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勇者でしたが魔王を目指すことにしました  作者: unknown
「アモデウス大森林」
2/2

1話 変な人間

 テオルが行方不明となってから数日、王国内は大混乱に陥っていた。当然だろう、魔王の城へと攻め込む直前で希望を失ったのだ。


「王国はやっぱ混乱するよなぁ。」


 テオルは王国から離れ、「アスモデウス大森林」へと足を運んでいた。「勇者が消えた」などという情報は魔族(カオス・モンスター)からすれば、王国に攻め入る最大のチャンスとなるのだ。

 魔族(カオス・モンスター)は、魔物(モンスター)の上位存在であり、知性のある魔物のことを指す。そしてこの「アスモデウス大森林」は魔族(カオス・モンスター)で構成された、いわば人間からすれば最悪の森なのである。だからこそテオルはこの森へと身をひそめたのだ、王国に攻め入る最大のチャンス、それを魔族(カオス・モンスター)たちが見逃すはずがない、王国に攻め込むための作戦を練るはずだ、よってこの森は現在さほどの脅威とはなっていない。それに人間たちは足を踏み入れない、そう考えたのだ。


能力(スキル)は...うん、やっぱり協会の加護がなくなってる今は使えないな。」


 この世界での能力(スキル)は、女神アテナから授けられた物であり、協会の加護を得て、女神と間接的に繋がることで使用が可能となる。テオルは現在王国を離れ、「悪魔殺し(デビルキラーズ)」から受け取った防具を捨てた状態であり、女神と繋がる手段を無くしている。のでテオルにとって能力(スキル)が使えないのはおおよそ予想通りであった。


 ガサガサッ!!


 テオルは物音がしたと同時に咄嗟に剣を引き抜いた。能力(スキル)が使えない戦闘は何年ぶりだろうか、そんなことを考えていた。

 が、テオルはすぐに剣を鞘に納めた。

 女の子だ。それも自分とさほど年齢が変わらなさそうな女の子、だがここは「アスモデウス大森林」、ただの女の子ではない、そんなことはテオルにもわかっていた。だがそれでも剣を納めるに値する理由があった。

 ケガだ。ケガをしていたのだ。


「あんた、そのケガ...」


「ひっ...人間...!!!」


 女の子の魔族(カオス・モンスター)はテオルを見るやいなや、炎魔法をテオルめがけ放つ。


「少し話を聞け!!」


「人間の話など...誰が!!!」


 仕方ない、少し荒いけど...!

 テオルは一瞬にして魔族(カオス・モンスター)への距離を詰め、「雑貨屋(アイテムショップ)」での件でくすね、バッグに詰めていた回復薬を魔族(カオス・モンスター)の傷へとかける。

 魔族(カオス・モンスター)は一瞬にして意識を失った。

 ...傷が癒えていく...痛みが...なくなって...なんでこの人は...私は...魔族なのに...


「起きたか?」


 目を覚ますとそこには先程の人間が自分の横に座っている、それに加え周りの安全のために「簡易結界(壁魔法)」を張っている。

 この人間の思考が理解できない...油断している今なら...!


「やめとけ、傷が広がる上に、今魔力(マナ)を消費したらお前の体が消える。」


 思考を読まれてる、こんな人間は初めてだ。思考を読めるほどの強さ、それに魔力(マナ)の容量も見える、なのにどうしてこの人間は私を生かした???


「思考が読めるんでしょう?隠しても無駄だと思った、だから聞かせて。」


 テオルはため息をつき、はいはい、なんとなく読めてたし。という態度を全面に出し、答える。


「俺は魔王になりたい。未来で自分の民になる者を救うのは当たり前だろ?」


 は?理解ができない、人間が魔王に?なぜ?こんな変なことを言う人間など...人間など...


「あんた、名前は?」


 彼女は考えるより先に自分の名前を声に出していた、「アグニス」と。

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