第84話 おふらいん ようじょちゃん
あれから1週間後に焼き肉パーティーに行くことになった。そして、俺と光ちゃんは待ち合わせの場所に来ている。どうやら全員この街に住んでるようなので待ち合わせ場所は駅になった。
「それで光ちゃん。そのサングラスはなに?」
「これでも女優なんでね」
……ん?
「わーちゅーばーじゃないの?」
「ふふふ、今の私は自衛隊兼女優兼ワーチューバーなのだよ」
めっちゃやってるじゃん。俺なんて学校から帰ったらルーシーたちの散歩してアイちゃんや小鳥、アリサと話して、夕飯食べて、アイちゃんと話して、お風呂に入って寝るの生活だぞ。
ちなみにアイちゃんはオカルト部に所属しました。今年の新入部員はアイちゃんのみ。他の人たちは俺が校長先生に入れないでと上目遣いでお願いしたらあっさりと通った。
校長がロリコンじゃもうこの学校終わりだな。
「お待たせしました。お待たせし過ぎたのかも知れないのぉ」
目の前に大人びた青年がやってきた。
そのしゃべり方……
「もしかしてシノバさん?」
「おー本当に幼女なんじゃな。シノバじゃ。こう見えてまだ高校生なんじゃよ。口調はもう癖なんじゃ」
癖なのかよ。普通に40代のおっさんかと思ってたぞ。でもよくよく考えてみれば光ちゃんと合ってる人たちだし、おっさんはないか。
「お待たせしました。お待たせし過ぎたかもしれないね!」
なにそれ? 流行ってるの?
「本当に幼女で毎日コートなんだね。つづくだよ~よろしくね」
「よろしくお願いします」
「そんなに硬くならないでいいよ。これでも高1だからね」
「じゃあつづくよろ~」
「急に弛くなったわね」
「じょーだんだよ」
「わしはそういうの好きじゃよ?」
ん? 今のはロリコン発言と捉えてもよろしいでしょうか?
「なんかわし、ハーレムみたいじゃのぉ」
実際はカラオケ行って、焼き肉を奢るだけなんだがな。
「とりあえず移動しない?」
というわけで夕飯の時間までカラオケで歌うために移動した。
カラオケなんて今世じゃ初めてだな。どんな曲を歌おうかな?
「幼女ちゃんはなに歌う?」
「そうだね……これにしよっかな?」
俺が選んだのは有名な『けもの友達』のOP。
「♪」
「幼女ちゃん上手いね。次は私かな?」
うん、なんで動画を撮ってらっしゃるのでしょうか?
「そういえばさ、シノバさんこの前の動画上げた?」
「上げたぞ? アカウント登録者数が10万も増えたんじゃよ」
なにそれ!? 俺が登場しただけでそんなに増えるのかよ!
「うちも凄い上がったよ。じゃあ私歌うから見ててね幼女ちゃん!」
「私も大分上がったよ。さすが幼女ちゃんだね」
「あはは……」
実は光ちゃんの実際のアカウント登録者数はそんなに上がってなかった。ネット上ではひかりんは幼女ちゃんと絡みすぎてウザイと言われていて、アカウント登録者数が増えて無かったのだ。
では何故光ちゃんのアカウント登録者数が上がったのかというと……
「お嬢のためだ。みんな頑張れ!」
「「「うおおおおおっ!!!」」」
「小林起きろ! まだまだこれからだぞ!」
「なんでまたやらされてるんですかね……でもすまん。もうギブで……」
ガクッ
「「「小林ぃぃぃぃぃぃ!!!」」」
という感じで自衛隊の方々が3徹ぐらいして頑張った。っと、黒服の護衛さんが言っていた。そして護衛さんの目の下には凄い隈が出来ていた。
「幼女ちゃん、実はのぉ、新しく幼女ちゃんのアカウントを作ろうと思ってるんじゃよ」
ふぁっ!?
「なんで?」
「ネットの奴らが幼女ちゃんに会わせろと煩いんじゃよ。そこで幼女ちゃんのアカウントを作って投稿すればみんな仲良くできるよね。ということなんじゃよ」
なにそれめんどくさ……でも他の人に迷惑掛けたくないし。
「私は編集とか出来ないからやってくれるならいいよ」
「幼女ちゃんありがとう。助かるよ」
そういえばこの前のKYOETOMOのあの人どうなったんだろう? 調べてみよ。
俺がタブレットでKYOETOMOを検索すると『幼女ちゃんと会話羨ましい』が1番上に出てきた。
ネット民ヤバっ……これ定期的にKYOETOMOやらないといけないやつじゃね? ツマッターもKYOETOMOやれば幼女ちゃんと会話できるみたいになってるし、公式さえもあの幼女ちゃんと会話できるかもって宣伝してるし。というか公式は本人の許可を取れよ。
でもあの人の俺が出た動画(『KYOETOMOで女声で釣ってたら幼女ちゃんに出会った件』)の再生回数ヤバいな。他の動画の再生回数とか比じゃないんだけど。
「さっそくこの前の歌のやつ投稿してみたよ」
光ちゃんが俺のタブレットを弄って画面を見せてきた。
すると再生回数が凄い勢いで増えていった。もちろん顔出しはNGなのでこの前俺が描いた絵を使っている。
「はやっ!?」
「さすが幼女ちゃんじゃのー」
「もう1万超えたよ……」
「……みんな聞いてた?」
みんなで驚いてるとつづくさんが歌い終わったのか話に入ってきた。
「「「はて、なんのことだったかの?」」」
「とぼけないでよ!」
「次はわしの番じゃな」
シノバさんが立ち上がる。
「なんでスルーするの!」
「ちょっとトイレ行ってくる」
「ひかりんこの流れで逃げるの!?」
あっ、これ俺も逃げないといけないやつだ。
「私飲み物取ってくる」
「幼女ちゃんまで!?」
5時ぐらいにみんなで焼き肉を食べた後、解散となった。光ちゃんの奢りの焼き肉は大変美味しかったです。