがある。

 取り敢えず、埋まる中で湊生はお気に入りが出来た。

 それが同型のお魚マスコットミニ版。

《ちっ。分かったよ》

「分かればよろしい」

「入っていいですか?綾乃さん、湊生さん、準備の方はどうです?出来ました?」

 コンコン、とノック音がして、入室を求める声がした。

「入っていいよー。準備の方は、残念ながらあんまり進んでないけど」

「それはまた・・・・あれ、湊生さん拗ねてません?」

《聞いてくれよー、綾乃はかくかくしかじかで薄情だー兄に対して酷いんだぞ!!》

「かくかくしかじかは止めてください・・・・具体的に」

《俺の友達、旅には連れてくなって言うんだ》

「もしかして、それですか?」

《ん。》

 湊生が器用にヒレを使って持っているものを見て、それを指差した。

「・・・・・・・・・・・・」

「やっぱり置いていくべきだと思わない?」

 そっとレウィンは“湊生の友達”だというマスコットを手に取り、部屋を出て行った。しばらくして戻ってきた彼の手には、ストラップが取り付けられた例のものが乗っかっていた。

「はい、どうぞ。これなら、綾乃さんのバッグに付けられますよ」

《おお!!気が利くな!綾乃、付けていいだろ!?》

「仕方ないわね。いいよ。ホラ」

 綾乃がバッグを差し出し、そのチャックに湊生が取り付けた。

「どっちが上なんだか、って感じですね」

 拳を口元に当てて笑うレウィンを、綾乃は感心したような目を向けた。






第二章に入りました。


でも、水星国メインは第二話からになりそうです。

第一話は殆ど太陽国内の話です!


活動報告チェック、コメントの方、よろしくお願いします!

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