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移ろう季節に想いを馳せる君 (BI Second)  作者: とらすけ
第二部 雷鳴の鳴り響く夜
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5話 報復の対象

今回は酷い暴力シーンの連続になりますので苦手な方は注意して下さい


5話 報復の対象



 柚希と別れた八千穂は夕暮れの公園の遊歩道を歩いていた。さわさわと気持ちのいい風が木々の間を通り抜け、八千穂の頬を撫でる。明日も柚希と会う約束をして、髪をかき上げながら自然に顔が(ほこ)んでいた。また甘太郎焼きを二人で食べようよと熱心に誘われ、仕方ないなという顔で了承した八千穂だったが、内心は嬉しくてしようがなかったのである。

 ルンルンとスキップしながら弾むように歩いている八千穂は、この後、自分に待ち受けている恐ろしい運命に気付きもしなかった。八千穂を狙う悪意が密かに八千穂の周りを包み込んでいく。八千穂を地獄に落とす為に……。



 ✳ ✳ ✳



あーん、あーん


 八千穂がルンルン気分で気持ちよく歩いている時、小さな子供の泣き声が聞こえたような気がした。


あーん、あーん、あーん


 確かに聞こえる。八千穂はその泣き声の聞こえる方向へ歩いて行った。すると調製池の畔に出た。自分が残酷に殺された場所だ。体の中心が自然にあの時を思い出したようにズキッと痛む。八千穂はいい気持ちはしなかったが、子供が心配で辺りを見渡す。


・・・ここは確か立ち入り禁止にされていた筈 もし子供が迷い込んでしまったら大変だよ ・・・


 八千穂は子供を探すが、何時の間にか泣き声も聞こえなくなっていた。


・・・この辺りで泣き声が聞こえていた筈なんだけど ・・・


 八千穂は念のため池の中も目を細めて確認してみた。もしかしたら池に落ちてしまったのかも知れない。しかし、池の中には小さな波が立っている以外水面は穏やかで何も見えなかった。


あーん、あーん


 すると今度は突然背後からまた泣き声が聞こえた。八千穂が振り向くと、そこには数え切れない程の妖怪が(ひし)めいていた。


「ひっ…… 」


 八千穂は息を呑んで逃げ道を探すが、すでに前後左右全て囲まれてしまっている。


・・・まさか、罠だったの? ・・・


 八千穂の周りを囲んだ妖怪の(おびただ)しい数に、八千穂は恐怖を覚えた。この妖怪の数では八千穂が逃げられる可能性は(わず)かでもなかった。


・・・そんな 私、もう白姫じゃないのに ・・・


 妖怪たちはジリジリと輪を狭めて八千穂に迫ってくる。八千穂は殺された時の恐怖と苦痛がまた甦り、ぶるぶると震え動けないばかりか声も出せなくなっていた。


・・・誰か助けて 柚希、弥生さん、刹那さん ・・・


 震える八千穂の足元にちょろちょろと水溜まりが出来ていく。その水溜まりはどんどん大きく拡がっていった。それに気付いた妖怪たちが一斉に笑い出す。そして、八千穂に向かって飛び掛かってきた。八千穂は体中を無数の妖怪に掴まれ、大きく足を開かされスカートが捲られると漏らしてしまった股間が晒される。妖怪たちは八千穂の無様な姿を見て、また一斉に笑い出した。


「いやぁ 許して 」


 ガタガタと震える八千穂の前に一体の大きな猿人のような妖怪が出てくるとニヤリと笑い、押さえ付けられ動けない八千穂の眼前に自分の岩のような拳を見せつける。そして、震える八千穂の腹に強烈な拳が叩き込まれた。


「おげぇぇーー!! 」


 八千穂はつい先刻柚希と二人で楽しく食べていた甘太郎焼きを吐き出す。恐怖と苦痛で涙も大量に溢れ出し鼻水も垂れていた。さらに、その妖怪は大きく開かされ無防備の八千穂の股間にも強烈なアッパーカットを叩き込んだ。メリメリと拳が食い込む。


「あうぅぅぅーーー!! 」


 悲痛な声を上げる八千穂の姿が面白いのか、妖怪たちは代わる代わる八千穂に暴行を加え始めた。顔、胸、腹、下腹部。手加減などなく一切なく殴られ続け、八千穂はあっという間に顔面はボコボコに腫れ上がり鼻と口から血を流す。そして、吐くものもなくなり胃液を吐いていた。


「あ、あ、あ、あ、あ…… 」


 そんな惨めに泣き続ける八千穂に万が一にも逃げられないように、八千穂の両足が何体もの妖怪に持ち上げられ、左右同時にバキッと折られた。


「あぎゃぁぁぁーーー! 痛い、痛いよぉぉぉーーー!! 」


 さらに八千穂は両腕も同じ様に同時に折られてしまう。


「おばぁぁぁぁーーーー!! 」


 絶叫する八千穂を地面に仰向けに寝かせ“鬼女紅葉“は八千穂の顔面をグリグリと踏みつけた。そこへ両腕の先が鋏になった妖怪“網切“が出てきて自分も楽しませろと主張する。“網切“はその鋏で八千穂の右手の中指を挟むとジョキリと切り落とした。


「あぎゃぁぁぁーーー!! 」


 泣き叫びながら八千穂は右手の指を次々に落とされていく。中指の次は人差し指。次は薬指。


「あびゃぁぁーーーー!! 」


 苦しげに泣き叫ぶ八千穂は、恐怖と苦痛でもう何も考えられなくなっていた。


「痛いぃぃぃーー! 助けてぇぇーー! お願いしますぅぅーー!! 」


 必死に許しを乞う八千穂だが、容赦なく右手の指が全て切断されてしまった。その指が失くなった八千穂の右手を見て妖怪たちは更に大きく笑いだした。そして、“網切“は今度は八千穂の左手の指に自分の鋏を当てる。


「嫌だぁぁーー! もう許してぇぇーー!! 」


ジョリンッ!!!


 しかし、“網切“は八千穂の左の人差し指を切断する。


ジョリン、ジョリン、ジョリン、ジョリンッ!!


 号泣する八千穂の左手の指も全て切断された。そして、泣いている八千穂の口が無理矢理大きく開けられ、地面に落ちている木の枝や石が詰め込まれる。


「あががががぁぁぁ 」


 多数の妖怪に、よってたかって痛めつけられる八千穂の姿を見ていた“鬼女紅葉“は自分も早く拷問したくなり妖怪たちを制止した。そして、木の枝や石を詰められている八千穂の顔面を殴り付けながら残酷に告げる。


「まだまだ、こんなのは序の口 すぐには殺さないから安心しなさい これから異界に連れていって徹底的にもっと酷い拷問をしてあげる 死にたくなるほどの苦痛を、殺さないようにゆっくり休みなく、そして、なるべく長い時間苦しむように与えてあげるから思う存分泣き叫びなさい 」


 “鬼女紅葉“は高らかに笑う。それに釣られて周りの妖怪たちも一斉に笑い出した。八千穂は、これからの自分の運命を察し発狂しそうな程怯え震えていた。そして、八千穂はそのまま無情にも異界に連れ去られていった。


・・・嫌だぁ! 助けてぇぇぇぇーー!! ・・・


 声も出せない八千穂は心の中で救いを求めるが、その願いが届く事はなかった。後には、八千穂が作った水溜まりだけが残されていた。




異界に連れ去られた八千穂の運命は……

恐ろしい結果が想像されてしまいます



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