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プロローグ
今日また新しいクラスメイトが増えた。
噂通り本当に男だったから萎えた。しかも顔がいいとか、だる。
「ええっと僕の名前は」
つまんねぇけれどさ、ウケを狙ったのならいい。
でも席へ移動するそいつに話し掛ける奴からも、教室に居る他のクラスメイトからも、誰一人としてそのことについて触れる奴が居ないのは異常だと思った。
いや、正しくは誰一人じゃない。
俺と、……海。
海だけは、俺と同じように感じているって分かった。
眉根を寄せる海から視線を外し、得体の知れない恐怖に耐えながら俺は担任が黒板に書いた名前を見つめた。
違和感だらけの教室の中で、自己紹介をする転入生の声が甦る。
『僕の名前は、ああああああです。仲良くしてください』