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58.オンナはおんな同士

午後から、雨が降り出して、健太郎達は、例によって避難してきていた。今日は隣町のチームと対戦していたが、コールドゲームにして、相手チームは帰って行った。

======== この物語はあくまでもフィクションです =========

============== 主な登場人物 ================

物部満百合まゆり・・・物部一朗太としおりの娘。

久保田健太郎・・・久保田誠とあつこの息子。

大文字おさむ・・・大文字伝子と学の息子。(欠席)

福本めぐみ・・・福本英二と祥子の娘。

依田悦子・・・依田俊介と慶子の娘。

服部千香乃ちかの・・・服部源一郎とコウの娘。

南原未玖みく・・・南原龍之介と文子ふみこの娘。

山城みどり・・・山城順と蘭の娘。

愛宕悦司・・・愛宕寛治とみちるの息子。


南出良みなみでりょう・・・転校生。千香乃と同じクラス。

片山継男・・・一輪車大会で、悦子と争った。今はカレシ。


藤堂所縁・・・小学校教師。ミラクル9顧問。

鈴木栄太・・・諸学校校長。

物部一朗太・・・喫茶店アテロゴのマスター。満百合の父。

辰巳一郎・・・喫茶店アテロゴのウェイター。

辰巳泰子・・・喫茶店アテロゴのウェイトレス。


原田美和子・・・原田美和子・・・原田正三と伊登子の娘。

松浦静子・・・阿佐比小学校教師。

阿左美真吉・・・阿佐比小学校校長。


==============================

==ミラクル9とは、大文字伝子達の子供達が作った、サークルのことである。==


※父のちちのひは、父に感謝を表す日。アメリカ合衆国のドッド夫人が「母の日」にならって、父親に感謝するために白いバラを贈ったのが始まりと言われている。


午後1時。喫茶店アテロゴ。

今日は日曜日だが、午後から、雨が降り出して、健太郎達は、例によって避難してきていた。今日は隣町のチームと対戦していたが、コールドゲームにして、相手チームは帰って行った。

そこへ、美和子がやってきた。

「おさむは?」「今は『百日咳』で、学校休んでいるよ。お見舞いは止めた方がいいよ。」と、美和子に健太郎は言った。

「相談事あって、来たんだけど・・・まあ、いいや。健太郎で。」

健太郎は、『まあ、いいや』に引っかかったが、話を聞くことにした。

美和子は、泰子に渡されたバスタオルで髪を拭いた。

「奥のトイレ、使いなよ、美和子ちゃん。ドライヤーあるよ。どうせ皆も時間あるだろうしさ。」

「ありがとう。」美和子は、素直に泰子の案内でトイレに行った。

ミラクル9は、ひそひそ話をした。

何しろ、ケイトリンと張り合って、おさむを射止めようとしている女の子だ。

悦子が、そっと立って、トイレに向かった。

「大丈夫かな?」と悦司が言うと、めぐみが「オンナはおんな同士よ。」と言った。

物部は目配せして、辰巳に『貸し切り』の札を入口の外に吊させた。

5分ほどして、美和子が戻ってきた。

「あのさ。ミラクル9って、父親のいない人、いる?」

健太郎は、クビを傾げながら、「いないけど。たまたま。皆忙しいけど両親ともに働いているよ。『一人っ子』も共通しているけど。」と応えた。

「あのね、ウチのグループの女の子で、泣き虫の子がいるのよ。新任の先生の言葉にショック受けて『登校拒否』になったの。」

「何があったの?」と、継男が言い、悦子に睨まれた。

「新任の先生ってことは、大学出たての、若い先生だよね、きっと。」と、良が気を利かせて言った。

「そうなのよ。『世間知らず』だから、あんなこと言ったのよ。」

「あんなこと?何言ったの?」

「父の日までに、『父の日の思い出』って作文書けって。登美子んちは母子家庭なのよ。」

「デリカシーがないのね。」と、すかさず悦子が言うと、「そうなのよ。」と、美和子は悦子と握手した。

「詰まり、新任の先生は、両親ともに健在。だから、事の重大さに気づいていない。」と、今度は未玖が加勢した。

「そうなのよ。」と、美和子は、今度は未玖と握手をした。

「似たよな話があるもんだね。」と、健太郎は溜息をついた。

「どういうこと?健太郎。」と顔を近づける美和子の前に、千香乃が割って入った。

「ウチの学校でもね。『母の日』で揉めたことがあるのよ。」

「新任の先生は『世間知らず』だから、デリカシーがない。で、登美子ちゃんの気持ちなんか分からなかった。他にいないの?母子家庭の子。」

「3人いる。」「その子達も『登校拒否』?」

「いや、出席しているらしい。」

「ますます、新任の先生はレアケースで見過ごすかな?」

いつの間にか来ていた、藤堂が言った。

「私が出ると、ややこしくなるかな?」

「藤堂先生。やっぱり校長先生にお願いするのが無難じゃないですかね、差し出がましいこと言うようだけど。」と、物部が提案した。

「そうよね。美和子ちゃん。登美子ちゃんの名字と新任の先生の名前、あ・・・どこの小学校?教えて。」

1時間半後。

シネコン帰りの客で混んで来たので、健太郎達が引き揚げようと、外に出たら、「こっちで話そうか。」と、鈴木校長が声を掛けてきた。

「みんなに紹介しよう。阿佐比小学校の松浦先生と阿左美校長だ。」

松浦は、ミラクル9と美和子に頭を下げた。

「ごめんなさい。言葉足らずで。私には父がいません。子供の時、がんで亡くなりました。みんなの作文で父親って、どういうものか知りたかったんです。母子家庭がそういうものか、私が分かっていることなのに。今から、登美子ちゃんに謝りに行きます。作文は撤回します。」

阿左美校長、松浦先生、藤堂、美和子、ミラクル9女子がそろぞろとシネコンを出て行った。

健太郎達が続こうとすると、満百合が健太郎の袖を引っ張った。

「オンナはおんな同士よ、健太郎君。」

見送る形になった健太郎達に、「じゃ、男子は映画にするか。さっき、チケット買って置いたんだ。女子には内緒な。」と鈴木校長は言った。

「え?後5分しかない。トイレだ!!」

健太郎達は、トイレに駆け込んだ。

部活ではないのに、部活のような輝きの健太郎達だった。

―完―


見送る形になった健太郎達に、「じゃ、男子は映画にするか。さっき、チケット買って置いたんだ。女子には内緒な。」と鈴木校長は言った。

「え?後5分しかない。トイレだ!!」

健太郎達は、トイレに駆け込んだ。


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