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VRMMOで吸血姫になった俺は幼馴染と一緒に女学園に入学する!?  作者: ゼクスユイ


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第27話 ギルド加入

 翌日、みゅ~とオカルト同好会のメンバーは冒険者ギルドへと向かう。昨日のPKの件もあり、【星の守護者】に合流するためだ。受付の人に参加するギルドのリストを見せられると、数多くのギルドが乱立していた。


「結構あるんだな」


「ギルドは最大200人までしか入られないからね。プレイヤーが1万人いるなら単純計算で50個のギルドがあることになるもん」


「そりゃあ、過半数超えるギルドなんて出来たらそれだけで最強だ。さてと、【星の守護者】は……これか。50人もいないんだな」


「割れたとはいえトップギルドからPK宣言されたら、入りたがる人はいないからね。仕方がないよ」


「それならあたしたちでアゲていこう!」


「SPICAも協力するよ」


「みゅ~専属アイドル決定!YEAH!」


「YEAH☆」


 テンション高くハイタッチをする彼女たちを見たミクは、現実のSPICAとはち合わせたとしてもゆっちーたちは気づかないだろうなと思いながら、ギルド加入の手続きをしていく。そして、ギルドカードの空白欄に所属ギルド:【星の守護者】が追加される。


「ギルドに所属したことで、メニューのロックも解除されるんだな……え~っと、ギルドホーム?」


「俺たちの本拠地だ。色々な設備を使用できるんだが、説明するよりも見たほうが早い。このボタンをタッチすると、ギルドホームへとワープする。戦闘中はホームに戻れないから注意な」


 ダイチの説明を受けながら、彼らのギルドホーム【天空の城塞】へと飛ぶ。彼女たちが飛んだ先には浮島がいくつもあり、その中でもひときわ大きい島に白亜の城が立てられている。その中に入ってみると、ギルドマスターのハクエンが出迎えてくれた。


「ようこそ、私たちのギルドへ」


(遠目から見ても美人だとは思ったけど、間近で見るとでけえな。モデルかなにかか?)


「私の顔になにか?」


「いや……すげー美人だと思って。きっと、現実でもモテているんだろうなと」


「現実のことを話すのはマナー違反ですよ」


「そうだな。わりい」


「分かればよろしい。説明をしながら、ギルドホームを案内しましょう」


 ハクエンの案内に従いながら、ここで何ができるか聞いていく。ホームにはいくつかの土地があり、それぞれの土地に応じた効果がギルドメンバー全員に与えられる。コクエン時代の魔王城では魔法与ダメが上がり、このホームでは敏捷値が上がる。戦闘以外にも、生産に関する効果がある土地もあるようだ。


「この階層はギルドメンバーの部屋だ。家具のアイテムが必要だが、各人、好きなようにカスタマイズできる」


「へえ~、カスタマイズすると何か得するようなことはあるのか?」


「一部のアイテムを除けば特にないが、モチベーションにはつながる」


「一部のアイテムってのは?」


「魔除けの石像や呪いの石像といったモンスターの出現率を変化させることができる置物が代表例だ。稼ぎやクエストの攻略に役立つから、持っていないのであればCランクの【土産屋の復興】を受けると良い。クリア後に購入することができる」


「俺、まだDランクだから、後でCランクの昇格試験受けに行くよ。60以上が条件だし余裕だろ」


「甘く見ているとやけどするぞ。あの試験は推奨レベル詐欺だからな」


 次に案内されたのは生産職のプレイヤーが鍛冶をしたり、調合したりしている部屋だ。その中でひときわ目立つ赤髪のリンがこちらに気づく。


「リンの姉御、久しぶり」


「おう、元気にしていたか」


「もちろんだぜ。姉御もこっちに来ていたんだな」


「まあな。【漆黒の翼】初期メンツとしては来るしかねえよな」


「初期メンか。そりゃあ来るよな。ところで、装備ってスキルで作れるんだろ。ここで作る必要はないよな?」


「下級の品物はな。だが、SR以上のアイテム・装備品を作ろうとすると、成功率が一気に下がる。こういった部屋でないとまともに作れない」


「いちいちギルドに戻るとか不便だな」


「一応、NPCから借りることもできるが金がかかる。だが、そこでしか作れない装備品もあるから、ここで作るのが一概に正解ってわけじゃないのが難しいところだ」


「伝説の刀匠から伝説の武器を作るってな感じか」


「そういうことだ。何かあれば装備品を作ってやるよ」


「そのときは頼むぜ、姉御」


 リンと別れ、覚えた技やスキルを確かめるためのトレーニングルーム、所属しているギルドメンバーとの模擬戦ができる地下闘技場、様々な料理バフをもらえる食堂などを案内してもらったところで解散となり、各々に割り当てられた部屋へと戻る。



 ハクエンからの勧めを受け、準備を整えてから冒険者ギルドに来たミクはさっそくCランクの昇格試験を受けることにした。Cランクの試験内容は火、水、木の三属性のボスラッシュ。どの属性のボスが先に来るかはランダムであり、試験中アイテムの補充は当然できず、HPやMPは引継ぎとなる。


「最初はどの属性からくるかな?」


「ぎゅるおおおおお!」


 ミクの前に現れたのは巨大なツタで体が構成されているアースゴーレム。動き自体は鈍いが、植物を急成長させ、攻撃範囲を拡大させながら放ってくる張り手は地面が陥没するほど攻撃力が高く、厄介だ。


「見た目以上に距離をとる必要があるな。まずは距離を……おっと」


 今度は体中のツタを操り、ミクを捕縛しようとしかけてくる。離れればツタ攻撃、近づけば張り手による即死級のダメージ。これが3体分続くのであれば、ハクエンの言っていた推奨詐欺の正体が分かってきたところで、事前に用意していた新魔法を使おうとする。


「属性には属性攻撃だ、隷属:火炎トカゲ」


 この試験を受ける前に火山で隷属させていた火炎トカゲを召喚する。トカゲが炎を吐いてツタを燃やして、アースゴーレムの中央にある緑色のコアを露出させていく。弱点が見えればこちらのものだと、攻撃を躱しつつ、コアに向かってシャドーボールや火炎玉を投げつけていく。

 やっとこさHPがなくなったところで、汗をぬぐうと次のボスであるデビルオクトパスが現れる。幸い、水中ではないとはいえ、うねうねと動く8本の触手は陸上でも見るからに厄介そうだ。


「一本一本切るか!」


 ミクがオクトパスの触手によるたたきつけを躱しつつ、切りながら近づいていく。攻撃力自体は先のアースゴーレムと比べて低いが、水属性が付与されているのでミクにとっては脅威度はさほど変わらない。

 すると、大きな口から大量の墨を吐き出してくる。これは食らうとまずいと考えたすぐさま空を飛んで、足先にかすりながらもかわす。その瞬間を見計らうかのように、デビルオクトパスの切られたはずの触手が瞬時に再生していく。さらに空にいる敵に対応できるよう、既存の触手もさらに長くなる。


「かすっただけで半分近く持っていかれたぞ。こりゃあ近づくのもまずいか。だったらこれでどうだ!」


 これだけの触手の数、ストレートで本体に当てられないと思ったミクはカーブを投げるも、触手で捕まえ、投げ返してくる。それを危ういとこで躱していく。


「ピッチャーフライあぶねえ。自己再生持ちで学習能力持ちとか厄介にもほどあるだろうよ。さてと、どうするかねえ」


 考えてもらちがあかず、伸ばしてくる触手を切り倒していく。触手自体のHPは低く、一撃で倒せるほど。だが、すぐさま復活するので、デビルオクトパスにとってほぼ痛みはない。それを何度か繰り返しているうちにミクは違和感を覚える。


「ん? さっきより、攻撃が緩くなったような……」


 切った触手をよく見ると、自己再生はしているもののその修復速度は目に見えて遅くなっている。


「はは~ん、自己再生には限界があるタイプってわけか。だったら切って、切って、切りまくる!」


 触手を爪や剣で切り裂きながら、自己修復の限界を待っていく。そうはさせまいとデビルオクトパスの口から砲弾のような墨爆弾が離れるも、空中を縦横無尽に駆け巡ることができるミクには当たらない。そして、切り口がじゅぶじゅぶと泡立つも、触手が中々生えてこないのを見て、デビルオクトパスに急接近し、これまでの苦労を返すかのように攻撃を叩きこむ。


「これで2体目!!」


 デビルオクトパスを倒しことで、3体目のボスである赤い竜、フレイムワイバーンが現れる。ドラゴンよりも滞空時間が短く設定されているも、他の2体と違って空を飛べるのが脅威といえよう。


「炎のブレスには【灼熱の血】だ!」


 炎を突っ切って、ワイバーンの左目を切り付ける。自己再生を持たないフレイムワイバーンの左側を陣取るように移動しながら、ボールを投げつけて着実にダメージを与えていく。炎が効かないことに気づいたフレイムワイバーンが爪で攻撃をしようにも片目が潰されたことで、距離感が図れず、命中率が半減している。


「これならいける!」


 攻撃パターンを見切ったミクがワイバーンの背に乗って、牙を突き立てる。振り落とそうと急降下するも、それを耐えてHPを全回復する。【灼熱の血】の時間切れによる事故対策もできたミクに怖いものはない。決め手に欠けたフレイムワイバーンが逆転することもなく、ミクはボスラッシュ3連戦を突破するのであった。



 受付に戻り、ミクは更新されたギルドカードを見る。そこに刻まれたCの文字。一般プレイヤーの多くはCランクであることから、およそ1か月かけて、ようやく彼らと同じ土俵に立てたと言えよう。


「ここが本当のスタートラインってわけか」


 感慨深く思いながらも、ミクはハクエンから教えてもらったクエストを受ける人がいないか一度、ギルドホームへと戻るのであった。

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