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VRMMOで吸血姫になった俺は幼馴染と一緒に女学園に入学する!?  作者: ゼクスユイ


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第80話 夏祭り

 遅れてやってきた麗華と合流した三雲たちは一緒に駅近くのカフェで話すことにした。7人という大人数なため、隣接するボックス席を2つ使い、みゅ~とオカルト同好会組に分かれて着席している。


「あの赤いひび割れへの対抗策を考える……といっても、あればカーミラがやっていますわよね」


「それはそうよ。こちらの世界で異変が起きた以上、今日の晩にでも元の世界に戻るから、もし有効な手立てがあれば教えるわ」


「今度はいつ来るんだ? 今までの部長の話を聞く限り、星の位置とかで決まるんだろ?」


「すぐ戻れると思うわ。ここまで破壊されたら次元移動に必要な力は相当低くなっているはずでしょうし」


「喜んでいいのか悲しんで良いのか分かんねえな」


「使えるものは使わないと。ゲームの鉄板」


「ただこれがゲームではなく現実の話というのが困ったところですわ」


「ゲームと言えば、みゅ~も裏切りルートに行ったんだろ。どうだった?」


「……裏切りルートに入る条件が厳しい」


「PKとか魔界のクエストをして善悪度をマイナスにしないといけないんだけど、あたしたちって善行を積み重ねちゃったからマイナスにするのが難しいんだよね」


「私は始めたばかりだから裏切りルートに余裕で入れたわ」


「ってな感じでカーミラちゃん以外の【星の守護者】は人類側ルートになるかもなってダイチが言っていた。私たちのギルドってPK禁止だからね~」


「そうなると、PK容認派ギルドは裏切りルート、PK否認派ギルドは人類側ルートに進む人が多くなりそうだね」


「それよりも、せっかく集まったんだし、どこかに遊びに行かない?」


「どこかって言われてもな~」


「……あっ、今日祭りやるみたい」


 由美がスマホで調べたところ、近くの広場で夏祭りをやっているようだ。屋台やキッチンカー、よくわからない芸人のトークショー、抽選会に花火大会と色々な催し物がある。

 ゲームのことはハクエンらの上位プレイヤーたちに任せて、自分たちはリアルを優先することにした。



 カフェで遅めのランチをすました三雲たちは商店街を歩いていく。バスで行ける距離に大型のショッピングモールが建てられていることや盆休み期間ということもあって、店屋のほとんどはシャッターが閉じられている。また、開いている店の中を覗き込んでもにぎわっている様子は見えず、個人が趣味でやっているのではと思ってしまうほどだ。


「この商店街を抜けた先でやっているんだって」


「この寂れようをみると、あまり期待しない方が良いかもしれないな」


「……面白くなかったらミクミクが24時間実況プレイするから」


「なんで俺が罰ゲームするんだよ。そこは言い出しっぺだろ」


「こういう時は男気を見せるんじゃないの~」


「男の子でしょう?」


「てめえら、こういうときだけ男扱いするな」


「「「こわ~い」」」


「まあまあ、みっちゃん落ちついて……あっ、レンタル着物とかあるんだ」


「着物って確か東洋の民族衣装よね。文献を見たことあるわ」


「カーミラ様、着たことがないのであればこの機会に体験するのもよろしいかと」


「でも、お金とかかかるでしょう? おごってもらっている私にいえた義理じゃないけど」


「これくらい、痛くもかゆくもありませんわ!オーッホッホ!」


「出た、久しぶりのお嬢様モード」


「レイレイってたまにマウント取りたがるよね~」


「……でも、仲良くなったらしてこない」


「面倒見良いよね」


「うんうん。しなければ完璧なのにね」


「そこ、聞こえていますわよ!」


「「「「こわ~い」」」」


「ふふ、貴女たちといると飽きなくていいわ。こちらに移住しようかしら」


「その時は全力でサポートしますわ」


「お言葉に甘えるわ。他に着る人はいないかしら? 麗華のおごりだそうよ」


「太っ腹。私たちも行こう~」


「みっちゃんも着ろうよ」


「俺は別に――」


「三雲さんとは少し話してから参りますので、先に行ってくださいまし」


「は~い」


 三雲と麗華を残して5人が店に入るのを確認してから、三雲は麗華に問い尋ねることにした。自分に心当たりは一切ないが、聞かれたくない話だろうと思ったからだ。


「で、話ってなんだよ」


「貴方、紅葉さんとはどういう関係ですの?」


「どうって言われてもただの幼馴染だけど?」


「……言い方を変えます。それ以上の関係を望んだことは?」


「うぐっ、そ、それはその……」


「はあ……これは重症ですわね」


「いいだろ、別に。幼馴染のままで」


「紅葉さんも同じことを言っていましたわよ」


「だったらいいじゃん。それで」


「じれったいのは嫌ですの!男ならドンと気持ちを伝えなさい」


「でも……」


「でもも、しかしもありません。せっかくのこのチャンス、ものにすること。良いですわね!」


「わかったよ、告白すりゃあいいんだろ!」


「男に二言はありませんわよね」


「あたりまえだ」


「ならばよし。では、ワタクシたちも着物に着替えましょう」


「……着替えないのは駄目?」


「駄目ですわ」


 麗華に引っ張られて、三雲は着物姿に着替えさせられるのであった。

 そして、慣れない着物に四苦八苦しながら歩いていくと、川沿いの広場で昔ながらのフランクフルトやベビーカステラ、スーパーボールすくいの屋台、クレープやかき氷、タコスを販売しているキッチンカーが並んでおり、商店街の寂れ具合はどこへいったのかと思うほどの人だかりができていた。


「くっ……ミクミクの24時間実況配信が」


(マジでさせる気だったんだな、コイツ)


「しょうがない。48時間で手を打とう」


「なんで増えているんだよ、おかしいだろ!」


「24時間は駄目だった。だが、思い出してほしい。実況時間を減らしてはいけないと決めてはいない。私たちが本気を出せば48時間でも72時間でも――」


「それやったら、強制終了されますわよ」


「……安全装置邪魔」


「邪魔するから安全装置なのですわよ」


「……う~ん、小っちゃいときは金魚すくいあったのに見かけないね」


「環境保護とか動物虐待とかでうるさいから無いんだろな」


「ねえねえ、金魚すくいってなに?」


「金魚っていう小さい魚を紙を張ったポイですくう遊び。店によるけど、最後は2、3匹くらいもらえるんだ」


「魚釣りとはちがうみたいね。無くて残念だわ」


「でも、代わりにスーパーボールすくいあるから。金魚じゃないけど、やり方は同じだよ」


「じゃあ、それやるわ」


「よっ、外国人のお嬢ちゃんかい。ずいぶんと日本語うまいね」


「お世辞でもうれしいわ」


「お嬢ちゃんは可愛いからポイ2つだ」


 カーミラが勢いよくポイを水中に突っ込み、スーパーボールを救おうとするもすぐさま紙が破けて1個救えない。残るポイはおまけで貰ったあと1つ。失敗できないカーミラは隣にいる男の子の様子を見て、すくい方を学ぶことにした。


「こう……ゆっくりと……こう!」


 1個、2個とカップに入れたところでポイが破けてしまい、すくったスーパーボールをビニール袋に入れてもらい、受け取ったカーミラの頭にははてなマークが浮かんでいた。


「で、これは何するものなの?」


「地面に勢いよくぶつけて飛ばして遊ぶんだよ」


「でも人にぶつけたりすると危ないから、広いところで使ってね」


「……こんなの貰うためにお金払っていたの?」


「でも、楽しかっただろ」


「うん、まあ……そうね」


(カーミラ様を褒めるのではなく、紅葉さんの着物姿を褒めるとかやってみたらと声をかけるべきでしょう!)


(なんで、麗華の奴、あんなにイラついているんだ?)


 イラついている原因に心当たりのない三雲はどう声をかけていいのかも分からず、今は日本のお祭りをカーミラに楽しませることにした。今度はお祭りになじみ深い射的だ。麗華から貰ったお金を払い、弾を5発貰ったカーミラが一番大きなお菓子の箱を狙うも倒れる気配はない。


「ちょっと火力足りないんじゃない?」


「はっはっは、だったらあそこの小さなお菓子を狙うんだな」


「ムカつく~」


 パンパンと撃っても、倒れる気配はない。それを店のおじさんがにやつきながら見る。


(大きい奴は倒れないように底面をテープで固定しているからいくら撃っても無理なんだけどな)


(こうなったらバレない程度に錬金術で……効果は小さくなるけど発光を悟られないように――)


 手で発光を遮るかのようにギュギュっと球を詰めてトリガーを引くと、バンという音と共に勢いよく球が発射され、箱が大きくぐらつく。それを見過ごさまいと素早く装填して、再度発射すると、箱が倒れて景品を手に入れる。


「い、イカサマだ!貸せ!」


 おじさんが銃をのぞき込んでも、おかしな点はない。落ちた弾を見ても細工の形跡は全く見当たらない。錬金術のことを知らないおじさんは訳も分からず、彼女たちを見送るしかなかった。


「それにしても俺から得た知識って歯抜けなんだな」


「もらったのは最低限の知識と現状だけよ。今、不必要な知識を貰っても頭がパンクするだけよ」


「大変だね~暑いからかき氷食べようか」


「そうだな。俺もへとへとだ」


 色とりどりのミツをかけたレインボーかき氷を休憩スペースであるテントの下でゆっくりと食べはじめる。一気に食べて頭がキーンとならないかと三雲たちが期待するも、残念ながらならなかった。体をクールダウンさせた後は綿菓子を食べながら芸人のショーを見たり、地元の子供たちのダンスを見たり、抽選会に参加したりして時間があっという間に過ぎていった。


「良かったな恵。うんまい棒30本、当たって」


「……明太子よりコンポタ派」


「さすがに味は選べませんわね。あっ、ワタクシとしたことが落とし物を……」


「じゃあ、一緒に探すか」


「それには及びませんわ。場所を確保するためにも三雲と紅葉の二人で行くべきでしょう(上手くやりなさい)」


「ああ、わかったぜ」


「特等席とってくるから」


 三雲の肩を叩き、慣れていない着物でたどたどしく歩いていく二人を見送った麗華はみゅ~とカーミラの4人に二人をくっつけようと画策していたことを話す。


「そういう面白そうなことをするなら早く教えてよ~」


「……うん」


「あたしが祭りの情報を見つけなかったらどうするつもりだったの?」


「そもそも、最初はバカンスにでも誘おうと考えていましたわよ。でも――」


「祭りに参加するなら今ってわけね」


「そういうことですわ。バカンスは来年にでも取っておきましょう」


「バカンス楽しみ~」


「そして、先ほど仕掛けておいた盗聴器で二人の会話を聞くことができますわ」


「……お主も悪じゃのう」


「じゃあ、私たちは……」


 二人の後をこっそりとついていくことにした5人は三雲たちの姿を見失わないように後を追うのであった。

 そんなことをされているとは知らずに花火会場から少し離れた橋の上で陣取った三雲は隣にいる紅葉をちらりと見る。花火で時折照らしだされる暖色系の着物を着た彼女は普段見ることはなく、新鮮でどこか色っぽく見えてしまいドギマギしてしまう。


「なあ、紅葉」


「どうしたの、みっちゃん?」


「この半年色々あったよな」


「そうだよね。みっちゃんが女の子になったと思ったら、今度は世界の命運まで。もうゲームでもここまでの展開はそうそうないよ」


「……そうだよな。まさか、高校も一緒に通えるなんて、去年の今頃なら夢にも思わなかった」


「男の子だもん。仕方ないよ」


「だからさ、紅葉。後悔しないためにも、俺……伝えないといけないことがあるんだ」


「……なぁに?」


「俺はお前のことが好きだ!付き合ってください」


「……遅い。ただのセンターフライが犠牲フライになるくらい遅い」


「ごめん」


「でも、こういうことが言えるのってみっちゃんの影響だと思うんだ。責任取ってよね」


「ああ、わかった。責任はと……ってことは?」


「良いよ、付き合うの。私もみっちゃんのことが好きだから」


「紅葉~」


「もう泣かないの。男が泣いていいのは親が死んだ時と財布を無くした時だけでしょう」


「そうだけど……俺、怖かったんだ。もし、伝えたらこの関係が無くなると思って……だから」


「それは私も同じだよ。だから幼馴染だとか相棒とかでごまかしてきたんだと思う」


「正直なところ、この身体になって不便なことはいくつもあったけど、まだ一緒に居られることがうれしかったんだ」


「うん。私もだよ。まだみっちゃんと一緒に居られるんだって思っていた」


 幼馴染で同級生という立場に甘えていた二人。だが、そんなものは卒業してしまえば、無くなってしまう儚い物だ。だからこそ、いつかは自分の気持ちに向き合わないといけない。それが麗華の強引な策略で早まろうと今の二人には関係なかった。


 花火の音が大きく聞こえる中、二人は静かにそっと口づけを交わすのであった。

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