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一人目の採用候補者

一人目の採用候補者

谷川 百太郎は、二橋大学4年商学部。昨年、公認鮪士資格を持つ。

ここは、一井商事株式会社 人事部採用課。就活人気ランキング1位。海外シルバーマン・ソックスに次ぐ、巨大グローバル・鮪専門商社。就職活動の熾烈な争いが今始まる。



『むかし、むかし、大むかし、ある深い山の奥に大きい桃の木が一本あった。』芥川の小説を閉じて、試験会場に向かう。巨大ビルの一角に一井商事面接会場の案内を見つける。


『そう、ここは一井商事の試験会場だ。』


『きいて、きいて』

横のこいつは、山谷 華 就活仲間だ。ちなみに、元カノ。

『金曜日、そっこう、飛行機に乗って、土曜は、うどん屋回って、旅館に入って、またうどん。もういい、と串間の方まで行ったんだよね。』 


閑話を流しながら百太郎は自己ESを見つめて考えていた。

『資格勉強は、僕を殺す作業だ。教科書に書いてあることが全てで、疑念を抱くと時間がもったいなく思考停止に陥る。』



作年、過去に受けた公認鮪士試験合格発表日

『嬉しい、嬉しい、嬉しい。僕の資格勉強は、誰かに認めてもらいたくて取得したんだ。』

『でもなぜだ、受かった受かったのに、虚無感。全人類が僕のことを肯定してくれ、いや認めてくれて、満たされているはずなのに、僕の資格が刺客として今日も何かを選びとっている。』

 


入学してすぐに華とは男女の関係なって、一年足らずで破局したが、こっそりみつけた華の裏アカウントにはこう記されていた。

『私に合格点を上げることが、苦しく、恐ろしく、それでも暖かい温もりを与えてくれる、きっともう、いらないんだ。何もいらない。』



これをみた時に、公認鮪士の試験を受ける決意をした。

『あの資格さえあれば。僕はあの資格を取ったら何かが残るだ。アイデンティティは僕は僕だし。あれさえあれば、何でもあるし何にもでもなれる。』



合格発表当日の虚無感を襲った百太郎は、次の目標を見据えた。

『これは死角にも、本当に足りないのは僕を認める資格なんだ。僕は公認鮪士を活かして、あの一井商事に挑戦する。』『そして、全て揃えた勝てる。』



面接直前の百太郎は緊張していた。おなかが痛い、キリキリする。周りにない、手から汗が滲み出る。周りに悟られないように平静を装い、頭が冴えているように瞳孔を開く。足音を立てながら歩いた。



『はじめまして、面接官の子鬼です。よろしくお願いします。早速ですが志望動機をお聞かせください。』



『はい。僕の志望動機は。』

谷川 百太郎の物語が語られた。

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