【特報】予告編
古から続く因縁は見事解決された。
前鬼と後鬼は、あるべき鬼神の姿へと戻った。
そして、真藤一輝と一ノ宮怜奈は、互いの想いを添い遂げ、物語の幕を閉じたのだった。
だがしかし、それで全てが終わったわけではない。
語られたのは、あくまで真藤一輝と一ノ宮怜奈の物語。
彼ら以外の物語もひっそりと進行していたことに誰もが気付いていたはずだ。
それでも端役だからと、脇役だからと気にも留められなかった。
そんな物語が、閉じた幕を再び開けようとしていることに一体誰が気付くだろうか?
ある者は言うだろう。
そんな知る必要もない、語られる必要もなかった物語に意味はない、と。
だが、それでも敢えて言おう。
それは間違いである! と。
何故ならば、端役や脇役達の紡ぎだす物語こそが本編すらも凌駕するものであるのだから。
例えばそれは、出会いの物語。
――二人の邂逅、そのきっかけとなった不可能犯罪。
例えばそれは、再会の物語。
――互いを求め合い、さ迷う者達の過酷な運命。
例えばそれは、少女が夢見た〝もしも〟の物語。
――あの日、あの時、彼が出した答えが違っていたならば。
例えばそれは、新たなる幕開けの物語。
――自らの道を進むことに決意した者の新たな運命。
これら四つの物語は、本来語られるはずもないもの。
それでも、私は語ろう。
彼等こそが、本編を彩った彼等こそが、物語の主人公になるのに相応しいのは謂うまでもないことなのだから。
新章、突入。
全4章。
近日、公開予定。