5 ベッドの中、子供の頃
刀真は戸惑っていた。
作業場のベッドの中で目をつむりミロク婆の話しを黙って聞いていた。
「この作業場で薬草を加工しておるのじゃ。昔はじいさんと二人だったが、今は一人じゃから大変だ。洞窟の外は、じゃ、薬の元となる薬草がいっぱいなのじゃ。まあ聖なる山のふもとだからと言われておるのじゃ。聖なる野獣がふもとの森を守っておるのじゃ。地元の村から洞窟まで安全じゃ。
そのベッドはわしが使っているものだから安心じゃぞい。わしはじいさんが使っていたベッドじゃ。匂いは大丈夫じゃよ、薬草を乾燥させたものがシーツの下に入れておるから安心なのじゃ。あ、そうそう、お茶の葉っぱと同じじゃ。香りが良いだけじゃないのじゃ。安眠もじゃ。....」
刀真は寝てしまった。
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刀真の実家は剣道道場を営んでいる。だから子供の頃から木刀、真剣などを扱いなれていた。最初はじい様の姿を見て裏庭に落ちていた木の枝を振り回していた。3歳ぐらいから現在17歳まで15年ほど剣術にたずさわっていることになる。
現在、道場の裏山中腹あたりにある山小屋で、道場主とその孫が修行しているのである。