第18話 体力テスト
光ちゃんたちが遊びに来た翌日……
「イリスは誰が好きなの? 士郎くん? 陸くん? それとも蒼真くん?」
この教室の破壊者はなにを言ってるんだ?
「イリスちゃんは光ちゃんが大好きだもんね♪ だって膝の上に座っちゃうぐらいだもんね♪」
「は?」
頭大丈夫か? でも、今までの選択肢よりは遥かにマシだな。
「イリス、えっとね……別に悪いとは言わないわよ。イリスの好きな子は女の子でもいいと思うわよ? でもねママはやっぱりイリスには男の子がいいと思うのよ」
遠回しに女を好きになるなって言ってんじゃねーか。
「ねーねれずー」
「れず? なにそれ?」
アリサ、それくらい知っとけ。つーかコイツ絶対啓介だろ。もはや隠す気ないだろ。でもコイツがアリサから離れない辺りにイラつく。早く拷問してぇ……
翌日……
今日から再び学校が始まった。
「今日は体育で体力テストをやるから着替えて校庭に来るように」
「「「はーい!」」」
すると悠司が教室から出ていった。
「イリスちゃん着替え……られなかったね」
「着替えられなくはないけどね。コートの中で着替えればいいだけだし」
このコートは少し余裕があるから中で着替えることも可能だ。小鳥のやつここまで計算してたのか。
「でも着替えないでしょ?」
「そうだね」
俺は光ちゃんが着替え終わるのを待った。そして光ちゃんが着替え終わった。その間俺は光ちゃんの着替えをずっと見てた。
ブルマって滅んでなかったんだな。意外だ。ネットとか見てもブルマなんて今時なかったのにな。
「イリスちゃん、着替えはあまり見ないでくれると嬉しいな……」
光ちゃんは少し顔を赤く染めながら言った。
小学生とは言え恥ずかしいものは恥ずかしいんだな。
「ごめんね……でも私もそれくらい恥ずかしかったんだよ?」
「あはは……光たちもそろそろ行こうか」
「きゃっ!」
光ちゃんが手を引っ張ると同時にこけた。
「え?」
バタン!
「いたた……ん? これは?」
両手にブルマ? なぜ?
俺が上を見ると水玉がダイレクトに見えた。
そして顔を真っ赤にしながら震えてる光ちゃんも見えた。
「そういうのはやめてーー!!」
俺は光ちゃんに謝りながら校庭に移動した。
これはさすがに反省だな。俺は別にラッキースケベを求めてる訳ではないんだから……
「じゃあまずは50mから測るので、各クラス番号順に2列で並んでください」
2組担任の人が学年全体に言った。今日は50mと20mシャトルランとハンドボール投げの3つだ。クラスは3クラスで2クラスは合同で、残りの1クラスは今日は体育館でやるらしい。
「それじゃあ向こうの日高先生のいる所まで走ってください。今から高橋先生が見本を見せてくれます。
それでは位置についてよーい……ドンっ! って言ったらスタートしてください!
高橋先生! なにしてるんですか! 戻ってきてください!」
嵌めるんじゃない。今のは確実に悪意があっただろ。
ちなみに俺は見学中……俺はそもそも体育の授業は出られない。理由は汗とかで体が冷えるから……というのが表向きで、実際は体力が皆無だからだ。そして、高橋先生は2組の副担任だ。
「それじゃあみなさん位置についてください。よーい、ドンっ!」
4人の生徒が一斉にスタートした。走っているのは2組の生徒二人と光ちゃん、士郎くんの4人で士郎くんが1番速かった。ちなみに陸くんと蒼真くんも中々速かった。光ちゃんは……まあ、なんというか……頑張れ。少なくとも俺よりは速いぞ。でも手を抜いてる感があったな。
なんやかんやで他の2つも終わり、みんなが教室に戻る前に悠司に引き留められた俺はまさかの50mを走ることになり、ハンドボールもやらされた。結果だけを言うと、50mで3分も掛かり、ハンドボールは記録上は0mだった。何があったのかはご想像にお任せします。
そしてその体力テストの放課後のこと……
俺は保健室でいつも通り小鳥を待っている。
「イリス、なぜハンドボール投げであんなことが起きたんだ」
知らんわい! 別に先生たちが3人ほど犠牲になっただけだろ! その程度でいちいち文句を言うんじゃねー!
「なにか喋れ。そこで眠ってる先生たちをそのままにしておいていいと思ってるのか?」
「全く、さすがアリサの娘だね。教室の破壊者の娘は教師の破壊者かな?」
言っとくが俺はかーなーりドジだ!(やけくそ)
この前も教室にプリント運んだ時も見事にプリントが爆散したぜ。
「イリス、俺はお前のドジを治そうと思ってる。お前今日何回転んだか覚えてるか?」
「……3回?」
「それはお前が今日みんなに迷惑を掛けた回数だ。転んだ回数はその4倍の12回だ」
「わーびっくりーそんなにころんでたんだー」
「お前……」
いや知ってたさ! でもアリサも毎日同じくらいやらかしてるから将吾の休日は窓ガラスや鏡の張り直しとお皿の買い出しだよ!
最近は紙皿やプラスチックの割れにくいコップになったけどな。俺のは勿論温かい飲み物なのでプラスチックではないが……3日に1度は新しくなってるな。
「全く、なにをどうしたらこうなるんだ……アリサもそうだが、せっかく可愛いらしい顔立ちなんだからそれを無駄にしないでくれ……」
「でもそういうドジなところがあるから可愛いらしさが引き立つのよね」
「ある程度までならな……コイツらは洒落にならん。小鳥はよく平気にコイツらと生活できるな」
そういえばそうだな。っていうか小鳥の前で転ぶ場合って全部小鳥が引き留めてくれるんだよな。
「実はアリサもイリスちゃんも転ばせなければなにも起きないんだよね。転ぶことが確定した瞬間に何かやらかすんだよ。だから転ばせなければいいんだよ」
初めて知った……
「「さすがチート女」」
「うるさいわね! 私は前から言ってるけど、私はチートじゃないのよ! チートだったら私だって彼氏くらい……」
あーはいはい。どんまいどんまい。なんくるないさー気にせんといてー
「よし、終わり。じゃあイリスちゃん帰ろうか」
「うん! じゃあーねおじさん!」
「おじさんはやめろ! せめて先生って呼べ!」
「いや、今はオフなんで……」
「オフ!? お前はアイドルか何かなのか!?」
いや違うけど……
「それじゃあお疲れ様です。おじさん……」
「それ言ったらお前はおばさ「ん? 何か言った?」……いえ、何でもありません。あの良かったらイリスちゃんの養育費に使ってください」
買収!?
「ありがとう♪」
「俺の今月のお小遣いが……(ボソッ」
うひょー怖っえ……早いところ車に乗ってよ……悪い大人の黒いところを見た感じだ……