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06 追い払えゼストアーク団



「来たよ、カンナ、阿修羅。構えて」


山賊、ゼストアーク団。街で聞き込みをした結果、そう名乗っていることが判明した


ん……あれはチェーンソーかな?


やばい


「阿修羅!」


「おう!出力最大、ザ・ロック!」


うーん、ちょっと距離があるな


「らぶしぃ、ちゃんと捕まってね」


「は?」


「グロウ……ブースト!」


「きゃああああああ!?」


らぶしぃをお姫様抱っこして一気に空中へ。木に引っ掛かったらしく、らぶしぃの二の腕に切り傷ができたけど寧ろ好都合


「らぶしぃ、エアキルできる?」


「なるほど。てやっ!」


激しく痛むだろうに、傷口を広げ、血液をゼストアーク団に付着させる。よし、上手くいった。着地と同時に叫べ!


「ダーティ・コールド!」


刹那に文字通り氷漬けになる団員たち。初戦闘の時、まともに喰らってたらと思うと正直ゾッとする


「く、こいつらアビリティ持ちかよ……!」


「違ぇよ馬鹿!この黒スーツ……間違いない、ハウンドキャットだ!」


わーお図らずとも有名人だ、私達


「その通りだよ、あたし達ハウンドキャットだよ」


言いつつ団員の1人に迫るらぶしぃこと奥知美麻。こわっ


「あんたらこのままじゃ氷で身体が壊死しちゃう訳だけど、あたしだってハウンドキャットの一人だからね。そんなことは極力避けたいなー。そこで、ゼストアーク団の皆様に選択肢をあげましょう」


「選択肢?」


「このまま壊死するか、目的を教えて彼女に殴られてブタ箱行きか……賢い選択をして欲しいな」


「ケッ、喋るかよ」


「そう。じゃあ死んで。ダーティ・コールド」


唯一出ていた顔を塞ぎ、全身氷漬けに。流石にこれでは生きていけないだろう。他の団員も同意見だったようで同じ処置を施した。あぁそうだ、らぶしぃに回復薬使わないと


「……奇妙ね」


「何が?」


「呆気なさ過ぎない?」


言われてみれば確かに。名の知れた悪党集団だからプライドが高いのかと思ったけど違うな。これはどっちかというと


「下っ端なんじゃないかな。目的も知らされず、とりあえず森を襲えとしか命令を受けていないとか」


「ふむふむ、それでそれでー?」


「っ!」


背後を取られた!?


そこにいたのはサバゲーで見かける中途半端にミリタリーな感じの服を着た大男


「うちの組織、下っ端でもそこらの兵隊よりは鍛えてる筈なんだけどなー!ハウンドキャットの新人に負けるなんざゼストアーク団の名折れってモンよ!」


「あ、アンタは……」


「俺かい!?俺の名前はズゴーグ!ズゴーグ・ゼストアーク!名前でわかると思うがゼストアーク団の団長さ!ところでお嬢ちゃん達……覚悟は出来てんだろうな?」


「覚悟?とっくに出来てるわ。アンタをぶちのめす覚悟がね」


「このクソアマ……!」


「冥土の土産ってことで聞きたいんだけど、アンタらの目的は何?」


「お嬢ちゃん達の冥土の土産かい?まあいい、俺らの狙いは森の精霊さ!」


「精霊を?奴隷とか人身売買しようっての?」


なるほど、らぶしぃは頭が良い。私たちに興味を引き付け阿修羅を近くまで誘導する作戦だね


「あ?お前知らねーのか!ガハハ!傑作だ!教えてやるよ。『森の精霊』アニス・リアルローズは……"キャサリン"が従える幻獣、イフリートと人間のハーフなのさ」


えっ


「奴のツノを見ただろう!アレがその象徴さ!俺らゼストアーク団は奴の角と臓器を奪い取るのが目的なのさ!こんな風にな!」


メキッという音がして、ズゴーグの近くまで来ていた阿修羅が吹き飛ばされた


「ガハっ」


「阿修羅!」


「ユーザーネーム『阿修羅』、次回ログインは翌日となります」


説明書通りだ……このゲームの仕様で、ライフがなくなったユーザーは翌日までログインできない。あの裏拳にそれほどの威力があるというの!?


「グロウ・ブースト!」


渾身の正拳突き。腕で防がれたけど少し時間を稼げる


「らぶしぃ、アニスに連絡を!私はこいつを森から出す!可能ならここで倒す!」


「うん、任せた!」


「行かせねーぞ!」


あのパンチを喰らったらひとたまりもない!足を引っ掛けて転がし、らぶしぃの逃走に協力する


「あんたの相手は私だっての!」


「俺をこかすか!いいパワーだ!楽しもう!」


楽しめない!


2歩ほどバックステップし、反動を利用して強力なのを一発叩き込む。わかってたけど防がれたしカウンターでちょっと重い一撃をもらった。仕方ない、私に出来るのは後はラッシュだけだ。ってかさすが大男、腕一本で凌ぐのか


「おお!いい攻撃だ!だが甘い!」


振り上げた左手を見て戦慄する。ただの拳なのに、とても重いハンマーにしか見えない。まともに食らったら死ぬなこれ


なのに


「避けねえのか!?余裕なのか!凄いな!」


ふざけるな戦闘狂。そんなわけないでしょ。動けない。完全に足が竦んでる


こうげきをやめちゃった。あーあ、わたしもげーむおーばーだ


その時、らぶしぃから個人向けのボイスチャットで「バーサクのクラススキルで聴覚を消せ」と指示が入った。マジ危ねぇ、思考を放棄してた


どうやって消すのかわからなかったけど、聴覚消えろって念じたら無音になった。成功だ


するとどうだろう。何故かズゴーグが耳を抑え悶絶し始めた。これは絶好のチャンス。誰の仕業か分からないけど、彼が耳から手を離せば耳からのダメージを塞げないだろう。つまり、ガードが崩れているってことだね。それなら分かりやすい。私がすることは一つだ。らぶしぃも文字チャでそう言ってる


「ブーストカノン!!」


ありったけの怒りと、グロウ・ブーストの残り時間の全てを込めた拳が、ゼストアーク団の団長の眉間をしっかりと射抜いた


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


「ごっめんねー!事情説明できなくて」


ズゴーグの身柄を警察に引渡し、再びロッジ。日付も変わったし阿修羅もいる。アニスは戦闘があった場所で森の被害を確認してる


因みに聴覚を消せと指示したのはアニスで、彼女が持つ音を反響させるアビリティ、『ビート・ビート・ビート』に私を巻き込まないためだった


「何にせよミッションクリアだな。俺がいない間に!」


「ごめんごめんって」


話し合いの結果、残党狩りを兼ねてしばらくアダラートの森に滞在することに。ズゴーグの逮捕を受けてなお、命令に従うお馬鹿さんがいるかもしれないからね


「それが終わり次第、椎那ちゃんの捜索!頑張ろうね」


「おう」


「そだね。…あ、回復薬もらっていい?」


残りライフ、一桁だった。危ない危ない


「皆さんお疲れ様、そしてありがとう。被害は最小に抑えられてたわ!」


嬉しそうにぴょんぴょん跳ねるアニス。かわいいですね!


「今日は腕によりをかけてご馳走を作るわね!」


残党狩りとかで忙しくなる前の平和な時間。今だけは、それに甘えちゃってもいいよね?


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