第一話前編
高校性が書いたものですがぜひ読んでみてください。
ただ一人、豪華とは言えないが優雅とは言える、そんな家の中で紅茶を嗜む女性がいた。
その女性はこの世の悩める子ヤギを救う光であり、闇を食べる天使であった。
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(食事の前の独り言)
「あら、今日の手紙は一つだけですか。そうですか。とても喜ばしいことですね。」
静かに紅茶の入ったティーカップを置くと、少々嬉しそうな表情でこう言った、
「では、悩める子ヤギの美味しそうな手紙を、今日もいただくとしましょうか」と。
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(手紙の内容)
ある街の隅に住むパン屋の娘より
事情により、名前と住所を伏せた形にて手紙を書かせていただきます。しかしながら、この悩みを食べてはくれないでしょうか。何卒お願い致します。
これより先に私の悩みを書こうと思いますが、所々シワになってしまっているかもしれませんが、辛いこと故お許しください。
私の悩みの種は、道にたった1輪だけ咲いていた可憐な花です。調べたところこの花は、一輪だけでは増えることはできない様なのです。ということはどこか近くに同じ花が咲いているはずなのです。とても綺麗な花だった故に一輪、摘んで帰ろうと思ったのです。しかしかなりの間探し回ったのですが見当たらないのです。目に入るのはその花一輪だけ。孤高に、そして可憐に、そして寂しげに。私はその花が私に見えてならないのです。この花はいつか種を残せず枯れて死ぬ。道端に咲いてしまったが故に踏まれ潰され花弁を取られ。この花はどうすれば良いのでしょうか。この花はどうしたいのでしょうか。私という花のように弱い者はどうすれば強き者に抗うことができるのでしょうか。私は知りたいのですこの花が私に見えなくなる方法を、私の周りを埋める方法を。
どうかこの哀れな花をお救いください。
アズキナ様、あなたへ捧ぐ
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(食事の後の独り言)
「あぁ、とても美味。ほんのりと密のような味のする手紙でした。さて、そろそろ飛ばすとしましょうか。これでちょうど100000羽目ですね。」
そう言うと、広く開けられた窓に向かって碧い鳥を一羽飛ばした。