第43話 日常と姉妹喧嘩と共闘
イリヤちゃんがロシアに帰った後、俺はアリサたちと星の観察、BBQをするために車で移動中だ。
「にしても久しぶりだね。いきなりどうしたの?」
「いや、実は昨日荷物を整理してたらたまたま天体望遠鏡が出てきたから久しぶりにと思ってな」
天体望遠鏡ってたまたま出てくる物なのか?
まあ、そんなことはさておき……
「酔った……」
「アリサ、薬は?」
「えっと……確かここに……あっ、残りないんだけど……」
詰みじゃないですかー帰りも車なんだからどうしろと?
「ほら、これ飲みな」
悠司が薬を渡してきた。っていうか悠司居たんだな……朱音は……まあ、居るわけないか。
「こんなことだろうと思ったからな」
うん、俺も思ってた。小鳥に関しては若干イタズラしようと思ってわざと置いてきた説があるがまあ、いいだろう。
「ありがとう……」
俺は薬を飲んだ。
「あれぇ? なんだかふらふらするよ~」
「顔赤いよ! 悠司! 何飲ませたの!」
「あっ、これ12歳以上だった。しかも年齢に達してないと酔うらしいぞ……」
「いやいや年齢的にセーフでしょ! 見た目的にはアウトだけど」
なーんかすごーいふわふわするー
「ふにゃ……」
「「「(可愛い!!)」」」
「ちょっと寝てなさい。ほら」
「むぐっ!」
なんだか急に眠気が……
ガクンっ
「ちょっと! 今何したの!」
「ちょっと首トンしただけでしょ?」
「明らかに何か嗅がせてなかった!?」
「気のせいよ」
ん? なんか濡れてるような……
「はう!」
まさか漏らした……だと……!
「イリスちゃん……私の服も濡れちゃったんだけど」
「ご、ごめん……」
まあ、小鳥に引っ掛かったぐらいどうでもいい。
「やっぱりお姉ちゃんじゃなくて妹だね」
「そんな訳ないでしょ!」
アリスなんかにお姉ちゃんの座は譲らんぞ!
「とりあえず予備の服に着替えましょ」
ああ、そうだな。どうせ3着ぐらい持って来てるしな。
「なんで持って来てるの!? 日帰りでしょ!?」
お前が俺たちを巻き込んで湖に落とすからだろ? それ以外に何かあるのか? あるのかな?
「その顔は何!? 私何かしたの!?」
「「ふっ……」」
何故に今アリスもやったんだ?
「将吾……私ってそんなにアレなの?」
「そう……いや、そ、そんなことないぞ!」
今そうだなって言おうとしたな。
「アリサはいつまで経っても変わらないな」
「悠司、お前もだ。また今日も変な格好しやがって! 何だそれは! 使◯か!
イリス! 小鳥! お前らは羞恥心を持て!」
小鳥はともかくとして、俺は子どもなんだし、別に着替えくらい車の中でしてもいいだろ。お前らなら別に見られてもいいしな。
「そんなの今さらよ。どうせアリサに巻き込まれた時に毎回着替えてる場所だって同じだったんだからいいでしょ」
「違う場所だったんだが!? 何を勝手に記憶書き換えてるんだよ!」
そうだそうだ。そんな記憶、俺にはないぞ! あったらそれは楽園だ!
「どうせ私は幼女ですよー」
「「「「はいそうですね!」」」」
「1人ぐらい否定して!」
コイツら全員使えねーな! 誰か1人ぐらい気を使うことぐらい出来るだろ!
「ほら、着いたぞ」
「「「じゃあね将吾、また帰り!」」」
「いつまで経っても変わらないな!! お前らホント、サイコーだ!!」
「「「勝利のほーそくは決まった!!」」」
このノリよ……アリス、これが本当の俺たちだ。覚えておけ!
『きゃめんらいど! えぐぜーい! むてきげぇーむぁー!!』
「(ドヤっ!)」
何故に持ち歩いてるんだコイツ。しかもそれ財団βが販売してたバージョンじゃねーか。どうやって手に入れたんだよ……
「「「ひかるーひかるぜーひかるそb……」」」
「ドキョモのひかるそーばーはいいから! 早く車降りて!」
「アリサはせっかちだねぇ……ん? あっ、トイレね。どうせ娘も漏らしてるんだし、あんたも漏らせば?」
コイツ頭おかしいんじゃないか? ……いや、最初からおかしかったな。そしてしれっと俺の出来立てホヤホヤの黒歴史を蒸し返すな!
「じゃあ俺たちは薪貰ってくるな! 小鳥、イリスたちを任せる!」
「じゃあ私たちも行こうか。イリスちゃん、よいしょ」
また抱っこされた……そういえば最近あまり歩いてないな。体力大丈夫か?
「お姉ちゃん可愛いね!」
「キモデブは黙ってろ!」
「あんだと!ドジ姉貴風情が俺の実際の年齢に届いてねーだろ! もっと年上を敬え!」
「年上なら今は私の方が上だ!」
「幼女なのに? 抱っこされてるのに?」
「みんなが居なくなった瞬間にこの姉妹は……」
いや、だって普段は皮肉言われてもアリサたちがいるから何も出来ないしな。
「アリス、イリス、小鳥お姉さんに迷惑掛けてない?」
「「うん! 平気!!」」
「そう、良かった。小鳥、ありがとね。じゃあ私は将吾たちの所に行ってくるから!」
「大したことじゃないから気にしないで……(隠し方が上手い! これじゃあアリサたちに言っても絶対何も解決しないわね)」
「きゃあ!」
バタンッ!
アリサが転んだ。実際に転んでるの見たの久しぶりだな。
「はぁ……(アリサのアレは一周回って呆れるわね……)」
小鳥は一体何を考えてるんだ?
ぺちぺち
「え? なに?」
俺は小鳥の頬を叩いた。強くやっても可愛らしい音しか鳴らないので、別に本気で叩いてもいいが、それは俺が疲れるのでやめておく。
「どうしたの? 何か考え混んじゃって?」
「どうせバカ姉貴の処理について考えてたんでしょ」
「何を言うかキモデブ風情が!」
キモデブは黙ってろ!
「君たちに問う! 君たちに問う!」
「「へ?」」
「君たちは幼女か!(哲学)」
コイツいきなり何を言ってるんだ? 頭大丈夫か? 幼女な訳ないだろ!
「じゃあこの痛みが分かるはずだ!」
パシンっ! パシンっ!
何故に今俺は叩かれた!? 何も答えてないんだが!? しかも結構痛い!
「お姉ちゃん痛いよぉ……」
「よしよし、お母さん許してぇ……」
「こういう時だけ姉妹らしくなるな! しかもイリスちゃんがアリスちゃんに甘えてどうするのよ!」
つい癖で……もういいや。面倒だし、アリスの妹で……
「今なんか妹堕ちしなかった?」
鋭い! やはりチートか! やはりこの設定忘れやすいな……
「……否定はしない」
「ことり? 今、私の娘に何したの?」
「え? あ、アリサ……いや、これは……」
おや? これは……
「「小鳥お姉ちゃんに虐められたーーーっ!!!」」
「アンタたち!!」
「小鳥? うちの娘に何するつもり?」
アリサのことを初めて怖いと感じた……
「い、いや……これは……さらばっ!!」
シュンッ!
「「「はやい……」」」




