一の道
他にも、小説がありますが、中世の小説を書かせて頂きました
「シルビア様だ。」
「今日もお綺麗ですわ。」
「完璧な令嬢様だ。」
心地よい音楽が流れる中を白と水色で彩られたドレスを着て歩く。
「シルビア様、私と一曲いかがでしょうか?」
席についた途端に公爵子息の青年がダンスに誘ってきた
その誘って来た人が公爵子息だと分かった瞬間に私は溜息を付きたくなった
今月に入って何度目かしら?
流石に表立って溜息をつくわけには行かず、何とか心の中に留めつつ公爵子息に笑顔で答える
「勿論で御座います」
公爵子息とダンス場所まで付けば用意していたかの様にど真ん中を開けてあり、再度溜息を付きたい思いに囚われた
「参りましょう」
音が止まった瞬間を見計らい、少し脂ぎっている公爵子息の手を手袋越しに、触れる
ダンスの和の中心で公爵子息とダンスの初めの体制を取ると測ったかのように、音が流れてくる
どこまで、用意周到何ですか
そんな疑問もダンスが壊滅的に苦手な公爵子息をフォローしつつ踊っている内になくなってしまう
「シルビア様はダンスがお上手ですね」
何とか、いいところを見せようと必死になっている公爵子息は私にフォローされているとは微塵も思わず、私に言った。
貴方が下手だから私が頑張っているんですがね
「いえ、まだまだで御座います。」
少し、感情的になってしまいそうなので、何とか短い言葉した。
その時に、音楽が次第にゆっくりなりつつ止まり、その直後に十時を告げる鐘がなった
「そろそろ、お暇させて頂きます」
鐘を聞いて近くに来ていたお母様とお父様に言い、城の入口まで行けば、従者と馬車が私を迎えた
「帰りますわ、リエフ」
従者を呼び、馬車へ乗る為に手を貸して貰い、馬車へと乗り込んだ。
「お母様、おはようございます。」
いつものように、起きて、朝食をとり、趣味の農作業をするために、作業服に着替えようと、自室へ向かっていると、クリーム色の柔らかな印象を受けさせるドレスをバッチリ着こなしたお母様に出会った
「おはようございます、シルビア。今から、裏庭ですか?」
少し、眠たげな瞳は、お母様が寝不足なのを表していた
お父様、何やってるんですか?お母様も美しいとは言っても、もう、30代なのですから、今更、兄弟とかやめてくださいよ
「はい。お母様はお食事ですか?」
表情には出さずに、お母様に問えば、少し、困惑そうに、
「いいえ、お医者様の元へ行くのです。
何故か、最近吐き気がひどいので………」
その言葉を聞き、頭痛がし始めたのですが、何故でしょう
というか、もう、手遅れでしたね。数日後には、子供服が大量に家に来ることでしょう
「そうですか、お体にはお気をつけ下さい」
少々天然なお母様に私が懐妊したかとも疑っている事を知られないように、私は早足に、部屋へと戻っ
た。
「取り敢えず、庭で気持ちを落ち着けましょう。
アナベル、いつものドレスを」
少々、困惑気味の気持ちを落ち着ける為、汚れてもいい、ドレスをズボン風にした作業服に着替える事にしました。
「了解しました。」
侍女が厳しいと有名なロースダム家の中でも、一番に厳しく真面目なアナベルから作業服を貰い、着替え鏡の前に立ちました
結構顔は整っている方だと思います
ふわふわとした金髪を軽く巻いて、つり目ながらもそれに見合うような、真っ赤な瞳。長い睫毛は、よく他の令嬢方に羨ましがられましたわ
そして、ボディは巨乳と迄は行かないものの、ほっそりとしている体型の割にはある方です。
「お嬢様はメイクをしないのですか?」
アナベルは化粧品をさっと構えて言った
いや、アナベル化粧品構えないでください
「しないわ」
はっきりと言った私にアナベルは困ったように
「お嬢様はきっと、お美しくなりますのに」
私は美しくなりたくないんですがね
「今から、作業ですもの、化粧なんて夜会だけで十分ですわ」
言って、まだ不服そうなアナベルから逃げるように庭へと向かいました