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太陽系の王様 THE KING OF SOLAR SYSTEM  作者: Novel Factory♪
第十一章『光の掟』
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第十一章『光の掟』・第一話『恋人達の逢瀬・再びなされた約束』Part1

第一話は光の掟(つまり太陽国の話)にも関わらずメイン金星国、サブ主人公(ていうか、綾乃そっちのけでメイン主人公になりつつある)レイトが中心です。






「レイト王子!!」

 水星国の水減少事件から十日、綾乃達が太陽国に着き、そして水星国の湖がやっと元の量にまで戻った頃。

 体調の回復後、書類への署名捺印に一日を費やしていたレイトは、久々にワールドコネクトベルトを使って金星国に来た。

 先日通達された太陽大命神継承の儀という一大式典に出席する為に、執務を休んだ。

 まだ式典には日があるが、準備を手伝うことになっている。

 その途中金星国に寄ったのは、また関係無い理由からだが。

「わ・・・・・姫様っ!?」

 突如来るという連絡が来て急いで迎えに来たサラが、ワールドコネクトベルトから下りてきたレイトに駆け寄って行って抱き着いた。

 両想いになったあの日から、サラはレイトに会っていないし、諸事情から手紙等も交わせていない。

 レイトは驚いたが、やはり性差は大きいもので飛びついてきた衝撃でよろめくことは無かった。

 ちょうどサラの頭の頂点がレイトの顎に掠るか掠らないかくらいの位置にあり、顔が胸の位置にある感じになっている。

 比較的身長の低いレイトだが、最近成長期の影響か節々が痛み、身長がぐんぐん伸びていっており、まだもう少し伸びるかもしれないが現在およそ164㎝。

 それから頭一つ分、と考えたらサラは145㎝程度だろう。

 女の子は男の子に比べたらそれは確かに低いものだが、女の子の中でもやはりサラは小柄な方に入ると思われた。

 レイトと同い年の綾乃は157㎝あるが、どう考えてもサラが2年でそこまで伸びるとは考えられない。

 伸びて、150㎝を少し超えるくらいなのだろう。

 その身長差もあるが、思春期で体格が大きく変わってきたことで、余計にレイトにはサラが小さく見えて、そっと力を込め過ぎない程度に包み込むような形で抱き締める。

 控えめなサラが抱き着いてきたことで赤く染まっていた頬はそのままに、レイトは苦笑した。

「姫様。行きましょう」

 サラの身体をそっと離し、手を差し伸べる。

 そこに、サラの手が重なる。

 地球国で、海に向かって落下していっていた時、サラはレイトの手を取ることを躊躇した。

 けれど、今はそのような仕草は無い。

 そんなことは今は無いだろうと思っているレイトも若干不安があって、安堵した。

 遠巻きに見守っている人々は、それを見て微笑んだ。

 金星国の王家は民と共存することを大切にしている為、よくサラは城下町に遊びに来ている。

 だから自分の国の守護神だ、という知識的認識ではなく、近所の子感覚である。

 金星国のワールドコネクトベルトは城から城下町を通り抜けた先にあるので、先程サラが嬉しそうに走って行っていたところ、

「あれ、サラ姫どうしたんだい?」と次々に声を掛けられ、

「レイト王子がいらっしゃるの!!」と嬉しそうに返事をする光景が見られた。

 勿論先日の婚約発表は誰もが知っているし、しかもサラといつも一緒にいた優しいバンダナの少年が彼だったと知ると、国民は皆”それは素晴らしいカップルだ”と納得していた。

 傍から見ていてもバンダナの少年は姫のことを好いているようにしか見えなかった。

 そのことに気付かない鈍感な者を除いては、大体の人が”身分の差は仕方ないねえ”と思っていたものだ。

 加えて、サラは守護神である。

 成人してからその容姿をそのままに止め、その後300年近く生きる彼女らとは共に生きることは不可能だ。

「あ、果物屋のおばさん。お久しぶりです」

 中年とみられる快活そうな女性の前に立ち止まり、レイトは笑顔で話し掛けた。

「おお久し振りだねえ、半年ほど見てなかったけどどうしてたんだい?元気にしてたかい?」

「はい。諸事情により太陽国にいました。」

「あれ太陽国に?それにしても、レウィン君―――おっと、もう違ったね。レイト王子、大きくなったねえ」

「成長期ですから。まだ伸びますよ」

「金星国にはどうして来たんだい?」

 レイトが傍らに立つサラの方を見て、視線を感じたサラがレイトを見返す。

 サラもレイトが来た理由を知らない。

 二人に向け、レイトは簡単に説明した。

「もうすぐ太陽国で式典があるでしょう?その為に太陽国に向かっていたんですけど、金星国の国王夫妻と少しお話させていただきたい用件がありまして」

 あと出来れば、と前置いて、

「どうせなら、姫様と一緒に太陽国に行きたいと思いまして。姫様次第ですが」

 少し照れた風に微笑んで、どうしますか、とサラに問えば、こちらも同じように恥ずかしそうな笑みを浮かべる。

 若いってのはいいねえ、とその様子を見ながら、果物屋の店内の更に奥にある自宅でグータラ怠ける自分の夫を思い浮かべる。

 サラとレイトみたいな幼馴染みではないにしろ、お互い幼少時を知っているが、うん、どう考えてもレイトの方が良い男に思えた。

「おっと引き留めて悪かったね」

 いえいえ、久しぶりにお話させていただいて楽しかったですと笑うレイトとサラに店頭の林檎に似た果物を一つずつ手渡した。

 礼を言って城の方へ向かって歩き出す彼らに、また違う人から声が掛けられる。

 大変だな、と思いながら、女は二人を見送った。







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