第103話 イリスの元愛犬? ルーシーの父親ミトコンドリア
「イリス、紹介しよう。コイツがお前の結婚相手の木模 出部だ」
「デュフフ、よろしくねイリスたん」
な、なんで……俺の相手はアイちゃんのはずなのに……
「イリスちゃんってリア充消そうとするなんて最低だね。じゃあボクは月美ちゃんと結婚するから」
「待ってアイちゃん! せめて巨乳派なのか聞かせて!」
「少なくともボクは君みたいな幼女に興味はないよ……ないよ……ないよ……(エコー)」
「幼女って言うなーーーっ!!!」
……え? 夢?
「イリスちゃん? どうしたの?」
「アイ……ちゃん?」
ここは……保健室? そうだ。シノバさんの前で倒れたんだ。
「アイちゃん! アイちゃんは私が幼女でもいいよね!?」
「え? うん、いいけど……」
よし! これで俺はキモデブと結婚しないで済んだ!
「じゃあボクは授業に戻るけど、イリスちゃんは保健室で休んでてよ」
「うん、わかったよ」
アイちゃんは保健室を出ていった。
……アイちゃんって俺と同じ体質なのに走れるのか? 俺は走れないのに?
「小鳥くん、ウチのルーシーは?」
「こちらに」
小鳥は寝ているルーシーを(無理やり)起こして俺の方に向かわせた。
「わふっ……(主、死ぬかと思いやした……)」
へー、それは俺を無視してエサを食べてた罰だ。
それからなんやかんやで放課後になった。
「アイちゃん、一緒に帰りませんか?」
「うんいいよ。一緒に帰ろ」
お友達……イリヤちゃんと帰ろ……
「ごめんなさい。私これから部活があるんです。それではイリスちゃん、また明日」
……下校もボッチになってしまった。でもいいもん! ルーシーと一緒だから!
「ルーシー帰ろ!」
「わふっ……(主、憐れな……)」
俺はルーシーに乗って下校する。すると学校を出て少ししたらルーシーが止まった。
「どうしたの?」
「わんわんっ! わんわんっ!(曲者ーっ!!! でやいでやい! でやいでやい!)」
どうした越◯屋!? 忍びか!?
「きゃっ!?」
ルーシーが突然走り出したので俺はルーシーにしがみつく。ルーシーは適当なところで裏路地に入った。
『ほう、俺に気づくとはさすがだな』
地面から黒い犬が出てきた。……ん?
「ミトコン?」
『水戸◯門みたいに言うな! ……え?』
ミトコンって俺が琴道時代で飼ってた犬じゃなかったか? なんでまだ生きてるの? というかどうやってコンクリートを潜った?
「本名は? ねー本名は何て言うの? ミト?」
『コンドリア……お前琴道か!?』
「わんっ!(その通りだ! よく主の正体を見破ったな!)」
お前なんで知ってんだよ!? もしかして俺もうみんなにバレてるのか!? 泳がされてるだけなのか!?
『ずいぶん可愛いらしい姿になったな? アリサが大好き過ぎるあまりにアリサの娘になっちまったのか?』
「うるさい」
『まあ、我が娘たちもお前を慕ってるしいいではないか。例えドジで間抜けで教室を破壊するやつの娘でも』
「うるさいな!」
……え? お前今なんて言った? 我が娘?
『何を言ってるんだ? お前が乗ってるルーシーは俺の娘だぞ?』
「わふ?(え?)」
ルーシーは俺が産まれて数週間の時にお店で買ったんだぞ? なんでお前が親なんだよ。
『何を考えてるのか知らんがルーシーは俺の娘だ。ちゃんとヨウリョクタイと色々なことをして生まれた子どもだぞ?』
……え? ミトコンドリアが葉緑体で童貞卒業?
その時、俺の中で世の中の理をひっくり返す1つの説が生まれた。
〔植物の細胞にある全ミトコンドリア非童貞説〕
「マジっ!?」
『お前失礼なこと考えたろ? まあいいや。本当ならお前の影に潜んで魔力を根こそ……少しだけわけて貰おうと思っただけだ』
お前いま2つの言ってはならない言葉を発したな? 魔力? ここは異世界じゃないんだけど?
『お前の知り合いに神様いるのに何を言ってるんだよ?』
お前なんで俺の知り合いに神様いるの知ってんだよ。
「……日常系でも神様出るものあるもん!」
『なら日常系でも魔力があってもいいだろ! それにどっかの魔法少女は自分の分身にディープキスして魔力与えてるだろ!』
「あれは2次元でしょ!?」
『これも2次元だ!』
意味わからんことを言うな! ここは3次元だ!
「よくわからないけど! とにかく魔力はあげないから! 帰って!」
『断る! 理由は簡単だ! 葉月に魔力食い過ぎるからって追い出された!』
「お前が悪いじゃん! 謝ってきてよ!」
こっちは関係ないだろ!
『もう謝った! 謝罪会見もした! でもダメだった! だからお前の家に寄生させてくれ!』
「言い方に気をつけてよ! せめて居候にしてよ!」
『じゃあ居候させてくれ』
「じゃあいいだろう」
……ん? なんかおかしいような……まっ、いっか。
「わふっ……(主、簡単に口車に乗せられてる……)」
『そうと決まれば行くぞ! ……ところでなんでお前1人で帰ってたんだ?』
えっ………………
「ボッチですけどなにか……」
『えっ』
「ボッチの何が悪いの! そんなにボッチ哀れなの!? ボッチだってボッチなりの現実逃避があるんだよ!」
『(うわっ、めんどくさ。寄生対象間違えたな)い、いや別に悪いとは言ってないぞ! むしろ俺もボッチだからボッチ仲間だ! ボッチに仲間ができたらそれはもうボッチじゃないんだ! お前はもうボッチじゃない! 安心しろ!』
……ありがとミトコン。少しだけ元気出た。
「でも私は栄光あるボッチだから」
『お前はいつの時代のイギリスだ。お前さっき泣いてただろ?』
「……ルーシー帰ろ」
俺はルーシーに乗って家に向かった。
『悪かったから俺を置いて行くな!』




