第42話 小学校卒業式
あれからいろいろ時間が経ち、俺と啓介の墓参りや、中学校見学、修学旅行なんてものがあったが、修学旅行はインフルって行けなかった。ちなみにその時の小鳥たちの反応はみんな一緒で「萌え死にしそう……」だった。
まあ、そんなことはさておき今日は卒業式をやるらしい。というかやる。
『これより、第72回 水無月小学校卒業式を開始致します。まず、来賓の方々の入場。皆様、拍手でお迎えください』
パチパチパチパチパチパチ!
『来賓の方々、先頭 偉 蒼奈人を筆頭とした20名』
名前っ!? 『偉そうな人』はさすがにおかしいだろ!?
『前から順に偉 蒼奈人、加根 有幕理、
瓜間 栗乙 27歳独身水瓶座』
何故いま個人情報公開した!? そして『金ありまくり』は絶対ヤバい!
『続いて入って来たのは、卑怯! 変態! 女装趣味と3拍子揃った外道! 根田乃 肩魔利さん率いる根田乃3兄弟です!』
公開処刑だ……っていうか卒業式にまで女装して来て堂々としてるアンタらは強者だ。
『次に入って来た方々は右から順番に薄い! 少ない! ハゲ! なみへー! ご老人方の登場です!』
ひでぇー解説だ……っていうかあんな1本だけ残ってる髪なんてあるんだな。
『続いて、やって来たのはご来賓のおばさま方、計9名 面倒なので以下略です!』
これホントに卒業式だよな!? 大丈夫か!?
『最後にぴーてぃーえー会長、誰もが認める永遠の幼女、田辺 ティルスティアです!』
「「「うおおおおおおっ!!!」」」
守護霊さん!? 何してんだ!? っていうか周りも盛り上がるな! そして守護霊さんの名前初めて知ったぞ。っていうか俺たちの入場する時より目立ってね? もはやあっちが主役じゃん。
『以上20名! 申し遅れました。司会はわたくし、白石 イリスでお送りします』
「「「イリスちゃん!?」」」
そうなんだ……司会は実は俺なんだ……卒業生なのにすぐ転ぶからという理由で……
『続いて、卒業証書授与。担任の先生方、マイクをパスしますので受け取ってください!』
……は? マイクを担任の先生たちに投げろ? 上等じゃねーか! 受けてたつ!
「「「へ?」」」
『マイクパスっ!!!』
俺はマイク3本を先生たちに向かって投げる。
「「「本当に投げるな!!」」」
指示通り投げたのに怒られた!?
『1組 担任 加藤 莉緒教授』
『1組!』
ガタガタ!
1組の生徒たちが立った。
『浅間 勇也!』
「はい! 僕の将来の夢はお花畑になることです!」
ん? 頭大丈夫か? いや、もしかしたら脳内お花畑になるのが夢かもしれないな。っというかこんな公開処刑は前世じゃなかったんだが……
『卒業証書、貴殿は……ん? えーと、えーと……この漢字何て読むんだっけ? っていうかこれ書いたやつ字汚いな……まあ、いろいろ頑張った! よってここに卒業証書を授与する! 卒業おめでとう!』
おい! それは読み上げるだけだろ! 読めない漢字ぐらいフリガナ振っとけ! あとそれ書いたのお前だ! 校長!
『続いて、2組 担任 高橋 楓教授! ……は本日欠席だと思いますので3組 担任』
「居ますよ!! さっきマイク投げたでしょ!」
チッ! 早く終わらせたかったのに!
『2組!』
それから2組の卒業証書授与が終わり、3組の番。
『最後に3組! 担任 全身タイツマン、日高悠司こと、雑菌教授!』
「俺は悠司だ! 卒業式ぐらい普通にしろ!」
『それは保健科の千田教授に申し上げください!』
「え"っ」
「え"っ」じゃねーよ! お前が仕向けたことだろ!
『3組! 五十鈴 光!』
「はい!」
3組も俺を除き、全員終わった。
『続いて、在校生送辞。在校生、卒業生の皆さまご起立ください!』
まあ、いろいろ言われた。結論だけ言うと、卒業式すらふざけられる先輩たちはマジ神です! っていうことだった。
『卒業生答辞。卒業生の皆さまご起立ください!
答辞 春の訪れは私たちを新しい道へと導いてくれ、この6年間は私たちにとってかけがえのない6年間でした』
「「「(お前が言うのかよ!!)」」」
『在校生の皆さんも常にふざけ、楽しみ、この一度きりの人生を楽しんでください! 卒業生代表、白石 イリス!』
『てれてれててーててれてれてパフっ! てれてれててーててれてれれパフっ!』
※しょーてんのあの曲
「「「ぷっ……くくくっ……」」」
誰だ今しょーてんのテーマ曲流したやつは! ……こーちょーーーっ!!!! 確かに次は歌を歌うがその曲のチョイスはおかしいだろ!
『でーでーでん! ででででーでーでん! でーでーでん! ででででーでーでん!』
今度はでぃけーどかよ! 誰が処刑用BGM流せって言った! あとさっきから『てててー』とかじゃ何言ってるかわかんねーよ!
『校長先生、先ほど漢字が読めなくて恥ずかしかったのは分かりますが、卒業式でしょーてんとでぃけーどはお辞めください』
プツンっ!
あっ、音楽止まった……
その後校歌を歌い、着席した。
『卒業生退場!』
ガタガタ!
生徒たちが立った。そして、退場していく。
『てれてれててーててれてれてパフっ! てれてれててーててれてれれパフっ!』
こーーちょーーーーっ!!!!! 頼むからやめてくれーーっ!! 笑いが堪えられねーんだよ!
「おつかれさん、イリスちゃん。まさか司会なんて思わなかったよ」
「私もだから安心して……」
「よし! じゃあイリスちゃん!!」
チャッキ
「えっ? 冗談でしょ?」
何故に俺は今、クラスメイトたちに銃を向けられてるんだ……まさか今までの仕返しか!?
「「「卒業おめでとー!!!」」」
パーンっ!
「ふえっ!?」
銃で撃たれたかと思った……あぶねー、クラッカーかよ……びっくりさせるなよ……
「はい、卒業証書。小鳥先生が渡してって言ってた。全く、自分で渡せばいいのに……」
「あはは……ありがと。光ちゃん」
それは照れ隠しだろ。小鳥のやつ今頃保健室で泣いてるぜ? っていうか泣いてたぜ? まあ、黙ってこっちまで来たけどな。
「これでお別れですね。イリスちゃん」
「そうか。今日帰っちゃうんだっけ?」
「はい、今までお世話しました。それでは!」
ん? お世話……しました? してたな。うん……ってそれどころじゃない!
「イリヤちゃん!」
「何ですか?」
「まだホームルームが残ってるよ!」
「あっ」




