第130話 え? 豪邸行くの? じゃあおめかしで巫女服着て行かないとね?
今日はみんなで小鳥のジジ……お父様に会いに行く。もちろん、千田財閥という金持ち豪邸に行くわけなので、それ相応のおめかしをしないといけないわけなのだが……
「なんで巫女?」
「似合ってるよ」
いや、そうじゃなくて何で巫女服なんだよ。おかしくないか?
「おかしくないわよ。これが常識よ」
そうなのか? もしかして俺が死んでる間にそういう風に時代も変わったのか?
「小鳥お姉ちゃんは何で私服なの?」
「そりゃ、あまり住んで居なかったけど家だし」
確かに家だな。おめかし必要ないな。
「ほら、みんな車で待ってるんだから早く行くよ」
小鳥は俺を抱っこして外に行くと例の黒くて長い車が止まっていた。
「ルーシーたちは?」
「見てくれる人もいないから連れて行くことになったのよ。ほら、行くよ」
鍵を閉めて車に乗ると私服姿の将吾たちがいた。
「は?」
なんでコイツら私服なの? 巫女服は? 時代じゃないの?
「イリスどうしたんだ? 巫女服なんか着て何かするのか?」
「え? 小鳥お姉ちゃんがおめかしする時は巫女服だって言ってて……」
「それを真に受けるなよ……」
は? まさか嘘だったの? じゃあ俺はコスプレして豪邸に行くの? めっちゃ恥ずかしいじゃん。
「大丈夫よ。向こうだって大半はコスプレしてるんだから」
「確かにそうだけど、それは違くない!?」
向こうは仕事でコスプレしてるだろ!? 俺が変な人で見られるからやめて!?
「あっ、車出しちゃってください」
「かしこまりました」
いやいやいや!! なんでこの流れで車を出す!? 執事さんも空気読んでよ!?
それから車を乗り継ぐこと2時間。途中、ゲ□を吐いたり漏らしたり、いろいろあったけど、何とか着いた。
「これから大事な話があるのにもうくたくただ……」
「帰りは電車にしよっか?」
「そうだな。じゃあ行くか」
小鳥に抱っこされて車を降りるとたくさんのメイドと執事が並んでいた。
「さ、さすが金持ち……」
「将吾だってこれぐらい持ってるじゃない」
そうなのか? じゃああまり使ってないのは何で?
「使ってるわよ。アンタの護衛とあの部屋で」
マジ? あの護衛さんそんなに高いの? ちょっと今後は贅沢しないようにしよ……
それから扉の前で待っていた執事さんに超豪邸の応接間まで案内された。
「こちらです。失礼します」
執事さんが扉を開けて俺たちを入れさせる。
「やっと来たな。ずいぶん遅かったじゃないか」
「へぇ、これがアナタの妻? ずいぶんパッとしない顔してるね?」
ジジイが捨て台詞を言うとそれにブスい女が将吾を馬鹿にするような台詞を言うのだが……
おばちゃん、それ違う。それアリス。妻じゃなくて子ども。
「ほら、さっさと座らんか」
「は、はあ……」
将吾がゆっくりとソファーの真ん中に座って将吾の左側にアリス、アイちゃん、小鳥。右側にアリサに抱っこされた俺と葉姉。ルーシーを除いたルーシー族たちはソファーを囲うように居座っている。
そしてルーシーだけはまるでこの家の主は俺だと言い張るような感じで将吾の目の前に居座っていた。
「さて、ではまずこちらの話からしよう」
どうでもいいジジイが将吾にこっちに来るとどのような利点があるのかを説明していた。……アリスを馬鹿にしながら。
うん、間違えなく勘違いしてるわ。このジジイとババア凄い勘違いしてるわ。っというかどうやったら間違えられるの? だってアリスの髪は将吾と同じ茶髪で、俺とアリサは銀髪だぞ? それで俺は幼女じゃん? だとしたら将吾はどうやって銀髪を二人産んだの? ってなるぞ? この2人、実はバカなんじゃないの?
「私がお母さんなのに……」
俺の後ろで泣いているアリサは放っておこう。勘違いしてくれてるならそれに越したことはない。
そうだ。暇だしジジイの言ってた言葉も軽く説明しておこう。
『ジジイ交渉 ~将吾を小鳥と結婚させたい~』
1、小鳥ってチートだから邪魔されたら困るし、貰ってくれない?
2、小鳥との血縁関係マジウゼー
3、医者とパスが出来るのサイコー
4、将吾とパスが出来ればアリスを結婚させる必要ないから俺とアリスと自分の息子を使って他の金持ちとパスできるぜ。
5、君もそんな使えない妻よりもウチの小鳥の方がいいだろ?
6、葉月ちゃん可愛いね? ウチの養女にならない?
以上。
「誰が幼女だって!? どうみても幼女はイリスちゃんだけだよ!?」
「幼女じゃないもん!!」
しかもそっちの幼女じゃない! 養子の方の養女だ! オマケに葉姉だって120cmぐらいじゃん! 幼女だろ!?
「それでどうかね?」
「お断りします。俺には家族が大事ですから。それにアイツとの約束ですから」
さすが将吾。わかってるね。
「はぁ……やれやれ、君には失望したよ」
なんか始まった。これ絶対ウザイやつだ。
「そんな口約束をさせる彼は頭に血でも上ってるのか? おっと、今は上る血すらなかったな! ハッハッハッハッハ!!」
何が言いたいのかわからないけど、とりあえずウザイということだけはわかった。
「それにそんな口約束ごときに縛られるなんて君の器もずいぶん小さいものだな」
コイツ直接言って来やがった。しかもピンポイントに攻撃してくるな。
「君の妻だって転ぶし、窓は割るし、教室は壊すし、使えないゴミクズじゃないか」
「ママはゴミクズじゃない!! 何もわかってない癖に知ってる風に語るな!!」
アリサたちをバカにするのもほどほどにしろ! そんなことをしていいのはただ1人! この俺だ!