短編1 『やつら』
風を切る音が、耳のすぐ横を通り過ぎていく。
その音を聞いて、私は、とうとうこの季節がが来たのかと嘆息する。
辺りは暗い。
ー当然だ。今は夜だ。
そして、耳元を通りすぎていった物が、何なのかも私は理解していた。
やつらは、弾丸だ。
やつらは風を切り、私達が気付く間もなく、私達が痛みを感じることも無く、私達の体を穿いていく。
体に異常を感じたときには、やつらは既に仕事を終えた後だ。
それに、やつらは真っ直ぐ進んで来ず、私達の視界や攻撃範囲からするりと抜け出してしまう。
なので私は、無視を決め込む。
私は、やつらを無視して寝仕度をはじめる。
すると、今がチャンスと思ったのか、やつらの一体が風を切って、私に突っ込んでくる。
ー私は、無視を決め込む。
そいつは、狙い定めた様に私の耳元に飛び付き、
ー私は、無視を決め込む。
私の肌を、うがt...パァンッ!
鋭く、何かが破裂したような音が響く。
私は、油断を誘ってやつらの一体を叩き潰した。
手のひらを見る。
「くそっ。」
手のひらには、(恐らく私のであろう)血が付いていた。
ー痛み分けか。
気を取り直し布団を準備する。
そろそろ、扇風機でも出そうか...。
まぁ、今日はもう寝よう。疲れた。
おやすみ。 プ~~ゥン。