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3.『性欲』妖艶王・パブフネッカ

来てくれてありがとう!

今話より、アクセル全開、大加速します!

妖艶王・パブフネッカが物語をかき混ぜます!


2020/01/15

なろう定型版に改変いたします。

 


 ◆


 ――午後の光の暮。

 アレンとプリムは、プリムの両親が経営するヴェノン亭の運営をしていた。


「アレン! 五卓にサラダとパスタとターキー持っていって!」


「ま、この量をすか! 無理ですって!」


「無理とかないの! 魔法でひょいひょいって運んでよ! ほら、私みたいに!」


 と、プリムはサラダに魔法陣を被せると、皿は宙を舞い、五卓へと飛んでいく。


「ほら、こんな感じ!」


「無理っすよ! 俺は風魔法は苦手なんす!」


「――じゃあ、手で持って行きなさい!」


 プリムは頭を抱え、中華鍋をシャカシャカと持ち上げる。


「くっ、くそぉー! なんで、勇者がこんなことしてんだよっ!」


 アレンは文句を垂れながら、パスタとターキーの皿を掴んで五卓に向かう。




 ――そんな、ピークを迎えていたヴェノン亭に訪れる二つの影。


「おっ、ここでゲスな。魔王様が言っていた場所は!」


「そうね。イケメンの匂いがぷんぷんするわっ! 早く入るわよ、エルケス!」


「了解でゲス、パブフネッカ様!」


 その忍び寄る影は、魔王軍幹部の妖艶王・パブフネッカ!

 その付き添いの妖艶王補佐のエルケス!



 カランコロン。

 ヴェノン亭に響く鐘の音。

 中へと入ってきたのは、胸が限界まで露出した服を着るパブフネッカと従者エルケスだ。


「エルケス。あくまで自然に振る舞いなさいね。私たちが魔王軍であることは知られてはならないのだから」


「わかってるでゲスよパブフネッカ様」


 呟き、店へと入る二人――。








「あい、いっしゃいませ!」


 アレンは両手に二つずつビールのジョッキを持って入り口に顔を出す。


「きゅっ?! な、なんてイケメンなの?!」


 と、パブフネッカは不覚にも声を漏らす。


「え?」


 アレンは驚き、ビールをこぼす。


「あ、あなたもしかしてアレンって勇者?!」


「は、え、ええっまあ」


「やっぱり! 話に聞く通りの超絶イケメンね! やだっ、もっとメイクをしてくればよかったわ! アレン君、もうすでに素敵!」


 パブフネッカは両手で頰を抑えて悶える。

 それをエルケスが見、


「ちょ、パブフネッカ様! ファーストコンタクトはコンパクトにしろと言ってたでゲスよ!」


 耳打ちをすると、


「無理無理! やばい、ジュンジュンが止まらないわっ! ホント、あぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


 身をよじりながら股間を抑えるパブフネッカ。

 その姿を見たアレンは呆け、胸元を凝視して顔を赤くする。


 ――童貞王 (自称)アレンからすれば、パブフネッカの姿は艶めかしく見え、勤務中だというのに頭は完全にソッチにいっていた。

 薄いブラに突起が山につき一つずつあり、それに目を奪われるアレン。



「おおっ、すげえっ……」


 思わず呟くアレン。

 胸元の厚みと、服に潰された膨らみ、下乳の形に魅了され、ビールをボトボトとこぼしてしまう始末。


「あら、もしかしてアレン君、私のおっぱいにうっとりしちゃった?」


「え、いいえ、あの、そのっ……」


「いいわよ、アレン君ならいっぱい触っても! いえ、おっぱいのみならず、もっと奥の方もいいのよ……? 生暖かい私のあ・そ・こ!」


 と、パブフネッカはアレンに詰め寄る――!


「どどどどどどど、どうぞ、机に案内いたしまそ! いた、いたしました! はい! あっ!」


 ドモり続け、アレンはどうにか二人を机に案内しようと口を開く。

 と、アレンはそそくさと二人の前から消え失せる。


「――あぁ。だから言ったでゲスよ。初対面で胸を触らせようとする女がどこにいるんでゲスか!」


 エルケスがパブフネッカの肩を叩く。


「だって、この頃の私は欲求不満なのだもの! イイ男が居なくて困ってたの! ちょうどアレン君みたいな子がタイプ! キョドってるの可愛いし、童貞感が超好き! ぜひ私のコレクションとして家に飾りたいわ! 絶対にアレン君をモノにしてみせるっ! エルケス、きなさいっ!」


 と、パブフネッカはエルケスを手招きする。


「もぉー。爆欲モードに入ったパブフネッカ様は止まらないもんな。こりゃ、今日は荒れるでゲスね」


「ほら、早く! アレン君のシフトが終わったらどうするつもりなの!」


「……飲み過ぎには絶対に気をつけるでゲスよ?」


「ええ、絶対に今日は酔い潰れないわ! だって、アレン君と話がしたいんだからっ!」


 と、パブフネッカは席についてメニューを取るのであった。




 ◆




 ――閉店の時間が近づく。

 団体客は全員帰り、残るはパブフネッカとエルケスの二人のみとなる。


「――はい。ジョッキ二杯です」


「アレンくぅぅぅぅん! ありがとう、イケメンすぎっ!」


 パブフネッカは胸を振り、机にどしんと二つの肉を乗せる。


「あ、え、えへへっ。そうっすか……」


「うん、私が言うんだから、ぜっえたいそうに決まってるわ! おっほほほほほ!」


「ちょ、パブフネ……お嬢様! 飲み過ぎはダメって言ったでしょ!」


 ――顔を真っ赤にしてジョッキに手をつけるパブフネッカ。

 すでに泥酔状態にある彼女の呂律はほぼ回っておらず。


「ねぇ、アレンくぅん。今日はこれでアルバイトは終わり?」


「え、そうっすね……たぶんそろそろ店じまいだと思いますけど」


「だったらさ、これから私とあそばなぁい? お姉さん、お金ならたくさんあるのよ!」


「えっ、いや、その」


「いいのいいの! 遠慮しなくていーくのよ? いっ、いいの! 私は君と話がしたい、ねぇーいいでしょー?」


 パブフネッカはアレンに飛びつくと、胸をギュッと腕に押し付ける!


「ひゃっ、きゃきお、お客様!?」


「ねぇー! 私とあそぼー! お姉さん、アレン君の知らない世界を見せてあげるから! ねぇ、あ・れ・ん・きゅん!」


 パブフネッカはギュギュッと胸を押しつけ、上目遣いでアレンを誘惑していた――。









「お客様。ビールが底をつきましたので、それを飲んだらどうぞおかえり願います」


 と、アレンの後ろから腕を組んだプリムが現れた。

 桃色の髪により、顔は少し赤みがかって見える。

 が、それよりも、『怒気』による赤みの方が勝っていた。


「あらぁー。あなたが店主の娘ちゃん? 可愛いわねぇー。アレンきゅんとはどう言うかんけいなぁの?」


「彼は私の家の居候です。つまり、彼は私の従者です」


「え、プリムさん?! そうなんすか?!」


 アレンはプリムの方を向く。

 と、プリムはアレンの足をぎゅっと踏みつける。


「きゅっ?!」



「彼は明日も朝早くからお店の手伝いがあるので、夜遊びに連れ出してもらうのは困ります。なので、早く帰ってください。はい、勘定です。十万イェンとなります」


 と、プリムはジョッキ三個分ほどの長さのレシートを机に叩きつける。


「はっ?! 十万?! パブフ……お嬢様! いくらなんでも頼みすぎでゲス!」


 エルケスはパブフネッカの肩を揺すると、


「金なら私が出すわ、だまってなさぁいエルケス!」


「ちょ、本名を使わないでくださいパブフネッカ様!あっ!」


 エルケスは両手で口を隠すと、


「パブフネッカ? もしかして、あなたたちっ!」


 プリムは閃いたような声を出し、アレンの肩を二回叩く!


 と、突然プリムの口が閉じ、あたふたしはじめる!


「んー! んー!」


「お口はチャック、ね、プリムちゃん?」


「んー! んんんん!」


 プリムはアレンの肩を叩くが、


「な、なんすかプリムさん!」


「んー! ん!」



 残念ながら、伝わらず。



「……どうやら、プリムちゃんは気づいちゃったみたいねぇー。エルケス、例の如く変わりなさぁい」


 パブフネッカは泥酔。

 呂律が回らない状態で、エルケスの頭に手を乗せる。


「ま、マジでゲスか……どうせこうなるからあんまり飲んで欲しくなかったのに……」


「また今度高いお酒を奢ってあげるわぁよエルケス。だから、おねがいね?」


「……うーい」


 と、エルケスの頭に魔法陣を描くと――。


「あぁ、急に来るのは、結構きついで……ゲスっ! あっ!」


 徐々に顔が赤くなるエルケス!

 そして、目がトロンと垂れていくと、そのまま彼は眠りについてしまった。


「あらあらエルケスったら、飲み過ぎたのかしら。アレン君、彼の介抱をしてあげてくれないかな?」


 パブフネッカはアレンの耳元でそう呟く。

 ――彼女は異常状態のステータスを他人に移す魔法『状態互換ステチェンジ』を使用したのである。

 それにより、『泥酔状態』をエルケスへと移したのだ。


「んー! ん! んー!」


 プリムは相変わらず口が開かない。


「と、とりあえず俺は彼の介抱をしたらいいんすか?」


「ええ。そうしてくれると助かるわ。それとプリムちゃん。おトイレに行きたいのだけど、ついてきてくれるかしら?」


 完全に酔いから覚めたパブフネッカは、プリムの肩を持ってトイレの方を向く。


「――ん」


 プリムは黙って頷きながら、彼女を睨み付ける。


 が、アレンはこの異変に気づくことは出来ず。


「お、お嬢様……」


「大丈夫よ。ちょっと席を外すだけだから」


「りょ、了解でゲス……」



 パブフネッカとプリムは二人でトイレに向かい、アレンはエルケスの介抱をするのだった。



 ◆



 トイレに着くパブフネッカとプリム。

 そして、パブフネッカはスッと右指で空を切る。


「ぷはぁぁぁあー! パブフネッカぁ!」


「あら、あまり叫ばないでほしいわプリムちゃん。私は別にこの王国を潰しに来たり、侵略しに来たわけではないの。分かるかしら?」


「――なぜここへきたの?!」


「そりゃ、イケメン転生者がこの国に現れると予言があったからに決まってるじゃない。アレン君ってば、私のおっぱいにクビッタケよ」


「そ、そんなことないわ! アレンは死ぬほどのクソ童貞なのよ! あなたみたいな下品な胸なんかにウツツを抜かすような奴じゃないわ!」


 プリムは歯を軋ませる。


「それにしても、どうしてアレン君のことになるとそんなに意地になるのかしら? 別に彼のカレシでもないのに、随分と首を突っ込んでくるけど?」


「だ、だからアイツは私の家の居候で、アイツからは色々返してもらわなきゃいけないことが沢山あるの! だから、そ、その……」



「でも、彼のことが『スキ』ではないのでしょう? 分かるのよねー、私ってば、沢山のオトコノコの性欲とオンナノコの嫉妬に触れてきたから。一つ言っておくわ。私は、アレン君のことが好き。ス・キ!」


「すすすす、スキ?!」


 プリムの顔が沸騰し、顔から火をふく。


「そ、私はアレン君が好きになったの! そして、これから私は彼の見た目だけじゃなく、心も好きになるし、カラダも好きになる。私はそういう自信があるわ。私はアレン君が欲しい。文句はないんじゃない?」


「……そんな不純な理由でアレンを持ち出すのは許せない!」


「じゃあ、あなたはアレン君が好きなの?」


「それとこれとは話は別でしょ?! 私はアレンの主として彼の安全を見守る責務があるし、私は」






「――そんな言い訳ばかりだから、いつまでも処女なのよ、プリムちゃん?」


「しょ、ショジョ?!」


 パブフネッカはプリムを壁に追い込み、彼女の股に膝を押し付ける。


「――そう、あなたからは香りがしないの。『汚れた血の匂い』がね。つまりあなたはまだ純潔を守り続ける麗しき処女。ごまかそうったって無駄よ? 性欲を司る私をごまかそうなんて、ね?」


「くっ……あっ、んっ! ちょ、あなた! どこ触ってんの!」


「あなたのナカよ。ふふっ、やっぱりね」


 プリムは顔を赤くし、弄られる股の方に目を落とす。

 と、パブフネッカはプリムの頬を掴み、グッと顔をもちあげる!


「いつまでも受け身。『オトコノコから攻めに来るのが当たり前』なんて誰が決めたの? 私は思うの。オトコノコばっかり責任を押し付けられてかわいそうだって。私は攻めるのも攻められるのも両方好き。特に、攻めるのは股がキュンキュンするのよ?」


「う、うるさいっ……!」


「私はアレン君の純潔をもらうわ。そして、彼の心も体も全て私のものにする! 絶対よ、プリムちゃん?」


「いやだ……!! いやだっ!」


 プリムは涙を流しながら、弄られる場所に快感を感じはじめる。


「――好きでもないオトコノコにどうしてそんなに固執するの?」


「知らない……!! でも、あなたなんかに彼を汚されたくない! だって、彼は自分の幸せよりも他人を幸せにしたい人なの! きっと、それは彼が『女の素肌』を知らないから! それを壊されるのは嫌なの、いやっ!」




「……だったら、私と勝負する?」


「えっ?」


 パブフネッカは、プリムのパンツから手を出す。


「――私は、これからアレン君を狙い続ける。私の特性スキルは『妖艶ようえん』。私に一度でも『エッチなことがしたい』と願えば、すぐにでも私の従者として魂が生まれ変わるわ。この一週間、私とエルケスはこのヴェノン亭で働く。その間に、一度でもアレン君が私の従者になってしまったら、私の勝ち。逆に、あなたがアレン君とエッチなことをしたらあなたの勝ちにしてあげる。ただし、一週間経っても引き分けだったら、強制的に私がアレン君を食べちゃうわ。どう?」


「えっ、私がアレンにエッチなことを……?」


 プリムは糸を弾く彼女の人差し指と中指を眺める。


「――そう。この一週間で本当に何もないなら、あなたにアレン君は必要ないってこと。この勝負、受けてくれる?」



 ――甘い香水が漂う。

 パブフネッカの背中から、妖精の羽が生え、鱗粉がふわふわとトイレの中に舞うのである。


「――受ける。受けてやるわよ! あなたなんかにアレンの『童貞』を汚されてたまるものですか!」


「うん、契約成立ね! それじゃ、この一週間、よろしくねプリムちゃん!」


「ええっ! 覚悟しなさいよ!」



 プリムとパブフネッカは、こうして手を握り合うのだった。








「――それにしても、あなたって結構濡れるの早いのね。羨ましいわ」


「うっ、うるさぁーい!」


 プリムはパブフネッカの胸をポヨンと叩くのであった。




 ◆




 ――こうして、アレンとエルケスの知らない場所で、女の熱き戦いが始まる!




「勇者アレン、ちょ、袋持ってきてくれないでゲスか?」


「ま、ゲロ吐きそうなのか? おぉ、待て待てバケツ持ってくるから! 吐くなよ、吐くなの!」


「も、もう無理でゲス……! 無理げろぉぉぉおおおぉぉ!!!!」


「あぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」





 ◆



 次回、『アレン争奪戦編』すたーと!

読んでいただきありがとうございます!

次話より、『アレン争奪戦編』が始まります!

どちらが勝つのか、書いてる私もとても楽しみです!


よろしければブックマークよろしくお願いします!

『こんなふうにしたらいいよ!』ってアドバイスも待ってます!

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