第11話 山賊
「うるせえ、いつまでも泣いてるんじゃねえ」
男がすごんでみせた。
「この子をいじめないで」
強い目つきで、女が睨みかえしている。
「うっせい、このアマ、犯すぞこら」
「おい、商品に手を出すとお頭に殺されるぜ」
「あにきぃ、こいつをほって置くのはちょっと」
「よし、生意気なやつにはお仕置きも必要か。触るだけならいいぜ」
「さっすが兄貴わかってら、楽しませてもらいますよ。うへへへへ」
男達の前には、薄布一枚を纏った様々な年齢の女達が手枷と足枷をつけられて座らされていた。
奴隷商に少しでも高く売りつけるため、いずれも扇情的な姿をさせられていた。
「お前も、その性格さえなければ、いい女なんだがなあ」
「くっ」
女は、男達の嘗め回すような視線に耐えていた。
その女は艶やかな髪、染み一つ無い白い肌、すっと通った鼻筋、引き結んだ瑞々しい唇、そしてきりりとした目をしていた。
彼女の凛とした整った顔つきを見て、きついと思うか美しいと思うかは好みの分かれるところだ。
男達を鋭く睨む瞳には、強い意志の光がある。
野卑な男達は、女の視線を真っ向から受けているにも拘らず、そのような視線に慣れているのか、たじろぐ素振りすら見せない。
男がにやりと顔を歪めて、彼女の身体に視線を這わしていく。
「兄貴、こんな極上のスケは初めてだぜ」
「そこいらへんの商売女とは違うぜ。本来は騎士様だからなあ。日頃の手入れが違うさ」
卑猥な会話と、全身をねっとりと舐めまわすような淫らな視線から避けるように、女騎士は身を傾げていた。
「あなた達、こんな事をしてどういうつもり。今すぐ縄を解きなさい」
必死に自由にならない身体を捩って、目で牽制しようとするが、それもままならない。
彼女は山賊の襲った村の近辺を守護する砦にいた騎士であった。
彼女達守備隊が村に急行すると、村は多少のよそよそしさが感じられたが平穏であった。
様子を聞くために村長宅に寄ったとき、お茶を振舞われ皆で飲んだ。
この瞬間、彼女は意識を失ったのであった。
この時すでに村は山賊に制されており、毒入りのお茶を飲まされたのであった。
気がつくと二の腕も露わなシースルーのネグリジェに深紅のショーツを一枚身に着けただけで拘束されていた。
若い女たちは彼女と同様に拘束され、そのほかの者は殺されたようだ。村人達も同様のようだった。
「どうした、俺達には触られたくないか」
伸ばしてくる男の手を、女騎士は不自由な身ながら巧みに避けていた。
「ひいっ」
年かさの男がいきなり、先ほど泣いていた少女の首すじをつかむと、右腕を振りかぶり平手で薄い布地越しに、発達途中の臀部を打ちすえた。
少女の唇が驚きと突然の苦痛に歪んで短い叫びを吐く。
「いうことをきかなきゃ、こいつが痛いめにあうぜ。おとなしくしな」
張りのある肉体をしばく手応えに酔った男は、つづけざまに三回打撃を加える。
「ひいっ、いやっ、きゃあ……」
「わかりました、やめて、やめてください。言うとおりにしますから……」
大粒の涙と悲鳴を上げて身を震わせる少女を視界の片隅におさめると、女騎士は唇を噛みしめながらおとなしく胸を突き出した。
「おおう」
期せずして二人の男の口から、唸り声にも似た驚嘆の声が洩れた。
「体つきも抜群だぜ」
ドレスのように細い紐で肩から吊った形のその衣は、均整のとれたプロポーションの彼女にぴったりとフィットしていた。
薄い布が肌に張り付き、身じろぎする度に揺れる豊かな連なりや、形を変えるまろやかな稜線を浮き立たせている。
あまりにも薄い布は、彼女の肌を浮かび上がらせたまま、臍の形や深紅のショーツの刺繍すらも透き通らせ、肌を隠す役目を完全に放棄していた。
透けて窺える彼女の官能的な姿態に、手下の男はズボンの下を隆起させつつあった。
女騎士は汚いものでも見るように、睨みつけた。
「まあ、そんな顔をしないでくれよ。きつい姉ちゃんだが、ここはなかなかいいパイオツじゃねえか」
手を伸ばせばすぐのところに展開されている豊熟した双球の膨らみに、男は涎を流さんばかりにしている。
欲情にしたがって男はその毛むくじゃらな無骨な手をさしのばすと、掌でその豊かな半球を周囲から刷くようにソフトタッチで触っていく。
それから円を描くようにゆっくりバスト全体を撫でていった。
柔らかく揺らされて、持ち主の意志とは関係なくなめらかな双乳はその形を変えていく。
「いやっ……ああっ……」
薄布の上から指の腹を中心の突起に当てて、少し強めに押さえながら円を描いていく。
転がすようにその硬さを確かめるようにじっくり弄っていく。
「ひっ……」
「騎士様よ、こいつの手はなかなかだろう。もともとは娼館の調教師だからな。ちょっと喧嘩早いから首になっちまったけどな」
「兄貴、それは言わないでくれよ」
いかつい風貌に似合わず繊細な指遣いで、女の膨らみを捏ね回していくのであった。
女騎士の唇から漏れる拒否の言葉にも徐々に甘いモノが混ざりつつあった。
「おうおう、立ってきたぜ」
ごつい指の巧妙な刺激に、バラ色の突起がシースルーの布地を押し上げていく。
「ひあっ……駄目っ……」
おぞましい感覚に、美しい犠牲者は身をよじって逃げようとする。
しかし背後の男が、そうはさせじとぐっと抱きとめ、弟分のほうへ女体を押しつけるのだった。
「どうだ、たっぷりいじってやんな」
「あ、兄貴。たまらないおっぱいだぜ……」
極上の感触に目をギラつかせ、執拗に円を描くようにバスト全体を撫でてこねまわす。
「それにどうだ、この柔らかさはよう、どこまでも指がめり込んでいきそうだぜ」
下から掬い上げるようにして、その重みを確かめながらゆっくりと指を食い込ませていく。
時折、母乳を絞り出すかのように縊り、その先端を弄くりまわす。
「む、むう……」
苦悶の表情を浮かべる女の姿を、男達は堪能していた。
抵抗しようにも、背後から強い力で抱きすくめられ、二の腕をがっしり押さえられていた。
彼女は歯を喰いしばり耐えていたが、そのおぞましくも淫らな責めにいつしか呻きが、喘ぎに変わりはじめていった。
「火事だー、急いで消火しろ」
「いや、襲撃だー」
外がいきなり嵐のような喧騒に包まれ始めた。
「どうなっているんだ」
「兄貴、どうしたんだろう」