3 ミロク、小屋の準備
「トウマというのか、わしはミロクじゃ。ミロク婆と呼ばれておるのじゃ。
ところで、わしの作業場へどうやって来たのじゃ?」
初めて出会ったのにミロク婆はニコニコ笑顔で話しかけて来た。
「そこの入り口を出て、右に曲がって少し行った所だ。そこで気がついたら通路に立っていた。」
「トウマのその髪と瞳の色は異国から来たのか?
その異国からどうやって洞窟の中まで来たのじゃ。」
「? どうやって来たのか解らない。
ミロク婆は、髪はシルバーで青い目をしているな。」
「髪は白髪なのじゃ。若い時は金髪じゃ」
「ところでミロク婆の国の名前は、何というのか教えてくれ。」
「カッセルドルフ王国じゃ」
「カッセルドルフ国ー」どこなんだここは?
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刀真は、雑草をひたすら苅っていた。
年配者は小屋の中をほうきで払い、バケツで池の水を運び込み、小屋の小上がり、板の間、囲炉裏周りから板壁にいたるまで、雑巾で綺麗にしていた。
「じい様、草刈り終わりました。」刀真は小屋の中へ入って来て草刈り鎌を片付けながら聞いた。
「鉄瓶の中に湧水を汲んで来てくれ。」
「わかりました。」
刀真は、池の湧水で鉄瓶の中を洗い、清水をいっぱいに入れ、蓋をして小屋まで運んだ。
「次は鍋に湧水を頼む。」
「はい。」
二人はお茶や鍋を用意し、休憩した。