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見える世界

こんにちは、SodaKunです。

普通の高校生が秘密を持つ話を書いてます。

読んでもらえると嬉しいです!

砂に覆われた荒れ果てた大地。岩だらけの山々が連なり、水の気配はどこにもない。空は赤く、太陽も月も見えない。それなのに、世界は不気味なほど明るかった。

音がする。



〜午前四時三十分〜


空は青く染まり始めていた。

まだ闇は残っているが、やがて雲の向こうから太陽が昇り、闇を押し流していく。


「この気配は何だ?こんなに強い御霊を感じたことはない」


一本の電柱のてっぺんに、少女が立っている。彼女は空を見つめていた。もうすぐ、朝日が昇る。――次の瞬間。

彼女は、最初から存在しなかったかのように、忽然と姿を消した。



〜午前八時〜


「てめぇ! よくも三苫を殴りやがったな!!」


私に怒鳴りつけたので、そいつの顔を殴ってやった。


「うるせぇぞ!」


一歩、前に出る。


「警察に訴えてやるからな、このクソガキ!!」

「先に手ぇ出したのはそっちだろ!!」


二人は理不尽な言い訳を並べ立てる。その“ボス”らしい男は、地面に倒れて気絶していた。さっき、俺が一発で沈めた。

俺はその頭を、もう一度殴った。


「いってぇ!!」

「黙れ! てめぇら、自分の何が悪かったかわかってんのか!?」


二人は顔を見合わせ、それから俺を見た。どこにでもいるな、こういう馬鹿は。俺は電柱を指さした。


「何が見える?」


そう問いかける。

二人は電柱を凝視した。


「……な、何もねぇ!」


俺は苛立ちを抑えるように、目を閉じた。なんで、俺だけなんだ。


「もういい!」


そう言って、今度は自分の髪を指さす。


「何が見える?」

「髪だよ」

「色は?」

「金髪!!」


俺は二人の襟首を掴み上げた。


「ふざけんな!金髪だからって、不良だとかヤンキーだとか決めつけるな!その腐った考え、今すぐ捨てろ!!」

「す、すみません!! 許してください!!」


俺は手を離した。

二人は、転がるように逃げていった。気絶したままのボスを置き去りにして。地面には、金属バットが落ちている。間一髪だったな。先に倒してなかったら、あれで殴られてた。俺はバットを拾った。ラッキー。新しい素振り用のバットだ。


「……最悪だな。朝の散歩が台無しだ」


そう呟きながら、俺は電柱のほうへ歩き出す。

俺の名前は 坂本ゆうき。十五歳。どこにでもいる普通の男子高校生だ。口が悪いのも、この年頃じゃ珍しくない。むしろ、俺はそれを気に入っている。世間がどう思おうが、知ったことじゃない。――だが。俺には、ごく一部の人間しか知らない秘密がある。


「ありがとう、お兄ちゃん!」


電柱の前で、俺は足を止めた。そこには、小さな少女が立っていた。一見すれば、普通の女の子。俺の妹だと言われても、疑わないだろう。だが、違う。最初は、俺も“普通”だと思っていた。だが、こういう存在を、俺は何度も見てきた。少女の額から、血が流れている。そして――彼女は、電柱に繋がれていた。


「礼なんていらねぇよ。髪のことで悪口言われたから殴っただけだ。お前のためじゃない」

「でも、お兄ちゃんの髪、かっこいいよ!」

「……あ、ありがとな」


少女は、にっこりと笑った。彼女の身体には、六本の鎖があった。両手首に二本、両足首に二本、首に一本、そして――心臓の位置から一本。鎖は巻きついているのではない。

そこから生まれ、電柱へと伸びている。

彼女は、人間じゃない。――幽霊だ。これが、俺の秘密。俺は生まれつき、世界を“違う形”で見ている。死んだ人間、死んだ動物、死んだ植物。全部、見える。それだけじゃない。人の周りには、色とりどりの“線”が見える。薄い者もいれば、濃い者もいる。

俺は、少女を見下ろした。


「……どうやって死んだ?」

「わかんない。道を走ってたら、車が来て……気づいたら、ここにいたの。他の子と遊ぼうとしたけど、誰も聞いてくれない。ボールもくれないママに、会いたい……」


少女は俯き、鼻をすする。……泣いてるのか。


「……大丈夫だ。もしよかったら、俺が毎日来て、一緒に遊んでやる」


少女は顔を上げた。その目には、希望が宿っていた。


「ほんと!? 本当に、遊んでくれるの!?」


俺は、黙って頷いた。


「やったぁ!!」


少女は、嬉しそうに跳ね回る。

子どもの希望ってのは、本当にすごい。生きていようが、死んでいようが関係ない。こんな子たちまで、残酷な社会に壊されるべきじゃない。

俺は、思わず笑った。


「なに!?」


その瞬間。背筋に、悪寒が走った。少女も同時に感じたらしい。――冷たい。鋭い。耳鳴りのような、甲高い音。

まるで……昆虫の羽音。


「お兄ちゃん!」


少女は俺の背後に隠れ、足にしがみついた。理由は、嫌でもわかる。……俺も、逃げたい。これは、普通じゃない。幽霊は何度も見てきた。だが――これは別次元だ。


「な……何だよ、あれ……!?」


羽音は、そいつの翼から発せられていた。――巨大な昆虫。大きさは、人間とほぼ同じ。まるでホラー映画から出てきたような姿。

確かに、太古の地球では酸素濃度が高く、巨大な昆虫が存在していた。だが、俺が見てきた幽霊は、せいぜい死後十年以内のものだ。……こんな太古の存在が、今ここにいるはずがない。

意味がわからない。怖い。


「……どうすりゃいい……?なんだよ、これ……」


私の作品を読んでくださっている皆様、ありがとうございます。皆様に楽しんでいただければ幸いです。初めてですが!SodaKun Out!◇

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