第2話 おでかけと旧友との再開
あれからさらに4年が経ち、遂に5歳になりました。そして、実はこの部屋は他の2つの部屋に行けることがわかった。
1つ目はトイレで2年前によくアリサからトイレの仕方を教えられた。……あの時は恥ずかしかった。好きだった女に放尿シーンを見られるとか地獄かよ……
2つ目はお風呂だった。これもトイレ同様、部屋と繋がっているので寒い思いをしないでお風呂に入れた。ちなみに凄い暖かく気持ちよかった。
アリサと入るとアリサが3分ぐらいで逆上せてた。アリサは長風呂はしないのか? ……お風呂の温度設定をみたら63度って書いてあったような気がするが気のせいだろう。ちなみに将吾は話にならなかった。
「イリス、今日は出掛けるわよ」
「おでかけ!? いかない……」
俺はあれ以降トラウマになった。もう外の空間が冷凍庫にしか感じない。
「大丈夫よ。たくさん服を着ていけば寒さなんて感じないわ」
俺は白いワンピースに水色のパーカー、その上に水色の膝下くらいまで丈がある可愛いらしいコートを着て、タイツを履いている。そして、水色の手袋とヘッドホンをつけた。
……水色どんだけ推してくるんだよ。
「イリス可愛いよ。これだけ着てれば今の時期は大丈夫だからね。じゃあ、行こうか」
「うん……」
アリサは扉を開けた。
「ほら、大丈夫でしょ?」
確かにこれくらいなら大丈夫だ。
「うん。ママ行こ!」
「そんなに慌てないの。将吾、準備できたよ」
「わかった。じゃあ行こうか。イリスは今日も可愛いなあ。今まで外に出ることがなかったからあまりおしゃれとかしてなかったからな」
何を言ってるんだ? 毎日アリサがいろんな服を着せてるだろ。
「ママ、行こ!」
「パパは!?」
「将吾、どんまい」
「将吾も行こ」
「呼び捨て!?」
お前なんぞ呼び捨てで十分だ。ん? 誰だこの銀髪に翠色の綺麗な目をした幼い頃のアリサに似てる可愛いらしい幼女は? いや、今のアリサをそのまま小さくしたような幼女だな。
「イリス、どうしたんだ?」
俺が右手をあげると、幼女は左手をあげた。幼女に近づくと、幼女も近づいてきた。
「イリスは鏡を見るの初めてだったね」
「鏡?」
これが鏡か? そういえば自分の姿見たことなかったな。風呂場の鏡も身長がないから見えないし、他のところに鏡なんてないからな。
「鏡っていうのはね、自分の姿を見ることができる道具よ」
「へー」
ちょっと子どもらしく手を振ったりしてみるか。
「イリスもまだまだ子どもだな」
「そうね。あまりおもちゃとかで遊ばないからどうしたのかと思ってたけど、普通の女の子ね」
やっぱり不自然に思われてたか……さすがに高校生がおままごとや積み木遊びとか出来ないぞ。
俺は動かしていた手を止める。
「ん? どうしたんだ?」
「飽きた」
「早いな。もしかしてあまり遊ばない理由ってこれなんじゃないか?」
よし、上手く誤魔化せたな。
「そうかもね。じゃあ出発しましょうか」
俺たちは車に乗って出発した。
そして車に乗って10分が経った頃……
「ねえ、どこ行くの?」
「ママとパパの大切な友達のお墓参りよ。これからママやパパのお友達を連れてみんなで行くのよ」
俺の墓参りを未だにみんなでしてくれるとは嬉しいものだな。
「そろそろ待ち合わせの場所に着くから、挨拶してね」
「はーい」
他の奴らにはバレないようにしないとな。はっきり言ってコイツらは絶対気づかないだろう。だってバカだし。アリサは昔からドジだし、将吾は結構鈍いからな。この二人の好意に気づいて二人を繋げたの俺だし。
まさか俺にはその2つの遺伝子が流れてる訳……ないか。少なくともドジは絶対流れてないな。今までそういうこととか何もなかったし。
「着いたぞ。おっ、みんな来てるな」
「久しぶりだな将吾。今日も暑いな」
「そうだな。よくお前はその全身タイツみたいな格好でここに来れたな」
なんだアレ……気持ち悪っ……
「イリスが退いてるぞ」
「すまんすまん、これはジョークだよ。着替えはこっちに……あれ? ねーな、どうしようか?」
「おい」
「俺の名前は悠司だ。よろしくな。イリスちゃん」
「……」
コイツはクラスの中でも常にネタにされる存在でクラスメイトが一生覚え続けるである断言できるくらいアホなやつだ。
「退かれてるな、まあ仕方ないから諦めな。悠司。イリスはお前のことをつまらない存在だと思ってるんじゃないか?」
「なんだと!?」
いいから早く乗れよ。いつまで車の外で会話してんだよ。
「イリスちゃん、こんにちは私は朱音よ。よろしく!」
「よろしく……お願い……します……」
「うんうん、可愛いね。そんな格好で暑くないの? もっと運動しようよ! そうすれば夏だろうが冬だろうが服なんていらないよ! ほらほら! もっと熱くなっちゃいなよ!!」
ヤメロ! 服がなかったら死ぬわ!! っていうかこの季節にタンクトップは絶対ヤバいって!
コイツはアリサの友人で他人に無理やり運動をさせるヤバいやつ。はっきり言って関わりたくない。俺は生まれてから1度も運動なんてしていない。つまり、俺とコイツの相性は最悪だ。
「こんにちは、イリスちゃん私は小鳥っていうの、よろしくね」
「よろしくお願いします」
おそらくコイツが俺たちの中ではまともな存在だろう……小鳥は子どもになつかれやすい体質を持っていて、母性に溢れてるような優しい1面もある(本人が子供好きとは言っていない)。
しかし、基本的に小銭とイタズラが大好きなやつだ。コイツを買収する際は必ず100円玉か500円玉だ。寧ろそれだけで吊れる。
ちなみに性能はチートでどんなことでも神みたいにできる。わかりやすく言うと異世界でチート貰って無双してるあの人たちを瞬殺できる。
このメンバーを一般人と比べると
小鳥 ≫ 神様 ≫≫ 越えられない壁 ≫≫ 一般人 > 俺 > 将吾 > アリサ > 朱音 = 悠司
という感じだ。小鳥はもはや一般人ではないが一番まともな存在だ。小鳥の近くが一番安全だろう。それにコイツを敵にまわすと死ぬからな。
「イリスちゃん? どうしたの?」
「んっ」
「小鳥はホント子どもになつかれるよな。もう膝に座ってるし」
「イリス、どうしてママから離れて行くの……」
「なあ、俺はこの格好で行くのか?」
早く乗れよ。っていうかなんでみんな半袖なんだ?
「今って冬じゃないの?」
「何言ってるの? 今は8月だよ?」
え? 8月ってこんなに寒かったか? 普通に12月だと思ってたんだが……
「じゃあもっと寒くなるの?」
「そうだよ。イリスちゃんからみたら冬はツラそうだね。ねえ、沖縄の方とかに引っ越したら?」
「いや、それは出来ないな。俺はこれでも医者なんだぞ。白石総合病院の院長なんだぞ? どうやってここから離れろと? イリスたちと離れるなんて俺にはできん!」
お前院長だったのかよ!? よく医者になれたな! お前バカじゃなかったのかよ!? 道理で月に1度おままごとみたいなことやってると思ってたよ! アレって本物の検査だったのかよ!? 全く検査に思わなかったぞ!? 人は見かけ(性格)に寄らないんだな!?