表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あの夜、僕は“普通”を失った。ヘブンズ・ウェイ!  作者: SodaKun


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/7

助けたのは誰?

こんにちは、SodaKunです。

普通の高校生が秘密を持つ話を書いてます。

読んでもらえると嬉しいです!



羽が震えている。音が強すぎて、耳が耐えられない。その音のせいで頭がくらくらする。なぜ、耳鳴りがしているんだ? 耳が……!


「な、何が起きてるんだ!?」


俺はその音から身を守るように、両手で耳を塞いだ。怪物がこちらに向かって飛んでくる。何だ、あれは!?巨大なハエ!?

……いや、違う。言葉で表せない。この感覚……。なぜ世界が揺れて、視界がぼやけるんだ?胸が締めつけられるように痛い。こいつは、この世界の存在じゃない。

怖い。恐ろしい。どうすればいい?俺に、何ができる?

足元がふらつく。

脚に力が入らない。

もう、立っていられない。

――音が、消えた。

耳鳴りすら聞こえない。

心臓の鼓動だけが速くなり、俺は地面に倒れ込む。

闇。何も感じない。見えない。聞こえない。味もしない。匂いもしない。まるで……死んだみたいだ。


「ふふ……ええタイミングで通りかかったわ」


声がする。

少しずつ聴覚が戻ってくるが、姿は見えない。


「かわいそうになぁ。わしがほんの一瞬でも遅れとったら、あいつは次の餌食になっとったやろ。助けてやったんやけん、わしに感謝せぇよ」


その声は、柔らかく、滑らかだった。冷たいが、刺すような冷たさではない。混乱する。間違いない――女の声だ。

ゆっくりと……再び耳が機能しなくなる。今度は、身体ら動かない。闇だけに包まれ、何もない。思考が途切れた。いつ、考えることをやめたのかも分からない……。



~午後8時~



……落ち着いている。心地いい。ゆっくりと目を開けようとする。眩しい光が顔に差し込んだ。


「ん……う、うん……なに……?」


目を開けようとするが、なぜか言うことを聞かない。数分間、無理やり開け続けていると、ぼやけていた視界が少しずつはっきりしてくる。倒れる前、最後に見た人物――

目の前にいるのは、大人の男だった。

背が高く、筋肉質。顔には少しだけ無精ひげ。漆黒の髪と、怒りを宿した茶色の瞳が俺を見下ろしている。


「ようやく目を覚ましたか、若造!」

「うーん……どこかで見た顔な気がするんだけど……思い出せない」


彼の顔が、ぱっと大きな笑顔に変わった。瞳の怒りが消える。


「どこでだ!? どこだ!? 俺、有名人か? 俳優に見えるか!?」

「いや……ただの視野が狭そうな人に見える」


その笑顔が一瞬で消えた。


「起きろ!! このガキ!!」


耳元で怒鳴られ、俺は反射的にベッドから飛び起きた。その瞬間、現実が容赦なく叩きつけられる。


「と、と……父さん!!」


驚きの声を上げた次の瞬間、拳が頭に落ちる。


「いてっ!!」

「黙れ!! 自分が何をしたか分かっているのか!?」


痛む頭を押さえる。


「え? 何のことだよ……?」


父は目を閉じ、心底苛立った表情を浮かべた。


「朝っぱらから道の真ん中で倒れていただと!? 近所の評判がどうなるか分かっているのか!! 今も噂になっているんだ! お前は——」

「ゆうき!!」


突然、誰かが俺に飛びついた。


「大丈夫!? ゆうき!」

「姉ちゃん!」

「本当によかった……心配したのよ」


姉の坂本あゆみだ。父よりも母に似ている。記憶の中と変わらない、優しい笑顔。


「生きているだけ感謝しなさいよ。あんたの評判は地に落ちるし、社会に“金髪の不良”だって証明したようなものね」


鋭い女性の声が突き刺さる。

かすみ。もう一人の姉だ。歩美が穏やかで優しいのに対して、霞は口が悪く、舌が鋭い。同じ双子なのに、正反対だ。

――ふと、疑問が浮かぶ。誰が、俺をここまで連れてきた?俺はあゆみの腕から離れ、立ち上がった。


「気をつけなさい、ゆうちゃん!」


俺の視線はかすみに向く。


「どういう意味だ?」

「“どういう意味”って?」

「俺を家まで運んだのは誰だ? あんたたちが、道で倒れてた俺を連れて帰ったとは思えない」

「確かに、私たちがあなたを連れてきたわけではありません。あなたをここへ連れ戻したのはある女性でした。彼女は、あなたが路上で寝ていたと私たちに話しました。最初はお酒を飲み始めたのかと思いましたが、あなたの体にも口にも酒の臭いはありませんでした」

「女の子……!? 今、女の子って言った!?」


目が見開かれる.。倒れる直前、あの巨大な虫と遭遇した時――

確かに、女の声を聞いた。あの声の主なら、答えを知っているかもしれない。


「大丈夫?」

「名前は言ってた? 何か、特徴は覚えてない?」


かすみは首を横に振った。

あゆみが立ち上がり、口を開く。


「あなたの学校の子じゃないわ。あんな子、見たことないもの。綺麗な子だった。私はあなたのクラスメイト、全員知ってるけど……見覚えがなかった」

「そっか……。大丈夫だよ、姉ちゃん」


俺は小さく微笑んで、歩美を安心させた。


「元気出してもらおうと思って、あなたの好きな料理を作ったのよ! 今から準備するわね」

「いいよ。腹減ってない」

「何だって?十時間もクマみたいに眠っていたじゃないか。お茶だけ持って家を出ただけだろう」


その言葉を無視する。


「今はいい。一人になりたい」


今度は父が怒鳴った。


「この野郎は私たちの名を汚すだろう。もしあなたの母さんがまだ生きていたら、息子が不良になったのを見てがっかりしただろう」


その言葉も無視し、俺はリビングを出て階段を上る。

――母さん。あれから、もう十年が経つ。

私の作品を読んでくださっている皆様、ありがとうございます。皆様に楽しんでいただければ幸いです。初めてですが!SodaKun Out!◇

いつも俺のぶっ飛んだアイデアに付き合ってくれる親友・ブルートに感謝。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
こんにちは, これはコーオーサーのアカウント
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ