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第6話 雨中の逃避行

「ちっ、雨か」

 ぽつりぽつりとルークの頬に冷たい感触を残していく。

「やばいな、大降りになるな」

 ルークは騎上で、着ていた旅装の撥水コートのフードを上げる。

 いつの間にか前が見えないほど嵐になっていた。

「早く止まないかなあ」

 護衛の騎士がぼやいている。

「おいおい、もっと緊張感を持って……」

 鋭い音とともに一本の矢がルークの目の前を過ぎていった。

「敵襲っ、各自散開、あと隊長いるか」

 ルークが指示を出す。

「はい、こちらに」

「護衛のうち十名を姫の専属に付けてくれ、それと後ろの文官達にも三名づつ頼む。残りは展開しながら索敵してくれ」

「はい、かしこまりました」

 ルークはまだ敵の総数を把握できていなかった。

「ルーク様、予想以上に敵数が多ございます。しかも手練れが揃っております」

「散開させたのは迂闊だったが、いまさら言っても仕方がない。なるべく協力して敵にあたれ」

「はっ」

 エリザベスも遅い馬車から、ルークの馬に飛び乗った。

 嵐の中追っ手に追われて、森の中を長距離逃げ続ける。

 ルークは護衛役として騎乗だったので撥水コートを身に着けていたが、彼女は馬車の中での軽装そのままだったので、びしょ濡れであった。

 彼もその他の護衛も、いきなりの襲撃で彼女の服装に構っている余裕は無かった。敵を排除しながらとにかく逃げるのに精一杯であった。

 以前の賊のような襲撃者と違い、統率の取れた特殊部隊のようであった。

 護衛の騎士も防戦に追われ、エリザベスから一人また一人と離れていく。

 いくらおてんば姫とはいえ雨中の行軍訓練をしている訳ではないので、今回の逃避行は彼女の体力を確実にに奪っていった。

 ルークが前に乗せた彼女に話しかける。

「どうやら、追っ手からは逃れたようだ」

「そう……」

「おいっ、どうした」

 安心したのか姫は力なく倒れて、彼にもたれ掛かっていった。

「おい、おい」

 彼女は疲労と寒さでほとんど意識を失っていった。

「おい、どうした」

 ルークが彼女を揺すりながら起こそうとしている。

 彼女の全身は震えており、唇は血の気が失せていた。

「まだ、暖かいな、これが冷たくなると最悪だな」

 彼は彼女の額に手を当てて温度を確かめた。

「おっ、いいところに洞穴がある。ここで少し休むか」

 彼女を鞍から落ちないようにして馬から降りると、荷物を降ろした。

 彼女の膝裏をかかえて背中からウエストへ腕を差し入れ、そのまま九十度回転させ抱き上げる。

「これぞ、正真正銘、お姫様抱っこてか……。まあ誰も聞いていないか」

 彼もどこか不安なのであろう、独り言をぶつぶつと言っている。

「悪いが、適当に走り回っていてくれ。用ができたら呼ぶから」

 馬の尻を軽く叩いた。

「ひひぃん……」

 馬がいななき走り去っていった。長年の付き合いで馬とはかなりの意思疎通が可能であった。馬がいると見つかる可能性もあるので、その場を外してもらったのであった。

「さあて……」

 洞窟の中に向かう。

 地面にコートを敷き、そっと横たえる。

「おっ、都合がいい」

 洞窟の入り口附近に乾いた枝葉が溜まっていた。

 入り口付近に枝や葉を何度か往復して奥に持っていく。

 集めた枝や葉に火をつけると、彼女の様子を確認した。

「ちょっと、まずいな」

 彼女は震えが弱くなってきており、手足が冷えている。

「どうするか……。まずはと……」

 彼はこぶし程の石を拾って火の近くに置き、馬に付けてあった防水布に包んである簡易の宿泊セットを持ってくる。手には毛布とタオルとサラシ布を持っていた。

「ごめんよ、まあ、二度も三度も一緒だよな……」

 彼女の長く美しい黒髪がしっとりと濡れて頬に張り付いている。

 雨水の滴る髪をタオルで丁寧にふいていく。

「さてと、次はこの服か」

 彼女にぴったりと張り付いた上着を、剥ぎ取った。

 水に濡れたブラウスが、肌にぴったりと張り付いていた。

 透けたブラウスからは下着がありありと窺える。彼女の露わになった美しく豊満なボディラインに、生唾を飲み込んだ。

 彼女のブラウスに手をかけると、ボタンを一つづつ一つづつ外していく。彼女の体を動かして腕からブラウスを抜いていく。

 胸を覆い隠している下着が彼の目に大きく立ちはだかった。軽く触れてみると水が押し出されてくるくらい濡れていた。

「こっ、これも取らなきゃだな……」

 許しを請うように留め具に指をかけて外していく。

「次は下か……」

 エリザベスの脚を持ち上げながら、水を含んで張り付く布地を苦労して脱がしていった。

 彼は一瞬固まった。

「こっ、これもだよな」

 最後に残された股間を被う薄い布きれを、その場に跪き両方の手を彼女の細い腰へと差し伸べた。

 指先でショーツの端を摘んだルークは、ひとつ大きく息を吸い込み少しづつゆっくりと下げていった。

 太腿まできた儚げな薄い布を両サイドから指を入れ直し引きあげるようにして脱がしていく。

 彼女の脚が指の位置にあわせて持ち上がっていく。

「さてと、ちょっと悪いが脚を少し開かせてもらうよ。言っておくけど仕方が無いんだからな……」

 火の近くにおいてあった手で持つには少し熱いくらいの石をサラシ布で包んで股の付根に置く。あと二つほど石を取り出し彼女のそれぞれの脇に同じように置いた。

 彼女の体を少し動かし背にタオルを敷き体の上から毛布で包んだ。

「では、この服を乾かしますか」

 大き目の枝を火の回りに挿して、物干し代わりにする。

「なんとも華やかな、ちょっと目の毒のような光景だな」

 焚き火の周りには、シルクのフリルのついたブラウスをはじめ彼女の素肌に身についていた可憐な布が干されていた。

 火のはぜる音が辺りに響いている。

 バチッ、一際大きな木の爆ぜる音がした。

「おう、あぶない。寝てしまうところだった。さてと、服は乾いたかな」

 彼は干してある服を確認していく。

「うーん、これはまだ駄目か」

 ブラは生地が厚いため、まだ濡れていた。

「じゃあ、ブラウスとこれを着せて、石も換えるか」

 毛布を剥がすと、一糸纏わぬ姿の彼女が現れる。

「あいかわらず、神秘的なまでにきれいな身体だなあ。言っておくけど緊急事態だからやむ終えずやっているんだからな。いいか、スケベ心で見ているわけじゃないぞ。そりゃあ、まったく無いとは言い切れないが……」

 彼は独り言を言いながら作業を進めていく。

「まずは、脚から穿かせてと……」

 彼は喉を鳴らした。目の前の魅惑の肢体を改めて凝視して止まっていた。

「いかん、いかん。さて、脚を通して、少しお尻を上げてね……」

 ショーツを穿かせると、ブラウスを彼女の腕に通していきボタンを一つ一つ填めていく。

「これぞ、男のロマンと言うのも分かるような気がする」

 ブラウスに形どられた乳房の輪郭とポチッと尖っている。はみ出した太ももから目を離せないでいた。


 ルークは焚き火の前で、うつらうつらと舟を漕いでいた。

「きゃーっ、なによ、この格好」

 起きたエリザベスに思いっきり殴られていた。

 ルークが次に気がついたときには、エリザベスの膝枕の上であった。

「ねえ、さっきはごめんね。助けてくれたんだよね」

「ああ、まあいいよ、役得があったからね」

「今回は、これで許してあげるわ」

「いてっ」

 エリザベスは頬を紅く染めて、ルークのほっぺをつねっていた。

遅れた分だけ、少し挽回します。

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