ポツンッ
━━━ポツンッ……ポツンッ
艶やかな真紅の毛先から水滴が落ちる。それは静かに川の水面へと落ち、ささやかな波紋を広げていく。
アイリスは川の中に立ち、しなやかな手で髪を梳く。彼女の白い肌は、水の冷たさに僅かに紅潮している。長い髪は川の流れに沿って静かに揺れている。
━━━ポツンッ……ポツンッ
水滴が滑らかに華奢なアイリスの肌を伝い、静かに水面へと再び消えていく。首筋から胸元、そして太ももへと流れていくその一滴は、冷たい水の感触とともに、彼女の汗や汚れをそっと洗い流していく。
アイリスは無言のまま、水の流れに身をゆだねる。全身を弛緩させ、川の流れと一体化させる。
━━━ポツンッ
彼女の控えめな胸の先に水滴が落ちる。「んっ……」と声にならない小さな息を漏らす。頬を赤らめ敏感になった体が微かに震える。そっと目を閉じ彼女は深い呼吸をひとつつき、川のせせらぎに耳を澄ませる。
俺はアイリスに目隠しをされ、手足をしっかりと縛られている。視界は闇に閉ざされ、動くこともままならない。おまけに石の上に座らされて、冷たさがじわじわと体に染みこんでくる。
俺の扱いひどくない。仮にも同じパーティの仲間だよ。だが、そんな理不尽なことを忘れるほどに、耳に響く水音と、アイリスの吐息に緊張と興奮を感じる。
川のせせらぎが聞こえる中、アイリスの静かな動きが微かに感じられる。水が揺れる音、彼女が髪を梳く音、そして時折漏れる小さな息遣い。俺の胸は高鳴る。
案外、こういうのも悪くない。俺の中で新たな性癖が……
━━━ドボンッ
突然、川の水が大きく波打つ音が響き渡る。次の瞬間、冷たい水が俺の顔めがけて勢いよく飛び掛かる。
「うわっ!?」
不意を突かれて俺は思わず仰け反った。その拍子に、目隠しがゆるみ、ずるっとずれて視界が開ける。ぼんやりとした光が戻り、目の前の光景がゆっくりと浮かび上がる。そこには、両手で胸と腰を隠すアイリスとその隣に知らない銀髪の少女が川の中で仰向けに浮かんでいた。死んだ魚のようにぷかぷかと川面に揺れている。
「な、なんだ……こ、これは……?」俺は混乱し、冷たい汗が背中を伝うのを感じた。状況が全くつかめず、目の前で起こっていることが現実とは思えない。
アイリスは何も言わずに微笑み、静かに川から歩み寄ってくる。彼女の濡れた髪が肩にかかり、水滴が静かに流れ落ちる。その視線は穏やかでありながら、どこか鋭さを感じさせる。足元の水音が静かに響く中、俺の心臓は早鐘のように鳴っている。
気づく暇もなく、アイリスの手が俺の首筋に触れる。そして次の瞬間、強烈な圧迫感が首元を襲い、視界が一気に暗転する。呼吸ができなくなり、頭がぼんやりとしてくる。彼女が何をしようとしているのか、理解する間もなく意識が遠のいていった。