プロローグ
ニキビ占いのニキビの位置は、色んな説があるようですが、ここでは一番一般的な位置で書きました。
「やだ、ニキビ出来ちゃった」
ファストフード店で、鏡を取りだし化粧直しをしていた亜実は小さく呟いた。その言葉に、向かいの席でハンバーガーにかぶりつこうとしていた拓人は、口を開けたまま固まる。
中学三年生の妹沙織の同級生、亜実。沙織の紹介で知り合い、今日が初めてのデートの日だった。沙織にはいつも念を押していた。ニキビが出来てない子を紹介してくれと……
「ど、どこに出来た?……」
うわずった声で拓人が聞く。亜実は鏡をじっと見ては、しきりに顔を気にしている。額?顎?左頬?右頬?……
「ここよ、ここ。やだなぁ、すごく目立ってるでしょ?」
亜実は拓人を見ながら、人差し指で左頬の真ん中を指した。
「!……」
左頬!それって……拓人はゴクリとつばを飲み込んだ。
「薬局行こう」
拓人は食べかけのハンバーガーをテーブルに置くと立ち上がった。
「え?」
亜実はキョトンとして拓人を見上げる。
「ニキビはすぐに治さなきゃ……跡が残るだろ。特にその位置に出来たニキビはね」
「でも、今じゃなくていいでしょ。まだ食べ終わってないんだし」
「ダメだ!……その、思い立ったキツツキって言うし……」
「はぁ?」
「あっ、今の面白かった?思い立ったが吉日のこと……アハハハッ」
拓人はポリポリと頭を掻きながら、苦し紛れに笑った。笑い声が空しく響く。
「……」
亜実は白い目で拓人を見ると、軽く息をついた。
『額のニキビは思いニキビ、顎は思われニキビ、左頬は振りニキビ、右頬は振られニキビ 』そんな迷信誰が言ったのだろう。もちろん、拓人はそんな言い伝えなど知らなかったし、信じてもいなかった。
しかし、何故か拓人の前に現れる女の子は、みんな左頬にニキビが出来ていた。そして、そのニキビが出来ると、いつも拓人は振られてしまうのだった。
今まで拓人が振られた回数12回。五十嵐拓人彼女いない歴17年の17才。
快丈凪さんのネタを元に書き始めました。
快丈凪さん、面白いネタをどうもありがとうございました!イメージを壊さないよう、完結させたいと思います。初の恋愛ジャンルで、どうなることかと心配してましたが、書いていて楽しかったです。
ニキビ占いって本当に当たるんでしょうかね?(^^;)