うどんタイマー代わりに使用したボカロ曲
私は中学生の時からボーカロイド曲、通称ボカロが好きになった。そして高校生になると、ボカロにドハマリして、いつの間にか様々なボカロを聴きまくる、ボカロ巡りが趣味になっていた。そんな時に出会ったのが、ボカロPである傘村トータ様だった。
傘村トータ様と出会ったきっかけと言えば、ボカロ巡りをしていて、「たった1つの願いが叶うなら」という曲のタイトルに惹かれて再生したことだ。つまり、彼女の曲と出会ったのは、偶然だったとしか言いようがない。その曲を聴き、美しい歌詞、美しい曲、美しい協調と何もかもが惹き込まれて、彼女の曲を巡りたいと思ったのだ。
早速彼女の曲を巡ろうと決めたものの、その時ちょうど12時であったため、昼ご飯を食べようと、どん兵衛を取ってお湯を沸かすことにした。
その少しの間に、彼女の曲はどんな曲があるのか曲の一覧を見ると、なんとすでに90曲以上UPされており、これは巡るのは中々骨が折れそうだと思いながらも、これから多くの曲を聴くことが出来ることに喜びを感じていた。
新しくUPされている曲からタイトルとイラストを眺めていると、「ドラドの悲劇」というインパクトのあるタイトル、美しいけど哀愁さを漂うイラスト、そしてボーカロイドのFukaseに興味を惹かれた。また、その曲はなんとジャスト5分。このどん兵衛が出来上がる時間を、この曲で測れることに気づいたのだ。これはちょうど良いうどんタイマー曲だなと思い、お湯が沸くとすぐにどん兵衛にお湯を注ぎ、蓋をした直後に、その曲をかけた。
――その5分後、曲を聴き終わった私は涙を浮かべていた。何故ならその曲は、優しくて切なくて感動する曲だったからだ。そのため、私はその曲の世界に完全にのめり込んでしまっており、ドラドってどう言う意味なのか調べたり、再び曲を聞いて再度その曲の世界観に浸ったりと、曲や歌詞を噛み締めて、またFukaseくんの声にも聞き惚れていた。そして、また聴き終えるとまた再度再生し、5回ほど聞いたほどで、ようやく元の意識が戻った。
スマホの時刻を確認すると、お湯を入れた時から約30分ほど経過していた。私は慌ててどん兵衛を見ると、スープは明らかに減っており、麺も明らかに伸びていたのだ。これはもう食べられないと諦めるしかなかった。しかしこの時、私は人生で1度も伸びた麺を食べたことがない。伸びた麺は食えたものではないとよく言われるが、どれぐらい不味いものか気になって少し食べてみることにした。すると、それは私の想像するものとは違うものだった。
ハッキリ言って、普通に5分測ったどん兵衛の方が美味しい。しかし不味いという感覚はなく、普通に完食することが出来た。味も別に悪くはないし食べやすいので、喉が痛くてしっかりと食事を取りたい時は、案外いけるのではないかと思った。普通なら不味くて当たり前だろうから、それを普通に食べれるどん兵衛って凄いと改めて思った。そして、うどんタイマー代わりに聞いた曲が神曲であったのだから、後悔なんて微塵もなかった。
因みに、どん兵衛を30分ほど空いて食べた人がいたりするのかなと思い、ネットで調べてみたが、2件引っ掛かり、共に悪くないと書かれてあった。またさらに調べると、他には10分どん兵衛や電子レンジどん兵衛というのもあり、様々な時間や方法で食べられているのだと、この時初めて知った。
私はその後、10分どん兵衛や電子レンジどん兵衛を共に試して食べてみたが、これはこれでどちらも美味しかった。何なら、電子レンジどん兵衛に関しては、普通のどん兵衛よりも麺がツルツルしていて、私の好みだった。
今では傘村トータ様は、私の中では1・2位を争うほど大好きなボカロPさんで、どの曲も本当に大好きだ。
そして、どん兵衛も現在は電子レンジを使ってより好みの味で食べている。
勿論、傘村トータ様は有名で人気のあるボカロPさんであるためいずれかは彼女の存在を知っていたのは間違いないし、またどん兵衛の食べ方はけっこう有名であるため、こちらもいずれは知っていた可能性は非常に高い。
しかし、素敵な曲・ボカロPさん、素敵な食べ方を同時に早く知ることが出来たため、私にとってはこれ以上になく嬉しい出来事だったのは間違いない。