30. 娯楽都市・エメルドラ
今日も来てくれてありがとう!
本日より、新たなる冒険が始まります!
ーーの前に、アレン達は街で一休みするそうです。
それと、本日でついに10000PV突破しました!
1ヶ月でこれは、かなり早いペースかなと私は思ってます。
みんなに楽しんでいただけてとても嬉しいです!
◆
――ヘルザール王国を飛び出して、一日が経った。
草むらの横の道を歩くアレン御一行は、眩しい太陽の光、優しく吹く風、透き通るような蒼の空の下、目指す先へと歩き続けていた。
――『ここからならば、目的地にはすぐに着く』と、彼の方からの一言によって、休み無しで夜通し歩くことにした一行は、日が沈み、そして太陽が登った後も歩き続ける。
ちなみに彼の方とは、ヘルザール王国の長であるティフォル・ヘルザールの事である。
彼の手紙にて、『我が示す場所より先に、街によるがいい。その場所で宿泊することを勧める』と。
その街をとりあえず目的地としていたが――。
「……まだかよ、嘘だろティフォル! もう丸一日だぞ!」
アレンは流石に苛立ち、沈黙していた五人の空気をぶった斬るように叫ぶ。
疲労は顔に出る。
すーすーと寝息をたててアレンの背中で眠る五歳児のリアム以外は、目の下にクマを浮かべる。
アレンが率いるパーティーは五人。
「もー! ずっと歩きっぱなしじゃない! いつ着くのよ目的地には!」
呼応し、そう愚痴を垂れるのは、アレンの恋人候補(?)であるプリム・ヴェノン。
彼女の桃色の美しい髪は、頭皮の油や汗や色々なものでバラバラ。
可愛く着飾ってきた服も脱ぎ、リュックに詰めており、彼女の服はスポーツブラのような薄い素材の布。
プルりとDカップが揺れ、おっぱいの頂点が少しとんがっていることにアレンは気づく。
「あつーい! ヘルザール王国より全然暑い! ちょっとアレン、何かで私をあおいでよ!」
と、プリムは服の胸部分を掴み、パタパタとあおぐ。
――脇が美しく、胸がちょくちょく際どい部分まで現れる!
「お、俺の荷物は全部置いてきただろ!」
「むー! あっつ! もう気持ち悪い!」
プリムは更に強くパタパタとすると、ずっと黙っていた金髪美女がプリムの胸を鷲掴む!
彼女の名は、パブフネッカである。
「もープリムちゃん! そんなに胸元をパタパタしたらおっぱいが見えちゃうでしょ! アレン君の鼻の下が伸びてるのに気づかないの!」
「な、嘘っ! アレン、なんで教えてくれないのよ!」
「お、俺が悪いのか?!」
「そうよ! そもそも、一日かかるなら、別のルートで宿泊しながら行けばよかったでしょ! アレンのばかぁ!」
プリムは汗だくで、目も虚ろ。
ストレスは限界に達し、何もかも他人のせいにしたくなる。
その気持ちは分かるがと、パブフネッカは、
「――ってか、暑いかもだけど服は着ようよ! アル君には刺激が強過ぎよ!」
と、パブフネッカはアルフェッカの方を向く。
アルフェッカは橙色の髪を揺らし、「なにが?」と言う感じでプリムの姿を見る。
「アルフェッカ君、別にいいよね? 暑いんだから仕方ないと思うよね?」
プリムが言うと、
「僕は別になんとも思わないよ。ただ、プリムおばさんって昔はこんなに大胆だったんだなって思うけど」
と、未来人のアルフェッカは言う。
「プリムおばさんって言うな!」
プリムは汗を拭きながら弱めにアルフェッカを怒鳴りつけた。
――そんな中でも、リアムはアレンの背中ですーすーと眠る。
「ほんと、いつ着くのよ! お風呂入りたいー! お風呂入りたい!」
「駄々こねるなよプリム! 俺だって汗が気持ち悪い! みんな一緒なんだぞ!」
「むー! むーぅ! なぁんで私がこんな目に遭わなきゃならないのよ! やだやだ、お風呂入りたい!」
――この時、リアムを除く三名は思っていた。
プリムの父・カイン曰く、
『プリムを大事に育ててきた。そりゃ、もう珠よりも大事にな』
そして、カインは彼女の願いを最大限に叶えてきた。
ただ、プリムが旅立つことのみを拒んで育てて来た。
故に、本質はワガママである。
プリムはその事に気づいておらず、彼女は常にワガママなのだ。
「ねぇパブちゃん! 一休みしよーよ!」
「……あと少しだよ、アレン君の地図が」
パブフネッカは苦笑いで言うが、
「やーだ! もう一歩も動かない!」
「……プリムおば、プリムさん。今から向かう街は娯楽施設で有名な場所だよ。めっちゃ気持ちいい温泉もあるし」
アルフェッカはもはや情けない大人を見る目で手を伸ばすが、
「やだ! やだ! もう、座る!」
と、プリムはその場に座り込んでしまう。
――灼熱の太陽の光で、地面はカラカラ。
尻が痛いはずなのに、プリムは頬を膨らましてその場に残り続ける。
「……プリム」
「休む! 休む休む休む!」
プリムは目を瞑り、その場に踞る。
――と、アレンとアルフェッカは目を合わせ、アレンはリアムを引き渡す。
「……リアムは何しても起きない。ある程度の揺れは問題ない」
「任せてよ父さん」
アルフェッカはリアムを背負い、滲む汗を地に垂らす。
「帰る……帰りたい!」
ついにそんなことまで言い始めたプリムの前に、少し熱い体が近づく。
「あ、アレン?」
アレンはプリムの後ろを向き、
「乗れよ」
と呟いた。
「えぇ! こんな暑いのにおんぶ?! いやだ!」
「そ、そんなこというなよなあ! 優しさだぞ俺の!」
アレンは困った表情を浮かべると、パブフネッカは彼に応戦するよと合図を出し、
「――うわぁ、羨ましい! アレン君のおんぶだ! 私もして欲しいぃ!」
とアレンに近寄るが、
「っ乗る乗る! 乗るわよ!」
それよりも先にプリムがアレンの肩に触れる。
「……私のほうが先だし!」
と、プリムはアレンの背中に飛び乗った!
「本当、プリムちゃんって欲しがると奪おうとするからなぁ。ぶぅ」
と、パブフネッカは呟いた。
これが彼女の作戦であるとも知らずに。
◆
――そして、少し歩いた頃。
まだどれくらいかかるか分からない中、プリムはアレンの背中に乗っていた。
「……アレン。もういいよおんぶ」
「あと少しだ。大船に乗ってろよ」
アレンは背中に乗るプリムの柔らかさを全身で感じていた。
暑さによって湿る大気。
そして、互いの汗が滲む。
プリムの服は既にびしょびしょで、
「アレン。私、臭かったりしない?」
「いんや。逆にいい匂いだぞ?」
「……ふぅん」
プリムは黙り、アレンの背中に顔を埋める。
「水、飲むか?」
「いらない」
「暑いか? さっきみたいに氷を作ってやるぞ?」
「いらない」
――いらないの一点張り。
「……そうか」
「うん」
沈黙。
アルフェッカとパブフネッカも終わりのない道に絶望したのか、はしゃぐ元気が無くなっているようで。
「プリム。なにかして欲しいことはあるか?」
「ないよ」
「話とかするか? 今から行く施設の話とか!」
「いいって」
「んー、だったらクイズでもすっか?」
「今、精一杯だから、アレン」
――と、プリムはぎゅっとアレンにしがみつく。
「……!!」
「本当はさ、嬉しいんだ。こういうことをされると。でも、みんなの前でおんぶされるのって恥ずかしいじゃん? だから素直に『ありがとう』って言えなくてごめんね?」
「お、おうっ……」
アレンは顔を赤くして、胸を更に押し付けてくるプリムを揺らすと、
「――だからさ。いつか二人きりになった時はめちゃくちゃ甘えさせてよ。こんなこと言ってたって他の人には言わないでね?」
「わ、わかった」
――と、プリムは恥ずかしがりながら前を向くと、彼女は突然、
「わおっ! もしかして蜃気楼に浮かぶ影って街じゃない?!」
プリムはアレンの背中から飛び降り、汗で湿った服をパタパタとあおぐ!
「本当だわ! あのキラキラしたのが、私たちの目指す街ね!」
パブフネッカも元気を取り戻し、額の汗を拭う。
「間違いない! 娯楽都市・エメルドラに着いたんだ!」
アルフェッカもテンション爆アゲ!
丸一日歩き、ついに目的地に着いたのである!
「――やっと見えたな」
アレンがため息をつくと、スーパーハイテンションのプリムが、
「まずは風呂! お風呂お風呂! パブちゃん、行くよ!」
と、元気にプリムはダッシュでエメルドラへと走っていく!
「え! プリムちゃん!」
パブフネッカは焦り、アレンを見ると、
「行ってこいよ。そのかわり、リアムも風呂に連れてやってくれ」
「本当?! 嬉しい!」
パブフネッカの谷間に汗が流れていく。
それを見て、アレンは少し顔を赤くした。
「じゃ、リアムを頼むよ母さん」
「任せなさいアル君! それじゃ、先にプリムちゃんと温泉に入りに行くから! 待ち合わせは掲示板のある所ね!」
――と、パブフネッカはリアムを背負ってプリムの所へと向かっていった。
「やっと静かになった」
「それは酷いんじゃないかい父さん?」
取り残されたアレンとアルフェッカは、少し気まずそうに頬をかく。
「そんじゃ、俺達も汗を流しに温泉に浸かるかね」
「そうだね。僕は未来のエメルドラは知ってるから、もしかしたら案内できるかもね。それじゃ、行こうか!」
◆
――こうして、アレンとアルフェッカはエメルドラに到着する!
煌びやかに光るネオン!
真昼だというのに、施設の魔電球はキラキラと輝き、高級感溢れる外観にアレンは圧倒される!
「すげえ! ここがエメルドラか!」
「そうだよ! 未来では『全世界究極カジノ』として有名だからね! ここで世界の1/5のお金が動くと言われるほど全てが揃っててね――、ってのは未来の話だけど」
アルフェッカも美しい風景に息を吐き、カジノの音楽に乗って、足踏みをする。
「んじゃ、とりあえず風呂だ! 案内できるかアルフェッカ?」
「多分ね。外観は未来と全然違うけど、温泉の場所は変わらないと思うから。とりあえず、行ってみようか」
――と、アレンとアルフェッカは親子(?)揃って温泉へと向かうのだった。
◆
『おい、ハピア! 超上等の肉がこの街に入ってきやがった! これを逃しちゃおけねぇ!』
「え、でもこれからお仕事だよ! みんなが私達を待ってるのに!」
『――っち、まぁいいさ。ハピアがそう言うならアタシは従うまで。ただし、仕事が終わりゃ、真っ先に腹を満たさせておくれよ!』
――青い髪の毛をとかしながら、鏡の前で独り言を言う。
少女の名はハピア。
青い髪に二つのゴムを付け、可愛くツインテールに結う。
「よしっ! じゃあ、れっつごーだよ!」
『あぁ! 今日もダメダメなパチンカス共を喰らい尽くすぜ!』
ハピアは立ち上がり、鏡に向けてニコリと笑った。
「頑張って、お父さんの借金を完済しようね、ピュロナ!」
読んでいただきありがとうございました!
新しくキャラが追加されます!
その名はハピア!
それとピュロナ!
...ちなみに、ピュロナはこの作品中に既に名は出ています。
それは、第一話近くに遡ります。
面白ければ、ぜひブックマークをよろしくお願いします!




