目覚めるチー牛
数年間眠ったままだった比呂保保
ずっと眠ってもいいよと息子に言われて大喜びで睡眠に入ってからというものの、まったく目を覚まさなかった。
宇宙の転換期までには目が覚めてハヤットを殺す手筈だったが、比呂保保は時間感覚がもう特異点の中でめちゃくちゃになっていたし基本的に怠惰なチー牛だったので、
気がついたら宇宙の転換が終了していた。
慌てて目を覚ました比呂保保は急いで家の外に出てあたりを見回すと、いつもは近所でラジオ体操をして畑を耕したあとは読書に耽ってる隣人のローレンスさん(チー牛)の姿も
その家の向いでいつも比呂保保に家の牛の乳で作ったチーズを届けてくれるベケットさんも 見当たらなかった。
穏やかな時間が流れていたチー牛桃源郷は荒廃しており、人工太陽も陰っていて光が薄く心地よくなく、特異点にヒビが入っていた。
高台に登ると町はどこか争った形跡があり、ハヤットの乗ってきた船は特異点のバリアを破って開けた穴をそのままに船ごとなくなっていた。 誰一人気配もなく比呂保保は町を彷徨い誰かいないか探したがまったく見つからなかった。
仕方なく夕暮れに家に戻ると
何か玉のようなものが落ちていた。
それを拾い上げてボールについていたボタンを押すと映像が流れる
比呂君の記録映像だった
「父さん 父さんが目を覚まさなくなって 僕の計画は水疱にきしたみたいだよ ギリギリの今日まで 宇宙転換の当日までずっと待ってたよ あらゆる手を尽くして父さんを起こそうとしたけどまったく父さんは起きようとしなかった。
ここまでやる気のない人だとは思わなかった 正直軽蔑したよ
こうなったら僕は他のチー牛 父さんが率いていた村人たち チギュリアン等 遺伝子が同じではないけど近い人たちと協力してハヤットたちと正面から戦うことにしたよ 正直 黄昏の時代 もう宇宙で生き残ってるのは僕たちだけなのにこんな所で戦うなんて宇宙の最後として最も愚かなことだと思ったよ だからハヤットだけを倒すつもりだったんだ でもそれは難しそうだった だから僕たちはパリピやリア充たちを駆逐して次に宇宙でチー牛だけの世界を作るために戦うよ どうなるかはわからないけど、
父さんはいつ目を覚ますかわからないけど 目を覚ました時は僕と同じ力を持っているはずだよ そして父さんが本来持っている次の宇宙の未来の文明から情報を得る力 どういう仕組みかは最後までわからなかったけど、それで父さんはきっと偉大な力を得るはずだ もし目が覚めた時にまだ僕たちが戦っていたら 助けて欲しい。 今からハヤットの船に攻め込むところだ 僕はハヤットを目の前にしたら洗脳を再度受けるだろう だからその時は自爆するように設定した。 それでハヤットを倒せず他のチー牛たちも攻勢に失敗すれば父さんも寝てる間にやられてしまうかもしれないけど
とにかく行くよ これでこの宇宙は終わる 父さん 元気で 僕を産んでくれてありがとう」
比呂保保は焦点の合わないね目で映像を見たあとでまた走って外に出た。 宇宙船のあったところに向かっていき、小さなオートモービルで特異点の外に向かって走らせていった。
ハヤットの船についていたオートモービルは単独でブラックホールを脱出できるだけの機能があったのでそのままハヤットがブラックホールに開けた穴をそのまま通って外まで出た。
宇宙の転換によってブラックホールの外郭は剥がれてボロボロになっており宇宙はバラバラに崩壊していた。
次元がギタギタに切り刻まれて無数の次元が入り乱れた状態だった。宇宙は空間の歪み 次元の波が津波のように襲いかかって空間がズタズタになっていた。
時空の津波自体は過ぎ去っており、すでに宇宙全体を覆い尽くして何もかも飲み込み破壊していた。 残ってるものはブラックホールの中の特異点に残っていた文明に残骸だった。
比呂保保らチー牛達が作った文明だけがこの宇宙の中でまともな形状と機能を残したまま次の宇宙に繋がった。
崩壊した宇宙はしばらくしてサイズをものすごく収縮したのちに、徐々に次元の破壊を修復を始めていた。
比呂保保はそんな様子を眺めながら空間をしばらく漂っていた。 ハヤットたちは!? 息子は? チー牛の仲間達はどうなった? しばらくあたりを彷徨っているとセンサーに反応があり、このモービルの母艦 であるハヤッとの船のシグナルを発見したので急いで向かっていった。 ブラックホールの裏側に時空アンカーが埋め込まれ 吸い込まれず ブラックホールの近くでも問題なく口腔できるような船だ。
宇宙転換もこの船の機能で乗り切れる状態を作っていた ちゃんと形状を維持して宇宙転換を乗り切っていたようだ。 だがかなりの損傷をしており、起動もしていないようで急いで比呂保保は中に乗り込んで様子を確認した。
格納庫から侵入するとそこでは激しく争ったであろう跡が残っており、戦闘員などの死体も漂っていた。
親戚のミロットさんの死体 ドミトリーさんの死体も転がって一旦比呂保保はショックを受けていた。
そのまま奥に進んで船のメインエリアに向かっていった。
明かりがついている、、
そこでは誰かがそこで火を起こしており佇んでいた。