空-color-circus
ひとつ
飲み込む度に消えていく
無数の 成るはずだった私たち
また ひとつ
今 飲み込んで消えていった
言いたかった言葉と 未来の私
変わりたくないだなんて嘯く私を
お願い 誰か抗えない力で 引き剥がして
今が一番しあわせだなんて強がる私の
永く 貼り付いたままの仮面を
馬鹿みたいな建前と一緒に 撃ち砕いて
泣くことを忘れた 愚かな道化師
口角を釣り上げただけの仮面に
いつしか取り込まれて
笑いたい情動も
叫びたい衝動も
全て仮面に 吸い上げられて
こみ上げる感情に焼けただれた顔を
被うための仮初めの素顔
そんな言い訳も とうに忘れ
笑みを湛えて 踊り回る道化師
ひとつ
溢れた涙が消えていく
僅かな軌跡を残して 乾いていく
また ひとつ
微かな軌跡を指でなぞる
もう思い出せない 遥か遠い記憶
いつまでも ここに居たいだなんて取り繕う私を
お願い どうしようもない程に切り刻んで
いつだって なるようになるだなんて
優しいだけの嘘ばかり紡ぐ口を
二度と開けないように 縫い留めて塞いで
笑うことしか出来ない 不器用な道化師
涙で ずり落ちる仮面を
強く強く押さえて
息苦しさに泣いて
見られない安堵に泣いた
そんな昔話 破いて燃やして
閉じ込めた過去の色付いた景色も
時間に焼けて褪せていく
元々こんな色だったよ
小さく千切った紙吹雪を浴びて
得意気に回る道化師
サーカスは終わらない
だから私も終われない
サーカスは終わらせない
観客はだれも居なくても
終幕の先に待っているのは
労いの仮面舞踏会だから
どうか笑って
興行のための道化師だと
ずっと言わせて
ふやけるほど浸かるお風呂が生きがい