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44. 『未来永劫に溶けぬ組絵(アブソリュート・ゼロ)』

今日も来てくれてありがとう!


ーー完結までの見通しが立ちました!

これから完結までどんどん書いていきます!

 

 ◆


 ――童貞王・アレン。


 その人の腕に巻きつく腕の正体は、青髪の少女である。


「すまねぇがアレンはアタシが貰い受ける」


「なぁに言ってるの! そんな勝手が許されるとでも思ってるわけ?!」


 プリムは机を叩きながら、アレンとピュロナを説教する!


「ていうか、ピュロナさん! そもそも私たちのホテルにズケズケと入ってきたことはどうも思わないの?!」


「思わんな。何故ならば、アレンはアタシのダーリンだからだ」


「はぁ?! ……話にならないわ! パブちゃん! ピュロナさんってなんでこうも強情なのよ!」



 と、プリムはパブフネッカに聞く。

 パブフネッカとピュロナは昔からの知り合いで、魔王城に囚われていた頃は暇つぶしによく二人で遊んでいたのである。


「んー。ピュロナは欲しいものは絶対に手に入れる人なんだよ。一度狙いを定めたら絶対に逃さない! ――そんな子だからなぁ……」


「ふん、まぁそういうこった! アタシはアレンと結婚して子供を生む! ハピアの願い通り、幸せになる! これは絶対に譲れねぇんだ。悪いなお前ら」


 と、ピュロナはアレンの腕に胸を押し付ける!


「ぐぬー! アレン! あんたからも何か言いなさいよ!」


 プリムはアレンを睨みつけるが、彼はただただ目を瞑って忍ぶのみ――。


「いや、そのっ……」


「な、何よあんた! まさかとは思うけど、ピュロナさんの言いなりになるつもりじゃないでしょうね! 言っとくけど、深入りしないって約束でハピアちゃんとデートさせたのよ!」


「わ、わかってる! けど、ここでピュロナを突っぱねるってのもその……」



 童貞王・アレンは頬を掻きながら時計を見つめる。

 夜九時。

 説教は長きにわたり、永遠にプリムとピュロナは言い争いをしているのである。


「あー! もう分かった! 分かったわよアレン! そこまで言うんだったら、私にも考えがあるんだから!」



 と、プリムは立ち上がり、アレンの隣に座る!


「プリム、アレンを奪うつもりか? アタシは『食欲』を司る魔物だぜ? 獲物は絶対に逃さない。――たとえ、悲しむ人間が増えようともな?」


「ふん、私はそれでもいいわよ! どうせ悲しむのはピュロナさんの方だろうけどね!」



 バチバチに火花を散らせるプリムとピュロナ。

 その間に立つアレンはどうしていいのか分からずにパブフネッカを見つめる。

 そしてパブフネッカはオロオロとするだけ。


 ――プリムはアレンの腕を取り、ギュッと自分の方に引き込む!


「プ、プリム?!」


「ふん。別にこれは私が本当にしたい事じゃないから。ピュロナさんに取られるくらいならって、致し方無くする事だから」


 顔を真っ赤にしながらアレンに抱きつくプリム。


 そして、彼女はアレンの方に上目遣いで恥ずかしながら、














「アレン。今からラブホテルに行くわよ」




「――ん?」


 瞬間、プリムは立ち上がってアレンを力強く引っ張るのである!


「ピュロナさんを遠ざけるにはこれしかないのよアレン! 今からするわよ、子作り! そうすればピュロナさんも諦めるでしょ!」


 プリムは突然、トンデモ理論を展開し始める!


「ららら、ラブホテル?! ちょっとマジで待ってくれプリム!」


 アレンは赤面を隠せずに頭を振り続ける!


「プリムちゃん、それはあんまりだよ! 私のアレン君と先にエッチしようとしてるの?! それは流石に黙っていられないわ!」


 パブフネッカも流石に立ち上がってアレンの背中に抱きつく!


「待てパブ! お前は『性欲』担当だろうが! 誘惑スキルを使うってなら、お前から食っちまうぞ!」




 ――アレンは三人の美女から引っ張られる展開に!

 桃色・金・青の髪の毛がアレンを包み込み、三種類のおっぱいが体中を包み込む――。


「おっ、おおっ! なんだこれは!」


 アレンの興奮は完全に頂点に達し、体温がみるみる上がっていく!


「アレンの童貞は私がもらうの! そもそも、アレンと一番付き合いが長いのは私なのよ?!」


「そんなの関係ないよプリムちゃん! そもそも、アルフェッカのお母さんは私なのよ! 未来の私はアレン君の妻なの! ぶーぶー!」


「うるせえ! 何があろうとアタシのアレンだ! お前らの都合なんざ知ったこっちゃねぇっての!」



 ――そうやって、三人の娘は一人の男を引っ張り回すのであった。







「ねぇアルアル。なんでパパがいじめられてるの?」


 リアムはアルフェッカにしがみつきながらアレンのことを見る。


「……それはね、リアム。パパはモテモテだからだよ」


「どうして?」


「そりゃ、そういう運命だからさ。ま、あまりリアムは考えなくていいことさ」


「ふーん。どーでもいいけど、おなかすいた!」


「……とりあえず、この人たちのいじめが終わるまで待っててね?」


「むー」


 と、リアムはアルフェッカの胸に顔を埋めるのであった。






 ◆


 ――その頃、カジノのトイレにて。


「ほうほう。つまり、『視覚魔法ビジュアルマジック』でトランプの数字を操作していたと。面白いことを考えますね」



 フィルテガは右手に掴む真っ赤な肉を齧りながら男に質問を続けていた。


「……そうだよ! それが俺のイカサマの方法だ! なぁ全部話したから俺を助けてくれよ! さっきから気が狂いそうなんだ……!」



 ――その男の四肢は全て削がれ、手足たちは既にフィルテガの胃袋の中に入っていた。

 彼はトイレの便器の上に飾られるようにして置かれ、フィルテガの『延命魔法』によって男は生きていたが――。



「ほうほう。他に何か面白い情報を話せ。すれば痛みを取り除こう」


「あ、あるさ! このカジノではな、とんでも無く高額な宝物が眠ってるんだ!」


「ほう? それはどうすれば手に入る?」


「このカジノのVIPルームにいるオーナーに勝ち続けて、このカジノの総資産の半分以上を手に入れればいいんだ! それで、オーナーは変更する! すれば、その宝玉は新オーナーのものになるんだ! ――みんなが挙ってカジノのオーナーに挑む理由は、その宝玉に目が眩んで手に入れたいと思ってるからだ!」




「ほうほう。その宝玉とやらの詳細を話せ」


「しらねぇよ! ただ分かるのは、『未来永劫に溶けぬ組絵(アブソリュート・ゼロ)』って円形のパズルってことさ!」


 その言葉を聞き、「パズルだと?!」とフィルテガは呟く。


「それ以外はマジで本当に何も分からねぇ! そんなに知りたきゃカジノのオーナーでも拷問すればどうだ?! もういいだろ! 俺を助けてくれよ!」


「……ほうほう! パズル! それを解くことができたならば、相当量の魔力を手に入れることが可能そうであるな! ――ありがとう、このフィルテガ、感嘆しておるぞ!」


 と、フィルテガはトイレから外に出ようとする。



「待てよ! 俺はどうすりゃいい! このままじゃ死ぬって! なぁ頼むよ! こんだけいろんなことを教えてやったのによ!」


「――それもそうだな。興味がなさ過ぎて忘れていた」


 フィルテガは振り返り、男の頭を眺めながら口を開ける。


「……え?」


「約束である。『痛みを取り除く』。その望み、叶えてやろう」





 ――そう呟き、フィルテガは男の頭をカプリと齧り、もむもむと咀嚼を開始したのである!


「むむ! この者の脳は実が詰まっていますな! 武器ちしきが増えていくことの喜びが全身に伝わっていきますね!」



 フィルテガは口元を拭きながら、トイレから外へと出て行った。

 喋らなくなってしまった男はトイレの便器の上に取り残されたまま身動きを取らなくなった。


 ――彼の頭も、今は知識としてフィルテガの胃袋の中へと入って行ったのである。


さて。『視覚魔法ビジュアルマジック』も習得したとなると、次はどこへ向かいましょうか。――ほう、VIPルームにでも参りましょうか」



 フィルテガは生臭いトイレを後にし、次に目指す場所をVIPルームに定めるものの――。



「いいや、よく考えれば、『未来永劫に溶けぬ組絵(アブソリュート・ゼロ)』の謎以上に魔力ちしき効率の良いものはあるのでしょうか? このフィルテガ、これ以上カジノでの拷問は必要ないのでは?」


 フィルテガは立ち止まり、カジノで遊ぶ人間たちを眺める。

 どこもかしこも賭け中毒が台に向かって金を叩きつけている。

 こんな似たり寄ったりの生物たちから得ることがあるのだろうか?

 疑問に思ったフィルテガは少しずつ首を傾げた後に、



「――否、無いだろう」



 と、フィルテガは右手に超絶濃厚な魔力を溜め込む!


 瞬間、監視カメラがその魔力を感知して警報機が鳴り始める!


『カジノでの魔力はルール違反です! カジノでの魔力はルール違反です!』


 アラートが鳴った瞬間、カメラから大量の魔力兵士が飛び出し、フィルテガを囲んだのだ!


「ほうほう、カジノ台の前で魔力を使うとこうなるのか。また武器ちしきが増えて実に愉快です」



『魔力を抑えなさい! でなければ、適切な処置をします!』


『魔力を抑えなさい! でなければ、適切な処置をします!』


『魔力を抑えなさい! でなければ、適切な処置をします!』


「ほうほう。魔力で駆動する自動魔力兵。人間とはなかなか賢いものを作り出すものですな」


 ――周りがパニックになり、客たちは金とチップを掻っ攫って外へと逃げ出す!

 そんな中、フィルテガは一人。



「……洒落臭しゃらくさい。こんなところで時間を使っては効率が悪い。すみませんが、このカジノを壊させていただきます」




 ――と、フィルテガは真っ黒い弾の魔力を天井へと打ち出し、





画竜点睛がりゅうてんせい』!!!!!!











 ◆



「「「「!?!?」」」」


 アレン・パブフネッカ・ピュロナ・アルフェッカは同時にカジノの方を向く!


「な、なんだ今の!」


「ものすごい濃密な魔力……! 召喚魔法の類だね!」


「あの魔力、間違いねぇ! アタシが知ってる魔王幹部級の魔力だ!」


「父さん! 敵襲と見て間違いなさそうだ!」


 四人は立ち上がり、ただカジノの方を見続ける――。


「え、何よ。何があったの?」


 プリムは魔力を感じることができない。

 それは感知スキルを習得してないことに起因する。


「――あの魔力、アタシは知ってる! 恐らくフィルテガの野郎だ! カジノで暴れてやがるんだ!」


 と、ピュロナは拳を握り、歯軋りをする。


「フィルテガ?! その子って確か『経賢値エクスペリエンス』で無限に魔力が上昇するって噂の……?」


 パブフネッカがピュロナに聞くと、


「あぁそうだ! 魔王の野郎、フィルテガがあまりにも強い能力すぎたからって今まで魔王城に閉じ込めてやがったんだ! ――ヤツを野に放ったってことは、フィルテガを制御する術を見つけてるってことだ。こりゃまずいことだぜアレン!」


 ピュロナはアレンの肩を叩くと、


「――この魔力、ティフォルとかペネザードとかと比にならんくらい強いぞ! こんな隠し球をもってやがったのかよ魔王!」


「あぁ、そういうことだ! フィルテガは知識を得るほど魔力の上限が上がる特有魔力を持ってる! 早く討たねぇと取り返しがつかなくなるぞ!」


 ピュロナはアレンとパブフネッカを交互に見て、「りに行く」と合図を送る。

 すると、アルフェッカが、


「僕も行くよ。あの魔力で上限じゃ無いってなら、今叩かないと本当にどうしようもなくなるだろう! 父さん!」


「――あぁ、行くぞアルフェッカ!」


 アレンは拳を握り、四人で決心を固める。


「あ、あのさ。そのフィルテガってのと戦うの? 私とリアムはどうすればいい?」


 プリムがアレンに聞く。


「あいー。またけんかするの? あたちはおるすばんだよね?」


 リアムも心配の表情を浮かべる。


「着いてくる必要はない。――が、ホテルの中にいても危険だな。どうするか?」




「――アタシに任せな。こういう時のとっておきの魔法があんだ」



 と、ピュロナはプリムとリアムの所へと向かう。


「『喰吸魔法オムニイーター』って魔法はな、生物の保存も効くわけよ。アタシの胃袋の中に保存して、生きた生物を吐き出して食すなんてこともよくしてたさ」


 ピュロナはそう言いながらリアムの頭を撫でると、


「――ん? それってつまり、私たちはこれからピュロナに食べられるってこと?」


「あぁ。まぁ痛いようにはしないさ」



「い、嫌よ! 食べられたくないもの!」


 と、プリムは嫌がるものの、


「でもプリムちゃん。あたちはここにのこるほうがきけんだとおもうの!」


 リアムはぷっくりと頬を膨らませて言う。


「えー。……もう、わかったよ。ただし、痛くしないでよねピュロナさん?」


「うっし! んじゃ、これからお前たちを食うから目を瞑ってな! それと、アタシの胃袋の中で暴れるんじゃねぇぞ!」



 ◆



 ――そして、プリムとリアムは『喰吸魔法オムニイーター』によってピュロナの胃袋の中に入って行った。


「ふー、生きたまんま食べるのは久しぶりだな。ゲップがとまらねぇや!」


 と、げぷーと空気を吐き出すピュロナ。


「本当に大丈夫なんだろうなピュロナ?」


「もちろんさアレン! なんだったら、お前も食ってやろうか?」


「いや、いらん」


 アレンは腕を組みながら、カジノで暴れ回る魔力を眺める。


「んじゃ、参りますかね」


「あぁ。これ以上、フィルテガの野郎の好きにはさせねぇぞ!」


「むー、それにしてもピュロナって口が悪いよね。もう少し女の子っぽく話したら?」


「とりあえず早く向かおうよ母さん! どんどんフィルテガの魔力が強くなってる!」



 ――と、四人は話しながら、ホテルの部屋から飛び出していくのだった。

読んでいただきありがとうございます!


フィルテガの魔力に戦士四人は勝てるのでしょうか?


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