第109話 日向氏がロリコンなら早くしろ離婚! シノバじゃーないとーーっ!!
俺たちは天体観察をするための場所を探すという建前を持って観光をしていた。
そして着いた場所は遊園地だった。
「遊園地かぁ……」
嫌な思い出しかないな……
「どうかしたの?」
そういえばあの時は小鳥もアイちゃんも居なかったな。アイちゃんがもしあの場にいたら同じ気持ちを……アイちゃんって身長120cmはあったような気がする。つまりジェットコースターも余裕なのか。
「クソが」
「「!?」」
それから遊園地で適当な場所を周ることになったのだが……
「今回は自由行動! 夕方にここに集合ね。今日は晴れないみたいなだから観測は明日! 以上解散!」
そう言って小鳥はそれぞれに入園チケットを渡して俺からブレスレットを奪い取ってアイちゃんを抱っこして洋服屋に駆けていった。アイちゃん、お疲れ様です。
さて、リア充どもは何かもう消えてるし、シノバさんと適当に徘徊するか。
「よし、それじゃあ行くとするかの?」
『よし行くぞ!』
「あっ、お客様。犬の入園はちょっと……」
『え?』
犬が会話してるにも関わらず平然と入園を断るスタッフさん。
俺はミトコンドリアに首輪とリードを付けてポールに結んだ。
「じゃあ行こっか」
『ちょっと待てぇぇぇ!!』
「何?」
『何? じゃねーよ! 何で平然と首輪付けてくれてんだよ!?』
犬に首輪は当然だろ? むしろなんでしてないんだよ。
『ルーシーだってしてないだろ!?』
「失礼な! ちゃんと付けてるよ! ルーシーが緑でココが赤! ララが黄色! ロロが青でモモがピンク!」
5匹揃って『変態種族 ルーシー族』だよ!
だから新しく白色の首輪をつけたんだよ!
『なんか1匹ぐらい増えても不思議じゃないんだが……なら仕方ないな。じゃあお前の影に居させてくれよ』
「別にいいよ。
まあ、ルーシーたちの場合は首輪じゃなくてスカーフなんだけどね(ボソッ)」
それから入園してシノバさんと適当に徘徊することにした。
「せっかくじゃし、動画でも撮って投稿でもしてみないかの?」
「いいけど顔は隠してよ?」
「じゃあ撮影開始じゃな!」
シノバさんはカメラを取り出して録画を開始した。
「今日は幼女ちゃんと一緒に遊園地に来ておるぞ? 羨ましいじゃろ?」
煽りから入っていくスタイルだ。炎上するぞ。
「幼女ちゃん、挨拶を」
あっ、そうだった。これネットに上げられるんだった。真面目にやらねば。
「幼女ちゃんです! これから遊び倒します!」
シノバさんに抱っこされた状態で挨拶をしてやった。まあ手袋をした手しか映ってないけどな。
「まずはジェットコースターに行ってみようと思うぞ?」
「えっ……?」
一旦撮影をやめてジェットコースター乗り場まで移動して、撮影を再開した。
「というわけで並ぶぞ?」
「あの、ちょっといいですか?」
スタッフさんが俺を抱っこして高さが書かれた看板の前に移動して、俺をおろした。
その瞬間をガッツリ撮影しているシノバさんは「幼児虐待」と連呼していた。
「ごめんね。まだ身長が足りないから乗れないの。あと10cm成長したら乗れるから頑張ってね」
「はい……」
べ、別に大丈夫だよ……俺の心はこれぐらいじゃ砕けないから……だからそんな顔をしないで……
「泣いちゃった……どうしよう……」
「気にしないでください。いつものことですから」
シノバさんがマトモな口調で話してる!? でもいつものことは傷つくぞ……
「よしよし、あっちの方で鮭買って上げるからの?」
「焼き鮭っ!!」
焼き鮭教徒ばんざーい! ばんざーい!
『うわっ、チョロ……』
それからおやつに撮影をしながら焼き鮭を食べてコーヒーカップや観覧車、お化け屋敷などを満喫した。
「よし、今日はここまでにするかのもうすぐ集合時間じゃしな」
「そうだね」
俺とシノバさんは集合場所に向かった。
「……アイちゃん?」
「何も言わないで」
アイちゃんはとても可愛い服を着ていて、その右手にはあと5時間ぐらい効果が有効なブレスレットがあった。
「小鳥お姉ちゃん、写真は?」
「大量よ! ほら!」
小鳥がたくさんのコスプレをしたアイちゃんの写真を見せてきた。
なんか小鳥のやつ親バカになってないか? というか黄色くてボッチの厨二魔法少女はやめてやれよ。さすがに可哀想だわ。
「ほら見てよ! このシンデレラの衣装に赤ずきんの衣装、メイド服に袴、浴衣、おやゆび姫、セーラー、ハロウィン衣装、そしてスクミズ!」
1つぐらい男の子の衣装用意してやったら? 全部涙目じゃん。スクミズとかブツの形が……
「それで、色んな格好させてその時のアイちゃんが本当に……(以下略)」
それから小鳥によるアイちゃん可愛い過ぎトークは4時間続いた。アイちゃんとシノバさんとリア充はトイレとか言って逃げた。
一方、俺は逃げられることができずオムツに漏らした。そして俺と小鳥のみ夕飯を食べ損ねた。
アイツら夕飯食べたなら戻って来いよ。
あれ? そういえばミトコンは……?
『アイリスさん、さすがに助けてあげたらどうです?』
「ないです」
『あなたの未来のお嫁さんですよ?』
「ないです。ボクはゴールデンウィーク中はお母さんに近づかないことにしたから」
『そうか』