プロローグ.最強勇者でも、モテないことはある
連載開始しました!
超絶ブサイク主人公アレンは、転生して最高のイケメン男子に!
女の子から引っ張りだこの勇者アレンは今後どうなっていくのか?
毎日投稿の予定なのでぜひ読んでみてね!
2020/02/16
10000pv突破しました!
2020/02/26
最新版に差し替えました。
◆
――至極の大宝玉、おっぱい。
人間が生み出した造形物であり、神が齎した最高峰の美学である。
表面は艶やかで、何よりも桃色と肌色のコントラストが絶妙なのである。
弾力と柔軟性に長け、全てを包み込む包容力が実にこの物の価値を引き立てている。
まさに、至高の逸品なのである。
その見た目と感触を言葉で表現すると、半濁点がつく。
これに名を与えた先人は、おおよそ天才的な思考の持ち主だったのであろう。
二つの宝玉に『ぱ』と音をつけるあたり、やはり女性は柔らかく繊細であることが発音にて分かる。
そんな造形物を想像しながら、ある男は柔らかな布団を握り、もふもふと指を動かすのだ。
「――おっぱいが揉みたい」
呟き、そっと目を閉じる。
――彼の名は、アレン・ベッセル。
御歳80。
そんな彼は、しわしわになった自分の指で、ふわふわした宝玉を鷲掴みにしたことを想像する。
「……おっぱいが、揉みたい」
そんなアレンだが、若かりし頃は非常に有名な最強勇者だったのである!
身長190cm、体重130kg、筋肉モリモリの超絶マッチョ体型!
筋肉のみならず、賢さと素早さも兼ね備え、どの戦士・魔術師から見ても『アレンには勝てない』と言わしめる天才だったのである!
ある時は、『豪炎を従える龍神の使い』。
ある時は、『絶対を叶える氷結魔人』。
ある時は、『天地駆ける轟雷の守護者』。
彼は異名を数多と持つ。
つまり、炎・氷・雷を無量、際限なく使いこなす魔術の天才なのだ!
――そして、彼は21の時に勇者として魔物の世界を蹂躙し、魔王を討ち取ったのである!
だがしかし、そんな富と名声と力を手に入れたアレンでも、不憫に思うことは想像以上に多かったのだ。
例えば――。
「おっぱいが揉みたい」
アレンは最強勇者として世界に君臨した。
金もある、女性好みなマッチョでもある、誰でも使役出来るほどの権力もある!
ただし、アレンは『超絶』と修飾されるほどのブサイクだったのである!
ダンゴムシが集まる石裏。
泥濘に馬車が通った後。
肥溜めの中身。
そのような異名をつけられたことも多々あった。
それほど、彼の顔はブサイクだったのである!
「――んだよ、やっぱり世の中、顔なんか……顔なんか!」
80を超えた老爺がこんなくだらないことで泣きべそをかいていては非常に居た堪れない。
簡潔にいれば、哀れである。
成人を過ぎ、いい歳になり、こうして年老いても、彼は一本たりとも女という生き物に触れたことがなかったのだ!
故に、童貞、魔法使い、賢者、もはや仙人と呼ぶに相応しい。
それほど、彼は女性の神秘を見たことは無かったのである!
そんな彼に付いた最も不名誉な異名は。
『童貞王・アレン』
せめて冒険王にしてくれ! と突っ込んだのはもう半世紀も前の話。
「リア充なんて爆ぜちまえばいいんだ! ってか、俺におっぱいを寄越せ! ちくしょお!」
叫んだとて、アレンの目の前にはおっぱいが現れることなどない。
「くそ、おっぱいくらい揉んで死にたかった……。おっぱい!」
この歳にして実に滑稽。
リア充だの爆ぜろだの、若者心を忘れない実に元気なおじいちゃんである。
――だか、そんなアレンは悟っていた。
今日が命日であると。
呼吸が浅くなり、手足の痺れが止まらない。
――おそらく、今日死ぬと。
「……俺も、俺だって幸せになりたい」
独り言が切なく、日も当たらない部屋の中に響く。
「くそっ、イケメンになりたい……」
ランプの光が揺れ、ろうそくのろうが無くなりかける。
「女神様……いるんだったら、最後に俺の願いを一つ叶えてくれよ」
炎が踊り出し、そしてみるみるうちに縮まっていく。
「――来世があるなら、女の子とHがしてみたい」
明かりがフッと消える。
瞬間、その空間の中で動くものは全て消え失せた。
生命の火と共に――。
これからアレンのモテモテ英雄譚の始まりとなります。
次回はヒロインが登場します!
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また、私の作品では女の子がどうしたら可愛く表現できるかを研究しています!
こんなのがいいよ!ってアドバイスがあれば、感想やメッセージでコメントしてくれたら嬉しいです!
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