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原始時代のチー牛  作者: akira
11/22

伝説を語られるチー牛


比呂保保は人生で初めてコールを成功させたことで悦に浸っていた。

コールってこんなに楽しかったんだな。




盛大な祝いが終わった後で、比呂保保を目覚めさせたチー牛執事が声をかけてきた。


比呂保保様 すばらしいコールでした。感服いたしました。



ありがとう コールを成功させたのは初めてで感極まってしまったよ ハハ

照れくさそうに比呂保保は答えた



しばらく談笑した後、執事は少し神妙なおももちで切り出してきた。


あなたに見せるべきものがあります。ついてきてくださいませ。


比呂保保はいわれるままについていき、屋敷の地下を進むと地下の人口物の向こう側は岩の洞窟がつながっていた。 

その奥へ進むと 豪勢な絨毯や灯篭 明かり に照らされて 神殿のような空間がひろがっていた。

巨大石造りの柱があてがわれ、地下で粗暴なつくりのようにみえる古い洞窟内だが

安定させるための最善策がほどこされていた。


その一番奥の屋代を通る抜けていくと 洞窟の岩肌に描かれた巨大な壁画があった。





比呂保保様 あなたはこれをご存じのはずです。 そうですね?




比呂保保はぼんやりとそれを眺めていたが、確かに見覚えのある絵だった。 






「これは、俺が描いた絵だな、、」



その通りです。あなたが描き続けた絵の、そのうちの一つです。



「まだ残っていたのか、懐かしい というべきなんだろうか 俺はもう時間感覚なんてものがなかったからつい最近描いたようにも思えるし

大昔に描いてから悠久の時を過ぎたようにも思える。でもこれだけ風化しているのを見るとだいぶ時間がたっていたんだな」



我々はあらゆる手を尽くして発見できたすべての洞窟画の保全をおこなってきました。世界でもっとも価値のあるものですから。



ぼくが描いたのはただの絵じゃないか 大げさすぎないか? 

ぼくは眠っていただけで、目覚めたら世界がかわっていた というだけ。

なにがそんなに君たちに僕を崇拝させてるっていうんだい?



この絵はただの絵ではないのです。これは我々にとって 

いえ、単純に世界そのものを変革させる非常に重大な鍵となるものでした。



あなたの絵はただの絵ではないのです。

これは世界を変える重大な発見の連続でした。ひとつひとつの洞窟画に

最新技術の示唆、世界を変える考え方、効率的な農業の考え方


ただ農業ひとつとっても、家畜を育てるエリア、作物を育てるエリア、土を休ませるエリア それを一定期間のうちに回転させることで

作物は驚くほど安定してとれました。 ただ知りさえすれば、発見さえすれば実行は簡単なもの そんな示唆が最初のうちは

我々を豊にしていきました。実際、そういったことでも十分偉大な発見だったのですが。


我々がすこしづつ賢くなり、文明レベルがそうやって引き上げられていくうちにあなたの絵に秘められた謎が

解明されるたびに、そこには世界を変える情報が無数に眠ってることに気づいていったのです。



それらを解明することで科学技術の発展に大いに貢献し 我々チー牛のような弱者が生き残り勝利を得るためのあらゆる知見が書いてありました。

いまだに解明できていないものが多くありますが。 



そして壁画には技術発展の知識だけでなく、多くの教え、導き、心の在り方の示唆そういったものが多く描かれており

それは私たちチー牛たちの心をまとめ上げ団結させ 強い意思を宿し 信念をもち 集い 力をつけるための基盤となりました。


チー牛が人々からあがめられ大切にされ人の輪の中で生き生きと暮らし楽園に導かれるような絵 あなたが描いたものの中でもっとも数が多いものです。

大陸中で迫害されていたチー牛たち、ご存じでしょうが私たちは同じチー牛同士といえど協力しあうことはめったにありません。

コミュニケーションをとらず、一人で過ごすものばかりです。



しかしあなたが描いたチー牛賛歌の傑作たちを数多くのチー牛が発見し感化され影響され強められわたしたちは変わっていったのです。



そしてあなたが作った原初のチー牛楽園 そこに集った12人のチー牛たちは使徒としてあなたの教えを広めていったのです。




「え? 使徒?」」



伝説の12使徒は、あなたが作った原初のチー牛の楽園から、追放されたあとまたどこにいっても迫害を受けました、それから十数年荒野を彼らもさまよっていたのです。

どこにもうけいれられず、あなたという指導者も失い苦痛にさいなまれながら生き続けていました。


そんなある日、使徒たちは荒野の奥深くでこの壁画を発見したのです。筆跡 絵柄からすぐに比呂保保さまの描いたものだと直感したようです。

彼らはその絵の偉大さに心奪われ、その力強さに失われた希望の灯をふたたび心にともしました。 きっと近くにいるはず と

比呂保保様を探し回りました。


使徒たちはこの場所を拠点に長い間あなたを探し回りましたがついに見つけることはかないませんでした。

しかしその間にもあなたの描いた絵が次から次へと見つかり、それを地図に記しては戻り、その間に見つけた迫害を受けてきたチー牛を発見しては

手を差し伸べ連れてきました。 


次第にこの場所はチー牛たちの寄り合い所となり、村となり大きくなっていきました。


チー牛の使徒たちはこの壁画を奉り比呂保保さまを奉り こうして洞窟内を宮殿のようにしてました。

集落はただの集落ではなく、わたしたちチー牛の聖地となっていったのです。



あなたの描いた壁画は天板にうつされ、多くの人が現地にいかなくてもよめるようになっていきました。 

それは聖典となり聖典チーズ牛丼バイブルとして多くの人によまれるようになりました。



使徒たちは聖典研究を熱心に行い、あなたの考えていたこと、あなたがなしたかった事、絶えず研究しつづけるうちに 

ひとつひとつの絵に大きな意味があり、そのなかには未来の知識や技術発展のためのかぎがあることに気が付くものが現れ始めました。



ひとつひとつ仮説をたてて実際に試してみると、見たこともないような現象が繰り返し起きました。これはただ事ではないとみなが考え

聖典を読み解き、解約しわたしたちチー牛の集落は大きな力を手にしていきました。



次第にチー牛ではないものの イ・ンキャと呼ばれていた迫害を受けていたものがまじりあい、 そのうちヨ・ウキャと呼ばれるものたちすら

聖地チー牛の桃源郷に集まり始めました。 大陸中にあったあなたの絵の影響はチー牛だけでなく一般人にまで及び、


ある時期にはもうだれもこの大陸でチー牛を馬鹿にするものはいなくなっていきました。



チー牛の歴史が始まったのです。みるみるうちにわれらの勢力は拡大し、数と技術力で他部族を圧倒し傘下に置き

みなチー牛をあがめました。 



そしてだれもがチー牛のようになりたいと思う世界がうまれたのです。

比呂保保様も見てきたでしょう、世界がチー牛を中心にまわっている現代を。

我々は今 栄華を極めています。 チー牛全盛の時代 そういってもさしつかえありません。


カンブリア紀 古生代 新生代 地球には様々な歴史を経験してきました。そして今 ここが

チー牛紀 と呼ばれる地球の歴史のなかでもっとも偉大な歴史が誕生したのです。


これがこの世界のもっとも基本的な歴史です。小学校で誰もがならい社会人になっても繰り返し学ぶ世界の根本です。



わかりますか?あなたがこの世界を、チー牛の楽園をつくりあげたのですよ。






なぜ比呂保保がこうもあがめられるかについて真相を語った執事は、声を震わせながら 感涙の涙をおさえきれずにいたようだった。


一方の比呂保保はそこまで深い意味をもたせたつもりはなかった絵が悠久の時をへてそんなことになってることに驚きを隠せなかった。

比呂保保は確かに他人にはない特殊能力があった。


大昔に歌う山で出会い、仲間たちに裏切られて死亡したあとの

死後の世界で、しゃべる石と1000年にわたって対話していたのだ。


非常に多くのことを語り、議論し、教えてもらった比呂保保だったが、目覚めたらそう簡単にそのときの

内容を思い出せず、効率的にその知識を運用することができなかった比呂保保は

せいぜい簡単で効率的な農業の行い方、などすぐにあつかえる即物的なものしか運用できなかった。


ふいに思い出せた重要な記憶でも 原始時代 小難しい理論など語ったところでだれが理解するでもなく、簡潔な言葉でみじかく うすく語るくらいしかできなかった。



比呂保保は一人になって、洞窟に書き出していたことは、そんな重要な事柄ではあるものの技術も蓄積も資源も人手もない原始時代では

意味のないものを絵画に移していた。


どれだけ話しても、普通の人間は1000年の間に口頭ではなしたことのうちどれほども覚えているものでもない。

メモをする なんて発想も原始人の比呂保保にはなかったのだから。


だが、比呂保保は結果的に楽園を追放されたのをきっかけに、意味とかをかんがえずただおぼえていたこと、おもいだせたことを

チー牛賛歌の絵にのせてかきつづけていた。


その価値は、文明レベルが進歩すればするほど意味を理解できるようになり、それを解読すること自体が世界を進歩させることだと気が付いたチー牛人たちが

ここまで世界を発展させてきた。





執事 まだ解読できてないものも多いといっていたな。 



比呂保保様 そのとおりでございます。 


なるほどな


おわかりただけたでしょうか? これらを記したあなた様がいれば、解読ができていない4割の聖典を解訳することができるのです。

そうです、あなたがいれば栄華をきわめたチー牛時代の さらに向こう側 新時代を切り開くことができる 

われわれの偉業はこれまでとは比べ物にならないものになり、いづれ宇宙を支配し時間さへ支配することでしょう。




比呂保保はこのあたりから血の気が引いていた。 

非常にまずい、比呂保保は対話のなかでそれらを知っているだけ。 実現させる方法なんて知りはしないし技術があるわけでもない。

ただそういうもの が 未来で存在している。 それらの基本構造 考え方 そういったちょっとネットでぐぐった程度の知識があるにすぎないのだ。

どう考えても、きっかけはあたえたにしても 偉大なのはそれらに気付き実行してひろめたものたちだろう。





なるほどな、そういうことか まかせてくれたまえ、ともにチー牛の楽園の栄華をさらに確固たるものとし

宇宙を支配し あらゆる法則をわがものとしようじゃないか


ただ今日はもうつかれたからねるね^^


そういって比呂保保は自室にもどってとにかく眠ることにした。 明日のことは明日の自分がなんとかしてくれるはずだ。



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