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第91話 配信実況4

 来週、文化祭を控えている中、ミクは【みたらし団子は有罪】の判決により、みゅ~の生放送に出演していた。


『ミクちゃん、久しぶり』


『最近、動画に出なかったから寂しかったぞ』


「おう、ここんところは魔界探索していたからな。それで、今日は何をするつもりなんだ?」


「何をしようか?」


「ノープランにゃん」


「おいおい、大丈夫かよ」


「というわけで、あたしたちに何かしてほしいことある―?」


『水着回』


『温泉回』


『夏だから海』


『海一択』


「欲望だだ漏れじゃねえか!もう少しオブラートに包めよ!」


『ぐへへへ』


『●REC』


『永久保存版』


「ってことで、海関連のクエストをすすめるにゃん!」


「ミクミクも水着持っているし、使わないのはもったいないし~」


「俺、水属性弱点だったから、海のクエスト全くと言っていいほど進んでなかったから丁度良いか」


 港町へと向かい、ガチャで引き当てた黒ビキニに着替えてから浜辺へと出る。黙れば美少女のミク、グラマーな黒ギャルのゆっちー、ロリ猫娘の猫にゃんと三者三様の女の子に男性プレイヤーがちらほらとこちらに視線を向けてくる。


(隠している面積は男のときより多いのに、こうも見られると少し恥ずかしいな)


「顔赤くしちゃって……もしかして恥ずかしがっているぅ?」


「そんなわけねえだろ」


『ニヤニヤ』


『ニヤニヤ』


『●REC』


「てめえら……それで、クエストの内容は確か――」


「沈没船探しにゃん」


「中に入ってボスを倒したら、お宝ザクザク!」


「目が¥になっているぞ……沈没した場所まで船を借りないといけないし、レンタル代でトントンになるんじゃないか? 【飛行】でも時間制限があるから無理だろ」


「ちっちっ、現実ならともかくファンタジーならではの移動方法があるよ」


 ゆっちーがシルバードラゴンのシルちゃんを召喚し、ミクと猫にゃんを背中に乗せて一緒に海の上を渡っていく。


「これ良いのかよ」


「飛行できる騎乗モンスターが増えたことで、レンタル代と海上の敵のエンカウントを踏みつぶす。海無視ルートが今の主流にゃん」


「おかげで分け前も増えるっていう寸法」


「せこいな!」


『後発の強みだよね』


『攻略情報も出そろっているしな』


『当時はクリアするのにかかる消費アイテムも考えたら、少し儲けがあるくらいだったな』


『そうそう。船が沈没したらマイナス』


『絶対クリアできるっていう保証ができるまでレベルアップしてから挑むクエストって言われていた』


「すげー難しいのかよ、このクエスト」


『たどり着くまでの敵エンカで船の耐久値削られるのが鬼』


『ボス戦までどれだけ耐久値を残せるのかがポイントだったぞ』


『この船無視ルートだと、耐久値関連のことも無視できるから、ボスでヘマをやらない限り、稼ぎがマイナスになることがない』


『火山実装後にできたルートだけどな。それまでは飛行騎乗持ちが貧弱だった』


「大変だったんだな」


 視聴者たちとワイワイと話していると、ゆっちーから「もうすぐ着くよー!」と声を駆けられ、下を見る。そこには日光にきらりきらりと照らされた青い海が一面に広がっており、船らしき影は見当たらない。ゆっちーがシルちゃんの高度をゆっくりと下げて、海面スレスレにホバリングする。


「ここから潜って沈没船まで移動するんだよな」


『現実と違って目を開けられるし、呼吸もできるけど、水中を移動しているときはHPが徐々に減っていくから、寄り道せずに進むんだぞ』


『現実と同じ溺れる判定がある仕様にしたらCER〇がCに上がるからなぁ』


『Cは昔の話だろ。今はDだ』


『リアリティさはさておき、【潜水】のスキルがあれば、その速度も減るから事前にとっておくと良い』


『水中探索しないなら、沈没船には余裕で行ける』


「後で【潜水】のスキル取りに行くよ。じゃあ、さっそく」


 ミクが勢いよく飛び込み、ゆっくりと目を開けてみる。海水の中にいるにもかかわらず、目が痛くない。まるで見えないゴーグルでもかけているようだ。そして、息を止めていたミクはゆっくりと口から息を吐き出し、ゆっくりと息を吸う。


「すぅーはぁー。すげー、水の中にいる感覚はあるのに息できている」


「不思議だよね」


「シーウォーカーと同じ感覚だにゃん」


『沖縄とかでやっているマリンスポーツだな』


『金魚鉢みたいなやつを被るやつだろ』


「おっと、確かにHPが減っているな。10分もなさそうだ」


「えっ~と、沈没船は……」


「あったにゃん」


 猫にゃんが指をさした先に大きな木製の船が鎮座しており、HPが尽きる前に急いで潜っていく。船の横腹に大きな穴が開いており、これが沈没した原因かもしれない。そこから中へと入ってみると、船の中は水で満たされておらず、HPの減少がピタリと止まる。


「半分ちょいって感じか。思ったより残ったな」


「まっすぐ行けば余裕。探索しようとしたら足りにゃい。とりあえずアイテムで回復するにゃん」


『ボスのことを考えるとそうなるよなー』


『ギミックがねー』


『今更だけど、ヒラ無しで行けるのか?』


『まあ、タンクのミクちゃん防御ペラペラだから、1発受けたら死ぬし関係ないだろ』


『胸は厚いのにな』


『セクハラは駄目ですよ byみっちー』


『委員長が来たぞー』


『逃げろー』


「胸なんて見るだけなら大きい方が良いけど、持つ方になると小さいほうが良いぞ」


「それは持つ者の意見にゃん!」


「揉もうとするな!」


『●REC』


『美少女同士の絡みいい』


『スクショとった』


『過激なことはしないでね(#^ω^) byみっちー』


 ゆっちーが猫にゃんの手を抑えて、落ち着かせたところで船内を進んでいく。沈没したした影響なのか、詰まれていた荷物が崩れて通りにくい通路が見受けられる中、第一村人、もとい海賊の格好をした骸骨、パイレーツスケルトンが1匹曲刀を振りかざしながら襲い掛かってくる。


「おせえよ!」


 狭い通路で逃げ道が限られている場所で一刀両断する。この騒ぎに気付いたのか、近くにいたパイレーツスケルトンが次から次へと襲い掛かってくる。


「ゴキブリみたいに襲ってくるな、ブラッディレイン!」


「進化させてみんな大きくなっているから……ほたるん、頑張って!」


「この場所だとゴーレム出せないし、砲撃も邪魔になるから、踊ってサポートするにゃん」


 動きが鈍くなったパイレーツスケルトンにほたるんが尻のライト部からビームを放って消滅させていく。ミクの血の雨も合わさり、あっという間に殲滅していく。そして、客室を調べようと扉を開けると、中から水鉄砲が放たれ、ミクが一度死亡するも【自己再生】し、中にいたロブスターのような魔物を叩き斬る。


「なんだアイツ」


『ランダム出現で必ず先制攻撃を仕掛けてくるトラップロブスター。火力に極振りしたステータスしているせいで、よほど固くないと1発で持っていかれる。ただ、撃った後は何もできないのと同じなので倒すことは容易』


『ほぼ単発の固定砲台』


『復活できずに死んだら沈没船の外に飛ばされるのはつらかったぞ』


「そんなのいるなら先に教えてくれよ」


『メシウマを見るのが俺たちの日課』


『俺たちもやられたんだ』


『初見の反応は見たいよね』


「もう少し予習しておくんだった。今度は引っかからないようにしないとな」


「お宝発見~♪」


 客室のドレッサーの下に隠されていた宝箱を開けて、お金を手に入れたゆっちー。他を探しても何もないことから、次の部屋を探すことにする。


「開ける前に【ENVY】。これでよし」


 ミクが扉を開けると再び水鉄砲が放たれ、ミクの顔面に直撃するも今度は耐える。そして、お返しと言わんばかりに投げつけた鉄球にトラップロブスターは撃ち抜かれるのであった。


「ストライク、バッターアウト!」


『待って!待って!なんで耐えたの!?』


『さっき死んだじゃん』


『そういや開ける前にスキルを使っていたけど』


「【ENVY】は属性の相性を一定時間反転させるんだ。だから、今の俺は闇(スキルを使えば炎)に弱くなって水・光にすごく強い」


『使った後にエフェクトとか無いんだけど……』


『属性相性が逆転しているかどうか攻撃を当てるまで分からないとかめんどくせー!』


『分からなかったら等倍の木属性か無属性で殴った方が良いまであるのか』


『名前からして大罪系のスキルだろうけど、どこで手に入るんだ?』


「それは秘密だ」


『教えろください』


『探せ―!』


『魔界追加後に手に入ったってことは魔界が怪しいな』


『それだ!』


 よもやデートイベントがトリガーになっているとは思っていないプレイヤーたちが、新規マップである魔界をあちこち調べることとなるのだが、それは別の話である。【ENVY】の効果が切れるまでミクが先に扉を開けまくり、トラップロブスターを撃破。クールタイム中は開けた部屋の探索をじっくりと行いながら、さらに奥へと進んでいくのであった。

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