第十一章『光の掟』・第二話『頻発する異変・少女の本性』Part3
レイトは自らの特殊能力の予知の力で予知夢を見ることが多い。
前は魔力がFランクだった為に、見ても朧げだった。
その意味しているものが理解出来ず、予知夢を予知夢と認識すらしていなかったことも多い。
でも、今は魔力がSランクだから結構その内容が明確に分かるようになった。
覚醒して以来、レイトは普通の夢を見ることは無くなり、見れば予知夢だった。
だから今日も予知夢だと思った。
また予知夢か――――それにしても、と辺りを見回した。
真っ暗で、何も存在しない空虚な場所。
ボウ、と目の前に人が現れて、僕は迷わず駆け寄った。
そうして振り返った人の顔を見て、固まってしまった。
“僕”だった。
間違いなく、自分。
その自分はこっちをぼんやりと見続けていたが、どうやらその視線は僕を捉えている訳では無いらしい。
視線を辿ってその先を見ると、湊生さんがいた。
魚ではなく、綾乃さんと一体化した――――太陽大命神アストレイン=ヴァーイェルドの姿の。
あれ?これは本当に予知夢なのでしょうか・・・・・・いつもと、違う。
『お前達はシンクロしつつある。このままいけば―――――――』
思わず固まってしまった。
今、何て―――――?
『片一方が、死ぬ』
二人のどちらかが言ったのではない。
暗黒のその世界の、上空のどこかから聞こえてきたのだ。
僕と、湊生さんが対峙して・・・・・・?
それで。
何?片一方が・・・・・。
「湊生さん――――いえ、アレンさん。やっぱり僕の方が――――らしいですよ」
僕は、一番大切な部分を聞き逃してしまった。
やっぱり僕が―――――何?
折角姫様に想いを告げたばかりなのに?
それで、姫様からもそれに対する答えを貰って正式に婚約したというのに?
僕が近い未来―――“死ぬ”と、言うのですか?
死ぬのならば、姫様を期待させてはいけない。
一線を引いて、遠退けて。
僕がいなくなった時、悲しまないように。
恨まれるなら、それでもいい。
恨まれても悲しまれることだけは・・・・・・・・嫌だ。
夢から覚めてベッドの上で上半身を起こして、レイトはその夢の余りの衝撃に、ハアハアと荒い息を吐き、頬の辺りに嫌な汗が伝って行くのを感じた。