ゲーム
世界にある幸と不幸は総量が決まっているらしい。
誰かが幸福を得ることができたのならば、その傍らで不幸になっている誰かがいることになる。
そう、この世の中はそんな因果によって成り立っている。
そして、これは一種のゲームでもあるのだ。
プラスとマイナスがぐるぐる回ってゼロに戻ってくるゲーム。
私は周りがそんなことを考えていたら、きっと大切な人たちの幸福を願えなくなるに違いない。
そんなの嫌だ。
誰もが幸せが一番いいんだ。
しかしそれは叶わない。
これはそういう風にできている。
そして私は全員で幸せになろうとして不幸になった馬鹿者だ。
でも、自分では馬鹿なんて思っていない。
そう、間違っていると思えないからだ。
間違っていると思えなければそれは間違っていないってことでしょ?
屁理屈だよね。
そう、わかってる。わかってるけど……
認めたくないんだ。
世界には誰も悪党なんていなかった。
誰も悪くなんてない。
だから誰も憎んだり恨んだりしなくていいんだ。
私だけが不幸だと思っていた。いや……思い込んでいた。
でもそれは違った。
私たち人は不幸なんだ。幸福は奪われ続けていたんだ。
誰も嫌いにならなくていい……
誰も悪くなんてなかった。
今までは不幸が続いただけ。
そう。
いまからは幸福がやってくる。
そういう風にこの世界はできている。
世界にある幸と不幸は総量が決まっているらしい。
誰かが幸福を得ることができたのならば、その傍らで不幸になっている誰かがいることになる。
そう、この世の中はそんな因果によって成り立っている。
私たちはこのゲームを無事にクリアできるだろうか。
プラスとマイナスがぐるぐる回ってゼロに戻ってくるゲームを。
きっとだいじょうぶ。
それさえも決まっていることだから。
本当の幸せに気が付くにはまだまだかかりそうだ――